ITmedia様に取材いただきましたので下記に転載いたします。是非ご一読ください。

マンガで解説:まだ終わらない電子帳簿保存法 長期保存と業務効率の盲点義務化から1年余り、これから考えるべき対策とは

電子帳簿保存法における「電子取引データの電子保存」は、2024年1月から義務となった。「事務処理規定」とPCへの保存で法対応を乗り切ったとしても「これで安心」ではない。今後の法改正に準じ、長期的な業務効率化を考えるポイントとは。

2025年09月05日 10時00分 公開
[TechTargetジャパン]
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 2024年1月からの電子帳簿保存法の改正により、「電子取引データの電子保存」が義務化された。これに対応するために、電子データの保存、訂正、削除などのルールを定めた「事務処理規定」を作成し、「検索要件」については「Microsoft Excel」で一覧表を作成したり、ファイル名を工夫したりして、ルールに対処しているケースが見られる。そのため、バックオフィス業務の電子化はいったん見送る企業もある。

 義務化が施行されてから間もなく2年。経営層は日々の業務も落ち着いてきたと安心しているかもしれない。しかし経理の現場はそうでもなさそうだ。ある中小企業A社は、ここ1年で経理部門が扱う電子取引データが増加傾向にあり、経理担当者が「ファイル名を付け替えたり一覧表に記録したりするのは大変過ぎる。手作業はもう限界」と嘆いている。

 電子取引データの保存が義務化された当初は、やりとりするデータの件数が少なかったために、受け取った請求書などを事務処理規定に沿って手作業でPCに保存することで、なんとか対処できていた。しかし2024年10月の郵便料金の値上げなどもあり、電子化を進める取引先が増えたことで状況が一変。請求書、見積書、契約書などさまざまな形式の電子データが届くようになり、事務処理規定では管理が追い付かないという企業が増えている。

 事務処理規定を作っただけでは、法対応はできても効率化にはならない。今後の法改正に準じ、長期的な業務効率化とバックオフィス業務の電子化を考える際のポイントについて、マンガを交えて解説する。

電子取引の増加とともに検索のための管理負担が増加

 2024年の時点では、「電子取引の件数も少ない」とう判断から、専用システムの導入を見送った企業は珍しくない。基準期間の売上高が5000万円以下の企業なら、電子保存義務における「可視性の確保」の要件で「検索機能の確保」が不要になるため、手作業によるデータ保管の負担はそこまで大きくないとも言える。ただし売上高5000万円を超える企業は、電子保存義務の要件として「取引年月日、取引先、取引金額による検索機能」を確保しなければならない。これを解決するなら「日付や金額、取引先などをファイル名に付けて検索できるようにする」「Microsoft Excelなどで索引簿を作り、日付や金額、取引先などで検索できるようにする」などの作業が必要になる。請求書などを受け取るたびにこの手作業をするのは、経理部門にとって大きな負担だ。

 「事務処理規定の作成」によって要件を満たした……という話はよくある。法対応としては問題ないとしても、これでは電子化による「プロセスの効率化」は期待できない。

 A社の経理担当者は、最近の電子取引データの急増に「最初はここまで大変じゃなかったのに……」と頭を抱えている。郵便料金の値上げや物流コストの上昇などをきっかけに、多くの企業が電子請求書や電子契約のシステム導入に踏み切った。その結果、一企業が受け取る電子取引データは増えつつあるのだ。

「PCにデータ保存」で長期保存に耐えられるか?

 もう一つの重要なポイントは、長期保存の義務だ。帳票などの書類は受領年度から最低7年間の継続保存が必要と定められている。繰越欠損金の繰り越し控除を利用する場合には10年間保存しなければならない。では、このデータをどこに保存するのか。

 ひとまず社内のPCなどに保存すると決めたとしても、7年間も同じPCに保存し続けられるのか、慎重に考えたい。一般的にPCは5年ほどで買い替える“消耗品”だからだ。OSのバージョンアップに伴ってPCのリプレースの必要に迫られる可能性は当然ある。PCに限らず、オンプレミスのストレージやサーバなどで長期保存をする場合は、ハードウェアを買い替えた際にデータを適切に移行できるのか、故障やサイバー攻撃に備えたバックアップを取り続けられるかなど、考慮すべきことは多岐にわたる。

クラウドサービス導入でも注意が必要、長期的な「真実性の確保」とは

 こうした運用管理の手間を減らし、安全かつ簡便に長期保存する方法を選ぶなら、有効なのはクラウドサービスだ。セキュリティ対策やバックアップなども含めて企業が利用しやすい環境をクラウド事業者が安定的に維持してくれるメリットは大きい。

 クラウドサービスの選定で気を付けたいポイントは、クラウドならどのサービスでもよいわけではないことだ。電子取引データの保存にシステムを利用する場合は、「真実性の確保」のために「タイムスタンプの付与」または「入力、訂正、削除履歴の管理」をすることが求められる。少なくとも、このような電子帳簿保存法の要件に準拠したクラウドサービスを選ばなければならない。

 ただし、ここにも落とし穴がある。クラウドサービスによっては、入力、訂正、削除の履歴がそのサービス内でしか管理されないため、別のサービスに移行する際に履歴が引き継げず真実性の確保ができなくなる可能性がある。サービス選定時に「履歴データのエクスポート可否」や「JIIMA認証(電子帳簿保存法の法的要件を満たしたITツールに対する認証)の有無」などを確認する必要がある。一方でタイムスタンプを使って保存している場合は、データをダウンロードしてもタイムスタンプ情報が保持されているため、別のサービスに移行しても真実性の確保の要件を満たし続けることが可能だ。電子帳簿保存法の要件を7~10年間どう確保するのか、技術仕様を正しく理解した上でサービスを選定したい。

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法対応だけでなく、業務フローの効率化を見直すステージへ

 バックオフィス業務の効率化を本格的に考えるなら、業務効率化につながるシステムを選定したい。従業員が受け取った領収書、見積書、請求書をどのように経理部門に集めるのか――これは経理部門だけでなく全社的な業務フローを見直すということだ。

 ミロク情報サービスが提供する証票書類保管・電子契約サービスクラウドサービス「MJS e-ドキュメントCloud」は、取引文書や契約書の電子保存を効率化する選択肢の一つだ。タイムスタンプ機能によってデータの真実性を確保しており、電子取引データとスキャナー保存のデータを国内データセンターで管理できる。電子帳簿保存法に準拠した検索機能や改ざん検知機能があり、立会人型(契約する当事者と異なる第三者が電子署名を付与するタイプ)の電子契約サービスも備えている。さらに、財務システムと連携する点でインボイス制度に準拠した体制を整えられる。財務システムで仕訳処理した領収書や請求書は、自動的にMJS e-ドキュメントCloudへ保存可能だ。経理が処理しない見積書などは、従業員がMJS e-ドキュメントCloudへ直接保存することもできる。会社内の書類を一元管理できるため、保存という観点だけでなく、検索や確認のしやすさという点でも業務の効率は格段に上がる。セキュリティ対策として保存したデータの閲覧制限などもでき、重要書類の保存にも安心だ。

 バックオフィス業務の効率化という点ではクラウド経費精算システム「Edge Tracker 経費精算」がある。PCやスマートフォンで経費や交通費の精算申請が可能で、申請データを会計システムなどに取り込むこともできる。取り込んだ証憑(しょうひょう)は、MJS e-ドキュメントCloudへと連携し保存される。従業員とのデータの受け渡しから電子取引データの保存まで、幅広い製品/サービスを提供しているのはミロク情報サービスの強みだ。

法改正はまだ続く 時代の流れに応じたシステム導入計画を

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 繰り返しになるが、「電子取引データの保存義務化を事務処理規定で乗り切ったから、電子帳簿保存法の対応はもう終わった」は大きな間違いだ。法改正はまだまだ続く。そして、事務処理規定による対応には限界がある。一見コストを抑えられるように見えても、実際には人手による運用が必要となり、人件費や管理負担がかさむケースが少なくない。

 一方で、電子帳簿保存法に準拠したクラウドサービスを導入すれば、保存、検索、履歴管理までを自動化でき、業務効率化と法対応を同時に実現できる。今後も法改正が進むことを見据え、早めにシステム化を進めることで、将来的なリスクや手間を大きく減らすことができる。

 今後は、大企業を中心にデジタルインボイスシステムの導入が進む可能性がある。そうなると取引先は、企業規模を問わずデジタルインボイスを受け取る体制が必要になり、システム普及は一気に加速するだろう。近年は国税庁がAI技術を活用して税務調査を効率化したという報道もある。税務調査における銀行取引確認などの照会業務でもオンライン処理が進んでいる。これらの背景にあるのは、やはり電子取引の増加だ。

 こうした時代の流れに乗り遅れないように、バックオフィス業務の電子化は早めに進めておきたい。商取引に関する書類は経理部門だけではなく、社内の各部門でも扱うものだ。電子帳簿保存法の改正をきっかけに社内の業務フローを見直すことは、全社横断で業務を効率化するよい機会となるだろう。


提供:株式会社ミロク情報サービス
アイティメディア営業企画/制作:アイティメディア編集局

  • 記事はITmediaより許諾を得て掲載しています。
    転載元:ITmedia(ITmedia2025年9月5日掲載記事より転載。)
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