第47回 キャリアアップ助成金 社会保険適用時処遇改善コース

2023年12月6日

 前回の労務管理トピックスにて、政府が発表した「年収の壁・支援強化パッケージ」の概要について解説させていただきました。その中で、「106万円の壁対策」としてキャリアアップ助成金の中に設置された新コース「社会保険適用時処遇改善コース」についての問い合わせが増えています。この新たなコースは、短時間労働者が社会保険(厚生年金保険・健康保険)の適用による手取り収入の減少を意識せず働くことができるよう、労働者の収入を増加させる取り組みを行った事業主に対して、労働者1人当たり最大50万円の支援を行うものです(対象人数の上限なし)。やはり、パート・アルバイト従業員等の短時間労働者を多く抱える企業にとっては、とても注目度の高い助成金といえますので、今回はこの助成金についてもう少し詳しく解説させていただきます。

対象となる事業主と労働者

<対象となる事業主>

次のいずれも満たす事業主

  1. 雇用保険適用事業所となっている
  2. 適正に各種必要書類、法定帳簿等が揃えることができる
  3. キャリアアップ管理者を置いている、または置くことができる

<対象となる労働者>

次のいずれも満たす労働者

  1. 2023年10月以降、新たに社会保険の要件を満たすことになった
  2. 社会保険加入日の6カ月前の日以前から継続して雇用されている
  3. 社会保険加入日から過去2年以内に同事業所で社会保険に加入していなかった

労働者の収入を増加させる取り組み

具体的に労働者の収入を増加させる取り組みとしては、次の①~③が考えられます。

  1. 手当等支給メニュー
    手当等(社会保険適用促進手当等)により収入を増加させる取り組み(図表1)
  2. 労働時間延長メニュー
    労働時間の延長と賃金の増額を組み合わせる取り組み(図表2)
  3. 併用メニュー
    ①と②を併用する取り組み(図表3)

①「手当等支給メニュー」の取り組みを講じた事業主が受給可能な助成額は、図表1の通りです。

(図表1)「手当等支給メニュー」

(出典:厚生労働省「キャリアアップ助成金 社会保険適用時処遇改善コース」パンフレット)

 「手当等支給メニュー」の取り組みは、事前に(※1)対象労働者に係るキャリアアップ計画を作成し、管轄労働局長の受給資格の認定を受け、その計画に基づいて取り組む必要があります。1年目、2年目の賃金は「標準報酬月額及び標準賞与額」を指し、追加支給については標準報酬月額の算定に算入されない「社会保険適用促進手当」等の一時的な手当による支給も認められます。3年目の賃金は基本給を指しますが、1年目、2年目に支給した一時的な手当を恒常的な手当とする場合は、その手当を含むものとします。尚、3年目の取り組みを2年目に前倒しで行い、まとめて助成金を受給することも可能です。

  1. 2023年10月から2024年1月末までに取り組みを開始する場合は、特例的にキャリアアップ計画書は事後提出でかまわないとされています。

②「労働時間延長メニュー」の取り組みを講じた事業主が受給可能な助成額は、図表2の通りです。

(図表2)「労働時間延長メニュー」

(出典:厚生労働省「キャリアアップ助成金 社会保険適用時処遇改善コース」パンフレット)

 「労働時間延長メニュー」は、短時間労働者の労働時間を延長することにより、新たに社会保険被保険者となる場合に対象となるもので、現行のキャリアアップ助成金「短時間労働者労働時間延長コース」の拡充版でもあります。

③「併用メニュー」の取り組みとして、1年目に①の取り組み、2年目に②の取り組みを講じた場合、図表3の通りの助成額が受給可能となります。

(図表3)「併用メニュー」

(出典:厚生労働省「キャリアアップ助成金 社会保険適用時処遇改善コース」パンフレット)

 上記①~③のメニューの選択に当たっては、仕事内容や処遇などについて事業主と対象労働者との面談などにより、労使合意の上で決定する必要があります。また、キャリアアップ計画書を作成する際に、3年目の取り組みは暫定的なものでよく、あくまでも予定している取り組みを記載すれば良いことになっています。
 深刻な人手不足を解消するため、短時間労働者の方々に今まで以上に活躍してもらう必要がある企業にとって、この新たな助成金は間違いなく大きな手助けとなるはずです。下記、対応例を参考に、早々に取り組まれることをお薦めいたします。

(図表4)

(出典:厚生労働省「キャリアアップ助成金 社会保険適用時処遇改善コース」パンフレット)

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