第25回 傷病手当金の支給期間の通算化

2022年2月2日

「健康保険法」の一部が改正され、2022年1月1日以降、健康保険の被保険者が傷病により仕事に就けないときに支給される「傷病手当金」の支給期間が通算化されました。
 今回は、そもそも「傷病手当金」とは何か?今回の改正でどのようなメリットがあるのか?退職後はどうなるのか?労務管理上の留意点は?等を解説いたします。

「傷病手当金」とは

傷病手当金とは、健康保険の被保険者がケガや病気のため働くことができない場合に、被保険者とその家族の生活を保障するための制度です。傷病手当金は、雇用保険制度の各種給付金のように「被保険者期間が〇〇か月以上必要」等の要件はなく、被保険者が次の4つの要件を満たせば受給することができます。

  1. 業務外の事由による病気やケガの療養のための休業であること
  2. 仕事に就くことができないこと
  3. 連続する3日間(待機期間)を含み4日以上仕事に就けなかったこと
  4. 休業した期間について給与の支払いがないこと

上記、待機期間には土日などの祝日や年次有給休暇を取得した日も含まれます。また、休業期間中に給与が支給された日は、その支払われた給与額により傷病手当金は減額、または不支給となります。

支給金額は、原則として次の計算式によって求められます。

支給金額(日額)=支給開始日以前12か月間の標準報酬月額の平均額÷30日×2/3

例えば、12か月間の標準報酬月額の平均が30万円だとすると、30万円÷30日×2/3=6,667円(日額)となります。この金額が、支給開始後1年6か月間を限度に支給されますが、今回の改正前は、支給期間と不支給期間を繰り返した場合でも「支給開始後1年6か月間」が限度でした(図1「現行の傷病手当金の支給期間」参照)。

支給期間の通算化

今回の改正で、前述の「1年6か月間」が、「傷病手当金が実際に支給された期間の合計が1年6か月間」となりました(図1「改正後の傷病手当金の支給期間」参照)。これにより傷病手当金の支給開始後に、長期間療養を繰り返しながら就労するような場合においても、無駄なく制度を活用できることとなりました。ちなみに、新制度の支給対象となるのは、「2020年7月2日以後に支給開始された傷病手当金」(2021年12月31日時点で傷病手当金の支給期間が1年6か月を経過していない人)となります。(支給開始日が2020年7月1日以前の場合は、改正前の規定が適用されます。)

退職後(被保険者資格喪失後)の傷病手当金の継続支給

傷病手当金は、支給開始後に退職(被保険者資格喪失)した場合においても、被保険者として受けることができるはずであった期間において、継続して給付を受けることができます。ただし、一時的に就労した場合は、同一の傷病による支給期間が残っていたとしても、再び支給されることはありませんので、注意が必要です(図2参照)。

労務管理上の留意点

傷病手当金の支給申請は会社を通してすることになっていますので、今までは「支給開始から1年6か月経過した日」のみを把握していればよかったものの、改正後は、支給対象者が実際に休業して支給された日数をカウントするなど、管理方法を改める必要があります。また、万が一退職することとなった場合においては、退職後の支給期間が何日間残っているのか、退職後に一度でも就労すると再支給はできないこと等を支給対象者に伝え、退職後は自分で支給申請する旨を説明すべきでしょう。

筆者紹介

加藤千博

MJS税経システム研究所 客員講師
社会保険労務士法人加藤マネジメントオフィス 代表社員
社会保険労務士 加藤 千博
http://www.kmo-sr.jp/

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