導入事例

税理士法人エヌズ 様

2017年2月23日

税理士法人エヌズ 様

税理士法人エヌズ(沖縄県那覇市)は、地域に根差し、税務のみならず資産税案件や事業承継、M&Aにも取り組んでいる会計事務所である。その歴史は長く、前身である野原税理士事務所の創業は昭和56年にさかのぼる。創立35周年を迎えた平成28年には、現在の所長である野原信男氏、副所長である野原雅彦氏を代表社員として税理士法人へ移行し、事業承継を行った。代表社員の2人は、創業者のご子息であり、実の兄弟だ。2人の経歴は異なるものの、共に東京で大手会計事務所に勤務した経験があり、現在の事務所運営にもそのノウハウが存分に発揮されているのだという。本稿では、税理士法人エヌズの代表社員であり所長の野原信男氏、同じく代表社員であり副所長の野原雅彦氏に、同法人の沿革や今後の成長戦略についてお話を伺った。

東京から戻った兄弟2人で沖縄の会計事務所を承継

―― 税理士法人エヌズは、沖縄県那覇市で精力的な活動を展開している会計事務所です。同法人は野原信男氏と野原雅彦氏という実の兄弟で代表社員を務めていることでも知られています。お二人は共に東京の大手税理士法人での勤務を経験しており、さまざまな知見を得て地元沖縄へUターンしています。
本日は、税理士法人エヌズの野原信男所長、野原雅彦副所長のお二人に事務所の経営戦略についてお話を伺います。まず、野原信男先生に税理士法人エヌズの足跡を伺います。

野原信男 税理士法人エヌズは、私たちの父が創業した野原税理士事務所が前身です。
父は、昭和55年の12月に税理士試験に合格しました。そして、翌年、昭和56年の3月に税理士登録と事務所登録が完了して、野原税理士事務所を開設した次第です。
現在は野原税理士事務所としての設立から36年目を迎えました。昨年、創立35周年を機に、私と雅彦の兄弟2人で代表社員となり、税理士法人エヌズとして継承しています。

―― お父様は会計事務所で勤務などはされていたのでしょうか。

野原信男 いえ、全く経験はありませんでした。もちろん、税務署のOBでもありません。
父は県内の企業で経理を担当していたのですが、もちろんその企業にも顧問会計事務所があります。その先生に「せっかく経理に関わるならば、税理士を目指してはどうか」と助言をもらって資格取得を目指したそうです。

―― 信男先生の経歴を教えていただけますか。

野原信男 私は東京の大学へ進学したのですが、学生のころから税理士を目指していました。
卒業後は新宿にある大手の事務所に入り、そこに5年間勤めました。主な業務は法人のお客様を担当させていただき、申告書の作成も含めて、経営者の相談相手になるということでした。小さな企業もあれば、大手の企業もお客様にいましたので、そういった幅広い企業を近くで見られたことはとてもためになりました。

―― 単なる税務ではなく、お客様の経営に寄り添うことは、特に東京では必要になります。

野原信男 私たち職員向けに毎週月曜日の朝に3時間くらいの研修があったのですが、その先生にお話しいただいた、今でもよく覚えている言葉があります。
それは、「経営者にとっては税務なんて5%くらいの存在でしかない」というものです。もちろん、その5%は重要なのですが、それ以外の95%にも深いものがいくらでもあるわけです。その意識を持って初めて、経営者と向き合えるようになるという話をよくされていました。

―― 雅彦先生の経歴もお聞かせいただけますか。

野原雅彦 私は兄とは異なり、琉球大学へ進みました。そこで大学院まで学んでいます。
その後は東京の大手総合型税理士法人へ入社し、医療事業部という部署に配属されました。そこでは税務だけではなく、医療法人や一般企業の事業承継などを経験しました。その他にもセミナーをしたり、原稿を寄稿したり、銀行に出向させてもらうなど、さまざまな経験をその時代に積んでいます。

―― なかなか通常の会計事務所ではできない経験ですね。

野原雅彦 せっかく上京するからにはさまざまな経験を積みたいと考え、当時から大手であったその税理士法人を選択しました。
銀行へ出向した当時は、税理士の資格を取ったばかりの27歳のころでした。その銀行では事業承継を主に担当したのですが、「事業承継といっても何をやればいいのだろう?」という状態です。プレッシャーもかなりありましたが、それでも結果として、その銀行へ出向する決断をしてよかったと思っています。度胸もだいぶつきました(笑)。

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事務所を35年支える会計システム

―― 現在は沖縄へ戻ってきてどのくらいになるのでしょうか。

野原信男 私たち2人が戻ってきたのは平成18年ですから、ちょうど10年が経過しました。

―― 当時の規模はどのくらいだったのでしょうか。

野原信男 所長である父と職員が5名の事務所でした。現在は私たちを含めて14名ですから、倍の規模になっています。

―― 順調に成長されている印象ですね。どのような戦略で取り組まれてきたのでしょうか。雅彦先生に伺いたいと思います。

野原雅彦 ありきたりではあると思いますが、われわれとかかわる方の利益をまず第一に考えることが大切だと思っています。
もう少し具体的な戦略の話をすると、私たちのお客様には飛び込み営業で契約する方はほとんどいないのです。どなたかのご紹介で来るわけです。ですから、その紹介をくださる人の利益につながるように組み立てをすることは意識しています。例えば、それは金融機関や保険の営業マン、不動産業者などです。

―― 雅彦先生は金融機関で経験がありますから、彼らがどうすれば動くのかも分かりますね。

野原雅彦 そうですね。あとはそういった顧客を抱えている方に情報提供やセミナーを行い、認知を取っています。
営業の方に喜んでもらい、事務所を覚えてもらえれば、その方が「この事務所はいいよ」と紹介してくれます。お客様は基本的に契約することを前提に来てくださるわけですから、成約率も高まります。

―― そういったセミナーはどのくらい開催されているのでしょうか。

野原雅彦 年間で20回強だと思います。月に2回くらいのペースですね。セミナーは自分の知識の整理にもなるので、一石二鳥だと考えています。

―― 信男先生にも伺います。事務所運営の根幹であるシステムには何を採用されているのでしょうか。

野原信男 私たちが使っているのはミロク情報サービス(以下、MJS)ですね。父が創業当時から使っているので、MJSには36年間お世話になっています。

―― 東京時代には違うシステムを利用されていたと思いますが、比較されていかがですか。

野原信男 当時は初めて会計事務所に勤めたので、当然そのシステムが初めて触るものになりますから、私のなかでは標準ということになります。ですから、使い勝手はよかった印象があります。
しかし、これは経営の立場に立ってみて気がついたことなのですが、そのシステムはMJSと比較するとコストはかなり高かったですね。職員レベルではそこまで考えてはいませんでしたが、コストパフォーマンスが高いことはMJSの魅力のひとつです。

野原雅彦 私が勤めていた以前の税理士法人でもMJSを利用していたので、私はこの事務所でもスムーズに使えましたね。

―― 具体的に導入されているシステムをご紹介ください。

野原信男 統合業務ソフト「ACELINK NX-Pro」を利用しています。ライセンスも15取得して、事務所全体でかなり使っています。
顧問先にも50社ほどMJSのソフトを入れてもらっています。サーバーも1台契約していますので、顧問先とのデータの同期もスムーズに行えています。具体的には「iCompassNX会計Plus」を入れている顧問先は約30社ありますし、「iCompassNX給与Plus」を入れている顧問先も15社ほどあります。

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新たな地域へ進出する戦略

―― 現在、会計事務所のなかには業種に特化したり、業務に専門的に取り組んだりして差別化を進める動きがあります。貴社ではどのような領域に取り組まれていくのでしょうか。

野原信男 現在の税制などの流れを見ると、資産税や相続の案件は外せないと考えています。
しかし、会計事務所の安定した収入源として顧問料はやはり重要です。ですから、資産税案件と顧問料が今後の大きな2つの柱になると思います。
展開としては、副所長がセミナーなどで資産税案件を中心に取り組み、お客様を開拓します。そして、私が月次顧問の相談相手として、開拓したお客様をフォローするイメージですね。

―― 雅彦先生が得意とされていた医療系には取り組むのでしょうか。

野原雅彦 医療系に関しても、年間でコンスタントに少しずつ増えているので、駆け足で準備を進めています。
銀行の医療チームや開業支援をしている医療機器メーカー、製薬会社への認知が広がってきている状況です。新規開業時に顧問税理士がいなければ、開業支援をした方から話をいただけるようになってきています。

―― また、日本全体で介護事業者の経営支援も必要になってきています。こういった分野への取り組みはいかがでしょうか。

野原信男 実は、私たちも一般社団法人 日本介護支援専門員協会に加盟しました。今後はこの分野もしっかりフォローしていきたいと考えています。
医療にも力を入れていくと副所長から申し上げましたが、医療と介護の両分野で経営アドバイスができると相乗効果が生み出せるのではないかと思います。ですから、フォローできる分野は今後増やしていきたいですね。

―― 昨年税理士法人化されましたが、支店の展開などは考えているのでしょうか。

野原雅彦 現在、沖縄の中部にある西原町で支店の立ち上げを準備中で、3月に開設予定です。

―― なぜ西原町を選択されたのでしょうか。

野原雅彦 那覇には名前の知られた先生がいて、大手の税理士法人もあります。金融機関の紹介を受けてあちこちを歩いていて分かったのですが、中部圏はまだ白地のマーケットが広がっているように感じたのです。
沖縄なので車ですぐに行ける範囲ではあるのですが、本店である那覇市久茂地の住所が入った名刺を渡すと「ちょっと遠いね」という反応をされる方もいます。特にご年配の方に多いですね。支店を出せるのは税理士法人の強みですし、中部圏でも認知を取るために有効だと考えています。
また、支店を開設するエリアは区画整理が行われている場所でもあります。モノレールや高速道路も開通する予定です。利便性が高まるので、周辺の地価も上がると考えています。それに伴って税金の相談も増えると思いますので、今後の展開を考え、支店を出すことにしました。

―― お話を伺っていると、沖縄にはまだまだポテンシャルがありそうですね。

野原信男 そうですね。私たちには東京で活動していた時期があって、今もつながりがあります。ですから、東京の情報は入ってきますし、それを沖縄で実践するのはとてもやりがいがあることだと思っています。
もちろん、その全てが当たるとは思いません。でも、まだまだブルーオーシャンがあると思いますので、取り組み続けていこうと思います。

野原雅彦 沖縄は地方では唯一だったと思いますが、人口が増えているのです。空港や物流などさまざまな面が整理され始めていますし、景気も上り調子で面白い地域です。

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三兄弟が目指す未来

―― 短期的な成長戦略は具体的に伺いましたが、3年後、5年後、10年後といった中長期の展望を教えていただけますか。まず、雅彦先生からお願いします。

野原雅彦 中小企業の事業承継の問題には力を入れて取り組んでいきたいと考えています。ここから5年、10年で会計事務所そのものの代替わりも進んでいくでしょう。
私はセミナーで「身をもって事業承継を経験した税理士です」という話をよくします。事業承継は節税テクニックだけの問題ではありません。
私がこの事務所に戻ってきたときには、事務所の職員は全て年上の方でした。ですから、職員の信頼を勝ち取るには苦労もありました。
私が事業承継に取り組むときには、必ずそういった視点を入れて経営者とお話ししています。事業承継と兄弟経営を身をもって経験している私のキャリアは、事業承継という分野で活かせると考えています。

―― 事業承継は何度も経験するものではありませんから、実際に経験していることは安心につながりそうですね。

野原雅彦 その事業承継と関連して最近増えているのがM&Aです。
5年後、10年後には案件数がさらに増えているでしょうから、そこでとりこぼすことがないように認知を高める動きをしています。

野原信男 実際にわれわれ2人が代表取締役となって平成27年の10月に株式会社沖縄M&Aサポートという法人を立ち上げました。弁護士、司法書士、社会保険労務士、そして私たち税理士という士業だけの企業です。
そもそもは、事業承継に困っているお客様の不安や課題を解消したいと設立したものですが、現在はMJSグループのなかでもM&Aを支援している株式会社MJS M&Aパートナーズや、株式会社日本M&Aセンターとも連携しています。

―― 組織としてはどのような成長を目指すのでしょうか。信男先生に伺います。

野原信男 まずはやはり、私たちにかかわるみなさんに「エヌズと付き合ってよかった」と思っていただける組織にしていきたいですね。お客様はもちろんですが、先ほどお話しした紹介者の方々、そして従業員にもハッピーになってもらえるような組織づくりをしたいと思っています。
実は、副所長の下にもう一人弟がいます。その弟も今エヌズで働いていて、税理士試験の勉強中です。ゆくゆくは兄弟3人の事務所になっていく予定です。「エヌズ」という名前もそれを見越して「野原が複数」というところから付けました。

―― 今後はご兄弟3名で事務所を運営されていくわけですね。

野原信男 本店は私たち三兄弟を中心に運営していくと思います。決して親が強制したわけではなく、3人とも父の背中を見て同じ職業を志しました。ですから、父が残してくれたこの事務所を大きくすることが、父に報いることになると思うのです。
その目標に向かいつつ、組織を安定させるためには、兄弟3名が同じ事務所にいることが必要になると思います。ですから、私たち兄弟は那覇の本店で全体を運営していくつもりです。
しかし、先ほどお話しした支店の展開のように、まだまだ税理士が必要な場面は出てくると思います。税理士の資格を取得したからには、誰でも一国一城の主になりたいという気持ちは少なからずあるのではないでしょうか。ですから、新たに税理士の仲間が加わった際には、今回のように支店を展開したときにはその者に全て任せて、同じ看板のもとで切磋琢磨するのが理想的だと考えています。

―― 3名のご兄弟での事務所運営はかなり珍しいと思います。血縁関係ゆえの不安はありますか。

野原信男 幸か不幸か、私たち3人はキャラクターがかなり異なります。そして、そのことをお互いに認識しています。
ですから、話を重ねると「こういう考え方もあるのか」と自分を振り返ることができるのです。この考え方の違いは事務所運営の強みだと思います。

―― 本日は貴重なお話をありがとうございました。貴社のますますの発展を祈念しています。

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導入事務所様のご紹介

野原 信男(のはら・のぶお)

野原信男(のはら・のぶお)

税理士法人エヌズ代表社員。所長。税理士。昭和50年生まれ。東京都出身。中央大学商学部卒。平成13年より、都内大手税理士法人で5年間勤務。平成18年に、沖縄へ戻り、野原税理士事務所へ入所。平成28年に税理士法人へ移行し、代表社員に就任。

野原 雅彦(のはら・まさひこ)

野原雅彦(のはら・まさひこ)氏

税理士法人エヌズ代表社員。副所長。税理士。昭和52年生まれ。沖縄県出身。琉球大学法文学部卒。平成14年、都内の大手税理士法人へ入所。三井住友銀行への出向などを経て、平成18年に、沖縄へ戻り、野原税理士事務所へ入所。平成28年に税理士法人へ移行し、代表社員に就任。

税理士法人エヌズ

所在地 沖縄県那覇市久茂地2丁目17番17号
代表者 野原 信男、野原 雅彦
創業 昭和55年12月
職員数 14名
業務内容

税務申告、起業アドバイス、事業承継、組織再編・事業再生、相続贈与対応、
セミナー開催、各種意見書の作成、保険コンサルタント

URL http://2n-taxoffice.jp/
  • 本事例の掲載内容は取材当時のものです。

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