導入事例

あさひ合同会計グループ

2015年5月18日

あさひ合同会計グループ 様

あさひ合同会計グループ(岡山県岡山市)は再来年、創業40周年を迎える県内有数の会計事務所グループである。歯科クリニックをはじめとする医療・介護分野に強く、広報誌やセミナーなど顧問先への情報発信や、ITを活用した中小企業の業務効率化にも積極的に取り組んでいる。グループ代表の髙木正男税理士(写真)は、銀行員時代の人脈と経験を生かし、金融機関と顧問先企業の橋渡し役として活躍。創業者の急逝により引き継いだグループをしっかり守りつつ、先進的なIT活用でさらに発展させようとしている。そんな髙木代表に、これまでの数々の取り組みについてお話しいただいた。

創業38年の会計事務所グループ

―― まず、あさひ合同会計グループの沿革から伺います。

髙木 創業者の奥山晥税理士が、個人事務所を開設したのは昭和52年です。平成19年に税理士法人化し、現在のあさひ合同税理士法人となりました。再来年、創業40周年を迎えます。
 グループの株式会社あさひ合同会計の設立は平成10年で、こちらも前身はオクヤマシステム有限会社という会社です。記帳受託、IT化支援、会社設立、経営支援などを主要な業務としています。
 各種の会計システム、ITサービスなどを提供するネットリンクス株式会社もあり、当グループはこれら3社で構成されます。

―― 髙木先生は金融機関から転職されたそうですね。

髙木 はい。昭和55年から11年間、岡山の山陽相互銀行(現トマト銀行)に勤めました。大学で学んだ交通政策や経済地理の知識を生かせる仕事か、趣味の自転車に関わる仕事に就きたかったのですが、19歳のときに父が亡くなったため、実家のある岡山で就職したのです。

―― なぜ銀行から転職しようと思われたのですか。

髙木 私は、仕事を通して地域貢献することが自分の務めであり、仕事は自分のため、お客様のため、会社のためにするものだと思っていました。しかしバブル景気が始まったころから、その思いを貫くのがだんだん難しくなってきました。いろいろ悩んだ末、平成3年に転職を決意したのです。
 転職するには資格が必要だと思い、融資関係の仕事をしていたので、その経験を生かせるのは税理士ではないかと考えました。父親が亡くなったときに相続税の申告を経験して、税理士に対する親近感もありました。
 そのようなとき、夕刊に載っていた求人広告を見て、外回りのついでに訪ねて奥山先生ともお話しし、当時のオクヤマシステムに入社したのです。
 ところが、決算書を見る側からつくる側になってみると、自分には足りないところがまだたくさんあると感じ、猛勉強を始めました。結局、税理士登録までに12年間かかりましたが、さまざまなことを学んだり経験したりするなかで得られたものは大きく、自分にとってはちょうどよい期間だったのかなという気がします。
 平成16年に税理士登録をし、翌年事務所の副所長になりました。平成19年の税理士法人化後も、社員税理士としてグループを支えていくつもりでしたが、その年の12月に奥山が亡くなったのです。
 成り行き上、私が代表に就いたものの、正直に言うと、ほとんど覚悟もないまま引き受けたように記憶しています。

創業者の急逝により グループを承継

―― 創業者の奥山先生の急逝という難局を乗り切り、グループも発展を続けているのですから、当時の選択は正しかったといえますね。

髙木 もちろん、私ひとりの力ではなく、当時の職員たちがしっかりしていたことが一番大きな理由です。
 また、所長が不在でも業務を滞りなく進められるような体制は、それなりにつくっていました。

―― 現在、職員や顧問先の数は、グループ全体でどのくらいでしょうか。

髙木 会計部門は15人、ネットリンクスが7人で、派遣社員が若干名です。また、先代の時から外部スタッフとして国税OBの先生を迎えています。特に、法人課税や資産税については、署長経験のある先生が2人いらっしゃるので、自信を持って申告できるし、税務調査などにも強みを発揮するでしょう。
 法人の顧問先は、月次が約250件で、年一や確定申告も含めると、その倍を超えるでしょう。

―― あさひ合同会計グループといえば、医療、特に歯科に強いことで有名です。

髙木 歯科の診療所、クリニックは50を超えます。私が入社したときから、ずっと50~60件をキープしています。歯科材料メーカーさんからのご紹介と、奥山が岡山大学歯学部で講演したご縁で、先生方が卒業生に声をかけてくださるようです。
 また、当グループのお客様は岡山県南エリアに多く、このエリアの診療圏調査のデータなども提示できるので、お客様からは参考になると喜んでいただいています。
 そのほか、介護事業所、薬局、社会福祉法人も含めれば、250の約3分の1は医療・介護関係のお客様です。

―― 顧問先に対する情報発信も積極的に行われているそうですね。

髙木 はい。「インフォメーション」という広報誌を毎月発行しています。これも奥山が始めた広報誌「オクヤマタイムズ」が前身です。

―― お話を伺うと、奥山先生が築いた地盤を、髙木先生とスタッフ全員が一丸となって、さらに強固なものに育てているという印象です。

髙木 奥山にはカリスマ的な面があり、お客様からの経営相談などに対し、即断して話ができる人でした。なかなか同じようにはいきませんが、私の一番の強みは、銀行員としての経験を生かした金融機関との折衝です。銀行とお客様、双方の通訳のような立場ですが、もちろんお客様寄りのスタンスを守ります。
 今では、出身行の社長や役員はよく知っている人ばかりで、互いに紹介したり紹介されたり、よいお付き合いをさせてもらっています。

―― それは顧問先の社長にとって、大きな安心につながりますね。

顧問先を照らす朝日のような存在

―― 貴社のホームページを拝見すると、経営理念として信条(Credo)、指針(Motto)、職員満足(Employee Satisfaction)の3つが掲げられています。顧客や地域への貢献と同じくらい、職員の心の充実も重視しているということでしょうか。

髙木 これは、奥山が亡くなってから、当時の幹部と合宿してつくったものです。専門知識や、お客様のためになるサービスに加え、職員の満足が得られなければ会社は続かないと考え、この三本柱を経営理念としました。
 これ以前から、業務基本要項や行動基準書もあり、朝礼で1項目ずつ唱和しています。経営理念は、月1回の全体会議で読み合わせています。

―― グループ各社の名称にもある「あさひ合同」の由来を教えていただけますか。

髙木 「あさひ」にはいろいろな意味を込めていますが、まず毎日必ずやってくる日の出=朝日を指します。日の出から始まる今日は、一日として同じではないことを肝に銘じ、その今日を精いっぱい生きようということです。また、朝日のようにお客様を照らす存在になろうという意味もあります。
 「合同」は、税理士をはじめ司法書士や弁護士、社労士、診断士などによるワンストップサービスを指します。職員には常に、「お客様のかかりつけ医のつもりでやろう」「何でも聞こう」と言っています。簡単なことは社内で対応し、高度なものは各分野の専門家に回す流れができています。理想は、社内ですべての専門家をそろえることです。

ITによる業務効率化支援

―― 専門知識という点では、会計事務所の業務だけでなくITにも強い職員が多いそうですね。

髙木 仰るとおり、ITと会計の両方が分かり、お客様にご提案できることも当グループの強みのひとつです。特に、地域の中小企業のIT支援と、事務効率化支援を担っているのがネットリンクスです。

――すると、さまざまな会計システムやパッケージソフトに精通した社員が多いということでしょうか。

髙木 確かに各社の製品を取り扱っています。ただ、私が入社した時点で既に基幹システムとして導入されていたミロク情報サービス(以下、MJS)の製品が、一番使い慣れていてお客様にもお薦めしやすいですね。

―― MJSのどのような製品をどう活用されているのでしょうか。

髙木 現在、あさひ合同税理士法人では「ACELINK NX-Pro」を導入し、事務所業務管理システムとして利用しています。売上管理、売掛管理にも使っていますが、特に重宝しているのが顧客管理です。過去の決算の資料などが一覧で見られるので、担当者が不在でも、お客様からの問い合わせにすぐ対応できます。最新の決算の進捗状況なども、いつでもチェックが可能です。
 お客様には、「iCompass」や「記帳くん」などを自計化のためのツールとしてご提供しています。中でも、オフィスのパソコンに自宅や外出先から接続してコントロールできる「iCompassリモートPC2」、インターネットを介してお客様のパソコンにつないで遠隔操作が可能な「iCompassコミュニケーション」は、今や遠隔地のお客様とのコミュニケーションに欠かせないツールといってもよいくらいです。
 これらのツールを活用することで、お客様の会社を訪問することが、従来とは違った意味合いを持ち始めてきました。すなわち、細かい数字のチェックなどはツールで済ませておけば、直接お会いするときは経営に関わる相談やアドバイスに集中できるからです。

岡山ナンバーワン事務所を目指す

―― 最後に、あさひ合同会計グループの中長期的な成長戦略について伺います。

髙木 お客様から、「あさひ合同会計に頼めば解決してくれる」と言っていただけるような事務所にしたいですね。そして、岡山ナンバーワンの会計事務所を目指すという気持ちでやっていきます。
 そのために、従来の強みである医療分野もしっかり発展させつつ、これまで以上に、中小企業の経営支援に向けた取り組みにも力を入れていく所存です。その一環として、新たな事業部門の新設も計画しています。

―― 本日は、貴重なお話をありがとうございました。あさひ合同会計グループのさらなるご発展を祈念しています。

導入事務所様のご紹介

髙木 正男(たかき・まさお)

あさひ合同会計グループ代表。税理士。昭和55年、香川大学経済学部経営学科を卒業し、株式会社山陽相互銀行(現トマト銀行)入行。平成3年、オクヤマシステム有限会社(現株式会社あさひ合同会計)入社。平成16年5月、税理士登録。平成17年、奥山晥税理士事務所副所長。平成20年にあさひ合同税理士法人代表社員税理士、平成22年に株式会社あさひ合同会計代表取締役社長に就任。

あさひ合同会計グループ

所在地 岡山県岡山市北区表町1-7-15 パークスクエアSHOWA 4F
代表者 髙木 正男
設立 昭和52年
職員数 25名(あさひ合同会計グループ全体)
得意分野 経営支援、歯科支援、相続・事業承継支援、資産運用支援、
公益法人支援、総務代行、IT化による業務効率化支援
URL http://www.asahi-gk.co.jp/
  • 本事例の掲載内容は取材当時のものです。

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