第21回 改正育児・介護休業法の概要2~柔軟な育休制度~

2021年10月6日

2022年4月1日に改正が予定されている育児・介護休業法について、前回は男性の育児休業取得の促進につながる「出生時育児休業の創設」について中心に説明させていただきました。

今回は、その他の主な改正内容について説明させていただきます。

育児休業等の周知等に関する見直し(2022年4月1日改正)

現行法では、労働者またはその配偶者が出産予定である旨の申し出等があったときに、育児休業制度等を個別に周知することが事業主の「努力義務」となっていますが、改正法ではこの個別周知が「義務」となり、加えて育児休業等の取得の意向を確認するための面談等の措置を講じることが事業主に義務付けられます。

具体的な周知方法としては、面談での制度説明、書面等による制度の情報提供など、複数の措置から選択できるようになる予定で、労働者の取得意向の確認についての具体的な確認方法は省令等で規定される予定です。

また、個別周知・取得意向確認が義務付けられたことに伴い、妊娠・出産等の申し出をしたことを理由とした解雇、その他不利益な取扱いを禁止する旨もあわせて定められます。

育児休業を取得しやすい雇用環境整備(2022年4月1日改正)

育児休業は法律上の当然の権利として取得可能な制度であるものの、実際には職場が育児休業を取得しづらい雰囲気であったり、そもそも就業規則等に規定されていなかったりと、会社や上司、職場全体に育児休業に対する理解がない場合もあります。

今回の改正で、そのような環境を改善すべく、(1)育児休業に係る研修の実施、(2)育児休業に関する相談体制の整備(相談窓口の設置等)、(3)その他省令で定める育児休業に係る雇用環境の整備に関する措置(今後、省令で定められる)、のいずれかを講じることが事業主に義務付けられます。

有期雇用労働者の育児休業及び介護休業取得要件の緩和(2022年4月1日改正)

現行法では、有期雇用労働者が育児休業または介護休業を取得するためには「事業主に引き続き雇用された期間が1年以上の者」という取得要件を満たさなければなりませんが、この要件が廃止されます。これにより、入社後1年未満の有期雇用労働者であっても、もうひとつの取得要件である「養育する子が1歳6か月に達する日までに、労働契約が終了することが明らかでない者」(介護休業の場合は「介護休業開始予定日から起算して93日を経過する日から6か月を経過する日までに、労働契約が終了することが明らかでない者」)を満たしていれば、育児・介護休業の申し出ができるようになります。(※ただし労使協定により対象外にできる)

育児休業の分割取得と撤回ルールの見直し(2022年10月1日改定)

現行法では、子が1歳に達するまでの育児休業の取得は1回限りとされていて、特別な事情がない限り育児休業から復帰後の再取得は認められていません。しかし改正後は、育児休業を取得しやすくするため、理由を問わず2回までの取得が可能になります。これにより、男性の場合は出生時育児休業と合わせて4回までの取得が可能となります。また、育児休業の分割取得が可能となることに伴い、育児休業の申し出を撤回した場合においても、再度の申し出ができるようになります。(現行法では、撤回の申し出をした育児休業については、再度の申し出はできません)

1歳到達日後の育児休業の見直し(2022年10月1日改定)

子が1歳以降も、保育所に入所できない等の理由により延長して育児休業を取得する場合、現行法では延長する育児休業の開始日が各期間(1歳~1歳半、1歳半~2歳)の初日に限定されています。今回の改正で、この開始日を配偶者の育児休業の取得状況に合わせて柔軟に設定し、延長後の期間途中でも夫婦が交代して育児休業を取得できるようになります。

今回の改正は、下図で示している通り、男性の育児休業取得を促進し、夫婦で柔軟に育児休業が取得できるようにすることが大きな特徴となっています。

次回は、育児・介護休業の改正に伴う雇用保険法、健康保険法及び健康保険法等の改正について説明いたします。

※出典 厚生労働省 参考資料2「育児休業給付関係」

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