第24回 テレワーク運用上の問題点と対策2

2022年1月12日

前回はテレワークに関わる問題のうち、テレワーク対象者と非対象者との問題や労働時間管理の問題について説明いたしました。今回はその他の様々な問題について、その対応策について解説いたします。

テレワーク中の従業員が出社を拒否した場合

テレワーク勤務を原則としていたとしても、業務の都合で会社に出勤してもらいたい時もあるはずです。先日も「満員電車等、密な環境での感染が怖いとの理由で出社を拒否されたが、業務命令違反で懲戒処分にして問題ないか?」との問い合わせがありました。業務上の必要に応じて出社を命じ、その命令を拒否したことにより懲戒処分としても、法的な問題はないと思います。ただしその後のことを考えれば、いかに法的には問題はないとはいえ、あまりお勧めできる対応とはいえません。

出社拒否の対応策

就業規則やテレワーク規程等に、「テレワーク勤務中に、業務の都合上出社する必要があると会社が求めた場合は、指定された日時に出社しなければならない。」等と明記したうえで、十分に従業員と話し合っておくと良いでしょう。また会社側も、その業務は本当に出社が必要なのか否か、改めて見直すことも必要です。

指定場所以外でのテレワークを求められた場合

当初、在宅勤務の予定だった従業員が、カフェ等の公共の場所でテレワークを希望した場合、簡単に認めて良いか?という問題です。例えば、カフェの席で仕事上の電話や、パソコンやスマホを放置したまま席を離れるなど、秘密情報の漏洩のリスクが高まることも想定されます。

公共の場所でのテレワーク対策

就業規則やテレワーク規程に、公衆wifiに関する注意点、公共の場で仕事をする際のセキュリティー対策等を細かく規定し、従業員にも十分に注意を促すべきです。また、業務内容によっては自宅以外でのテレワークは認めない等の措置も必要かもしれません。
(1)メール送付の抑制等、(2)システムへのアクセス制限、(3)時間外・休日・所定外深夜労働についての手続、(4)長時間労働等を行う労働者への注意喚起、その他、勤務間インターバル制度も有効な手段のひとつとなります。

パソコンが故障した場合

テレワーク勤務中にパソコンの故障や通信回線の不具合等、業務に支障を来すようなトラブルが起きた場合、労働時間等の扱いはどうすれば良いか?という問い合わせがあります。このような場合、本人が故意に故障させたりしていない限り、通常業務ができない場合においても「労働時間」として扱わなければなりません。

パソコン故障時の対策

やはりこのような事態を想定し、代替機の用意や通信回線の不具合時の対応等を予め決めておくべきです。残念ながらそのような用意もなく、一日中仕事にならないような場合は、振替休日、代休等で対処したり、本人が許せば年次有給休暇の取得にしたり、自己研鑽の時間にするなどの臨時措置が考えられます。また、可能であれば、出社させてその日は別の業務に就かせても良いかもしれません。

在宅勤務の環境整備を求められた場合

在宅勤務の予定となっている従業員から、自宅の就業環境を整えて欲しい(デスク、椅子、照明、wifiルーター、等の買い替え又は新規購入)との申し入れがあった場合、対応する必要があるか?との相談があります。会社は、従業員が安全かつ健康に労働できるようにするための安全配慮義務(労働契約法第5条)を課せられていますので、最低限の環境整備は会社が提供すべきです。

在宅勤務者の環境整備対策

厚生労働省の「テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドライン」(以下「新ガイドライン」といいます)に記載されている内容を参考にして、作業環境のチェックリスト等を作成し、足りない設備や備品に関しては、整備するようにします。費用は会社が負担するのが一般的で、上限金額を設けて実費精算するケース、在宅勤務準備金として一時金を支給するケースなどがあります。また、就労後も頻繁に作業環境を確認し、腰痛や極度の眼精疲労等を引き起こさせないように注意が必要です。

病気療養中のテレワーク問題

テレワーク勤務、特に在宅勤務の場合は病気療養中であっても業務は可能かもしれません。例えば、新型コロナウイルスに感染して出社は禁じられた場合でも、無症状で自宅療養となった場合、テレワークはできてしまいます。ただし、やはりこれは止めておいた方が良いでしょう。急に体調が悪化して、業務をさせた会社の責任を問われかねませんし、何より一日も早く回復できるよう療養に専念させるべきです。

病気療養中のテレワーク対応策

就業規則やテレワーク規程等に、「出社が困難な疾病に罹患した場合は、原則としてテレワークも不可とする。」と規定しておきます。そのうえで、従業員がテレワークを希望した場合は、会社はそれを認める条件として、症状の悪化等に関し会社は一切の責任を負わない等の誓約書の提出を求めた方が良いでしょう。

通勤手当の不支給は不利益変更に当たらないのか?

テレワーク勤務者に「在宅手当」や「テレワーク手当」等を支給している場合、通勤手当は不支給となり、出社した日だけ実費精算にしている場合がほとんどです。この場合、今まで支給していた手当を支払わないとなると「不利益変更」となり、個々の同意が必要では?という疑問が生じます。とはいえ「いちいち対象者全員から個別同意を得るのは大変」という意見が多いのも事実です。

通勤手当を不支給とする際の対応策

確かに法律上(労働契約法8条および9条)、既存の手当を廃止又は不支給とする場合は個別の同意が必要です。ただし、そもそも通勤手当は、実際の通勤費を定額的に支給しているのがほとんどで、その通勤の必要がないために不支給とするのは合理性があるといえます。そのため、就業規則やテレワーク規程等に「テレワーク勤務者には原則として通勤手当は支給せず、通勤した日数に応じて、通勤に要した費用を支払う。」等と記載し、従業員に十分に説明(周知)すれば良いと考えます。(労働契約法10条「合意の原則の例外」)

テレワークはコロナ禍に限ったものではなく、通勤時間の負担軽減の効果も大きく、柔軟な働き方による人材の確保等、働き方改革の一環としてなくてはならない存在になりつつあります。

今回は実際に生じているいくつかの問題について対応策を解説いたしましたが、何よりも会社と従業員とでしっかりと話し合い、双方納得のうえテレワークを実施することで、その効果を最大限に発揮できるようになるはずです。

筆者紹介

加藤千博

MJS税経システム研究所 客員講師
社会保険労務士法人加藤マネジメントオフィス 代表社員
社会保険労務士 加藤 千博
http://www.kmo-sr.jp/

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