新リース会計基準に伴うMJSシステムの対応について
2025年2月6日
拝啓 時下益々ご清祥のこととお慶び申し上げます。日頃は格別のお引き立てを賜り厚くお礼申し上げます。さて、企業会計基準委員会(ASBJ)から、2024年9月13日に企業会計基準第34号「リースに関する会計基準」(新リース会計基準)が公表されました。
「新リース会計基準」では、国際的な会計基準との整合性の観点などから、一部の例外を除き、原則として借手のすべてのリースについて使用権資産およびリース負債の計上が求められることになります。この制度へのMJS資産管理/減価償却システムの対応についてご連絡いたします。
敬 具
記
1. 新リース会計基準について
現行のリース会計基準では、ファイナンス・リースに分類されたリース取引については売買取引(リース資産・リース債務を計上)に準じた会計処理を行い、オペレーティング・リースに分類されたリース取引については賃貸借取引(発生時に費用処理)に準じた会計処理を行うこととなっています。そのため、経済的実体が同じ取引でもリース取引の分類によって異なる会計処理が行われていました。
新リース会計基準ではIFRS第16号で取り入れられた使用権モデルの考え方が導入され、原則としてすべてのリース取引について単一の会計処理(使用権資産・リース負債を計上)が行われることとなります。
そのため、現在オペレーティング・リース取引に分類され発生時に費用処理していた取引について、新リース会計基準ではファイナンス・リース取引と同様にオンバランス処理されることになります。
2. 新リース会計基準の適用開始日
2027年4月1日以後に開始する連結会計年度および事業年度の期首から原則適用となりますが、2025年4月1日以後に開始する連結会計年度および事業年度の期首から早期適用することも可能です。
3. 新リース会計基準の適用範囲
2027年4月以降に適用可能な会計基準をまとめると以下の表になります。
連結財務諸表 | 個別財務諸表 | |
---|---|---|
上場企業 |
日本基準 ※新リース会計基準を強制適用 |
日本基準 ※新リース会計基準を強制適用 |
指定国際基準(IFRS) | ||
修正国際基準(JMIS) | ||
米国基準 | ||
未上場企業 (大会社) |
日本基準 ※新リース会計基準を事実上の強制適用(注1) |
|
未上場企業 (中小会社) |
日本基準※任意適用 | |
中小企業の会計に関する基準 | ||
中小企業の会計に関する基本要領 | ||
税法に基づく会計処理 |
(1) 上場企業
個別財務諸表で新リース会計基準の適用が強制されます。また、連結においても日本の会計基準に準拠して作成する場合には新リース会計基準の適用が強制されます。
(2) 上場企業の子会社
当該子会社が中小企業等である場合、現行のリース会計基準に準拠して個別財務諸表を作成することは可能ですが、親会社によって新リース会計基準への準拠を強制される可能性があります。
(3) 未上場企業(大会社)
会計監査人による監査義務があるため、事実上新リース会計基準に準拠することが強制されると考えられます。
(4) 未上場企業(中小会社)
中小企業の会計に関する基準等に準拠して会計処理を行うことで、現行のリース会計基準に準じて会計処理を行うことが可能です。
4. 税務上の扱い
【法人税】
令和7年度税制改正大綱では、オペレーティング・リース取引の法人税処理については、現行と同様に賃貸借処理が継続されることが示されました。よって会計上の使用権資産に係る減価償却費とリース負債に係る利息相当額の合計額と法人税上のオペレーティング・リース取引に係る賃借料の金額(損金算入額)が不一致となるケースがあるため、新リース会計基準適用後は申告調整が必要となる場合があります。
【消費税】
法人税とは異なり税制改正大綱上明記されていませんが、オペレーティング・リース取引については消費税上では現行と同様に賃貸借処理され、リース料を支払うべき日の属する課税期間において仕入税額控除を適用します。
5. 各MJSシステムの対応について
【対応方針】
- 利用するリース会計基準を選択できるよう対応いたします。
- 新リース会計基準を採用する場合は、登録済みリース物件の見直しが必要となります。
【対応システム】
- Galileopt DX / NX-Plus・MJSLINK DX / NX-Plus
- ACELINK NX-Pro / NX-CE・MJS税務DX / NX-Plus
6. 参考サイト
7. ご案内の確認について
本件についてシステム起動時の「MJSからのお知らせ」、TVSサイト、およびGOODWILL PLUSサイトにてお知らせいたします。
8. セミナーの実施について
MJSでは新リース会計基準についてのセミナーを3月に実施予定です。詳細が決まりましたら下記セミナー・研修会ページにて告知させていただきます。
以 上
(注1)会社法上大会社には会計監査人による会計監査が義務付けられており、会計監査人により新リース会計基準の適用を求められることが想定されます。