導入事例

中野会計グループ 様

2014年9月8日

資産税コンサルで躍進する 中野会計グループ

中野会計グループ(本部:北海道岩内郡岩内町)は、税理士法人中野会計事務所を中心に、北海道で4拠点を展開している。新しい取り組みをいち早く行うことで知られる同グループが、近年力を入れているのが資産税コンサルティング、事業承継支援であり、事業の柱のひとつにまで成長しつつある。また、長年にわたる顧問先のマーケティング支援で培ってきたノウハウを会計事務所の業務と組み合わせて提供することで、新たなフレームワークの構築にも取り組んでいる。今回の取材では、グループの創業者である中野幸一先生(写真中央)、PMC株式会社代表取締役会長兼CEOの中野善夫氏(同左)、そして一般社団法人相続手続支援センター札幌常務理事の鹿内幸四朗氏(同右)に、これらの取り組みについてお話を伺った。

時代の要請に応え続けて半世紀

―― 弊誌は中野会計グループに何度か取材をさせていただいていますが、あらためて「中野会計グループ」の沿革についてお聞かせください。

中野代表

中野代表 当グループの母体である中野会計事務所を岩内(岩内郡岩内町)で開業したのは昭和37年です。税理士資格を取得したのはその前年で、最初の受験で財務諸表論の科目が取れたので、勤務していた事務所を辞めて半年間猛勉強し、残りの4科目も取得しました。

―― 2回の受験で全科目に合格したのはすごいですね。

中野代表 周囲からは「いつ勉強したのだ」と驚かれました。6歳を頭に3人の子どもがいたので、後戻りはできないという思いもありました。開業当時は私と家内の2人だけで、家内を自転車の後ろに乗せて砂利道を事務所まで通ったものです。
創業40周年を迎えた平成14年、72歳の時に広域展開を決断し、札幌と倶知安に進出しました。きっかけのひとつは税理士法の改正で、当事務所は北海道での税理士法人化第1号です。
広域展開当初、札幌のお客様はゼロでしたが、12年後の現在、コンサルティング会社のPMC株式会社など、12法人からなるグループに成長しました。平成19年に岩見沢、今年1月に苫小牧事務所を開設し、現在は4拠点体制です。スタッフ数も広域展開前の20名から70名規模に増え、来春までにさらに5名採用する予定です。
グループは2年前に創業50周年を迎え、私は今年84歳です。75歳の時に立てた、20年間の人生計画どおりに進んでいます。

―― 約10年で数倍の規模にまで成長された理由は何でしょうか。

中野代表 お客様のマーケティング支援に特化したことが大きいと思います。札幌進出の少し前から、本を読んだり東京に出掛けたりしてマーケティングを学びました。
この分野で特に好評だったのが、平成19年に始めた「どさんこ増販塾」という勉強会です。最高で200名以上集まったこともあり、最初は2時間半だったのが、参加者のご要望で4時間にまで延びました。ご好評をいただいたおかげで、目標に掲げた50回を達成できました。
同じ年に、資産税の専門部隊として一般社団法人相続手続支援センター札幌を設立しました。顧問先以外の方々の資産税に関わる多様なニーズにもお応えすべく、もうひとつの窓口を設けたのです。現在、会計事務所の資産税部門と合わせて専任担当者が10名います。

―― 中野代表は多くのご著書を出版され、マスメディアでの活躍も印象的です。

中野代表 メディアへの露出も、マーケティングの手法のひとつです。例えば、帝国データバンクのニュースのコラムを50回近く続けているのですが、初対面の方から「読んでいます」と言われたりして、会話が円滑に進むといった効果もあります。

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会計事務所とコンサルティングの融合

―― 続いてPMCの中野会長に、近年のコンサルティング事業における取り組みについて伺います。

中野会長

中野会長 大きな方向性としては、3年前に代表から言われた「会計事務所のマネジメントと、コンサルティング会社としての機能を複合させた形での拡大」を進めています。
ひとつは、当時、先進的な事務所さんを除けばさほど注目されていなかった相続と事業承継の分野に注力しました。
もうひとつは医療分野への特化です。PMCは、もともと一般の中小企業へのコンサルティングが中心でしたが、ここ10年は業界を絞り込んで全国展開しています。中でも、420を超える医院のコンサルティングを手掛けた歯科分野は全国トップです。医科も含めた医療領域への特化をさらに進め、普通の会計事務所にはできないプロのコンサルティングを、グループとしてワンストップで提供しようと思っています。

―― 実績に裏打ちされたPMCのコンサルティング力を中野会計事務所と融合させるような形でしょうか。

中野会長 そうですね。従来の会計事務所の役割に、コンサルティング会社の機能を併せてご提供することで、クライアントの方々に、「本当の会計事務所の使い方」を理解していただけるようになったのではないかと感じています。

―― 会計事務所を、単に申告だけでなく経営のために生かそうとするお客様が増えてくるのですね。

中野会長 はい。経営者が経営を学び始めると、「会計事務所は自分たちが主体的に使うものだ」ということが、はっきり見えてきます。そこが大きなポイントだと思います。そして、「経営のことならお任せください」と言える事務所であるかどうかが重要でしょう。クライアントの企業経営者を成長させることが、会計事務所の成長につながるのです。
ここが、私たちの一番の強みでもあります。例えば、去年からスタートさせた若手経営者の養成講座では、一期生の10社すべてが、著しい成長を見せています。成長する会社は、会計事務所の機能をどんどん使ってくれます。また、講座の延長線上で個別のコンサルティングの依頼も続々入るという好循環が生まれています。この流れを二期、三期と積み重ねていくことが重要だと思います。

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相続・事業承継支援も本格化

―― グループの柱のひとつである相続・事業承継支援への取り組みについて、相続手続支援センター札幌の鹿内常務理事に伺います。

鹿内氏

鹿内 相続手続支援センター札幌が設立された5年前は、相続税法改正の話が出始めたころです。最初の2年は手探りの状態で、私は調査のためにさまざまなセミナーに参加しました。しかし、正直にいってさっぱり面白くない。これを自分の母親にも分かるように説明したら一般受けするのではないかと思い、開催したのが「母と娘の相続講座」です。これが大当たりとなり、3年目にしてようやく芽が出ました。それ以来、仕事のほとんどがBtoBではなくBtoCになってきました。そうすると、セミナーに葬儀社や保険会社、不動産会社などのスポンサーが付き始め、4年目に花開いたというわけです。
5年目を迎えたこれからが、本当の勝負と捉えています。そろそろ親が亡くなる時期を迎える40~50代のサラリーマンは、漠然とした不安を抱えていますが、どこに相談すればよいか分からない。そこで私たちは、郵便局などに無料相談券付きのパンフレットを常置しています。ご相談に見える方はお年寄りも多く、分かりやすくご説明することで大変喜ばれています。

―― 相談に乗ってくれるだけでなく、煩雑な相続手続きも代行してもらえれば、とても助かりますね。

鹿内 仰るとおりです。相続手続支援センター札幌を4年やって分かったのは、BtoBでもBtoCでも、公正証書を使う技術や遺言執行の技術は変わらないということです。しかし、これらを武器にする会計事務所はまだほとんどありません。そこが、会計事務所にとって大きな差別化につながると思います。現在は、よりBtoBにフォーカスしようと作戦を考えています。
BtoCの案件も手掛けたからこそ、企業経営者と地主という、2つのラインの両方が分かりました。地主であり、経営者でもある企業経営者の案件は、経験者でなければ扱うのが難しいと思います。

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4拠点間をVPNで接続し仮想化も活用

―― 中野会計グループは、組織やサービスの強化に熱心なことでも有名ですが、4つの拠点をネットで結ぶ基幹システムを構築されているそうですね。

中野代表 はい。当グループでは、ずっとミロク情報サービス(以下、MJS)のシステムを導入しています。MJSとは、専用機の時代からのお付き合いになります。

中野会長 グループの発展に合わせて、システムも更新してきました。3年前には、岩内事務所と札幌事務所に基幹システムとして「ACELINK NX-Pro」を導入し、記帳・申告・請求の管理、日報や顧問先の管理などに活用しています。倶知安と苫小牧事務所では、XenAppによる仮想化環境を運用しています。拠点間はVPNで結び、他の拠点からもアクセスしてデータを扱えるようになっています。
また、MJSのシステムはオープン性が高いため、顧問先での入力データを期末に一括して取り込むツールを独自開発して利用しています。記帳代行業務が中心の岩内、倶知安、苫小牧事務所では、「iCompassNX会計」も使っています。

人材の育成が今後の成長のカギ

―― 先ほど中野代表が仰っていた人生計画の後半にあたる、今後10年の成長戦略について伺います。

中野代表 私は、売上と利益を伸ばせば経営課題のほとんどは解決できるし、そのために必要なのがマーケティングとイノベーションだと考えています。その考え方に基づき、本当に売上を伸ばせる、銀行から信用されるような経営計画書の作成指導ができる会計事務所の組織化を目指して、6月に「経営革新機関全国連合会」(経革連)という団体を設立しました。ベースとなっているのは、高橋憲行先生が主宰するJMMO(日本マーケティング・マネジメント研究機構)です。
本格的な活動はこれからですが、金融機関からは大きな関心が寄せられています。

―― 将来、グループを引き継ぐ立場にある中野会長のお考えはいかがでしょう。

中野会長 当グループの当面の目標として掲げている年商10億円は、1~2年のうちに達成できる見込みです。
問題はその先です。そのラインを超える人時生産性の高い事務所を実現し、皆が豊かで幸せになるためには、優秀な人材を採用し、教育と訓練を施すことが不可欠です。来春には75名体制になる予定ですが、優秀な人材をどう採用、育成するかが、今後の成長のカギを握る要素です。具体的にいえば、従来の会計事務所の業務しかこなせない職員ではなく、コンサルティングビジネスにしっかり貢献できるような人材をいかに集められるかでしょう。そこが担保できる力が付けば、次のステージに到達するのは早いと考えています。

中野代表 優秀な人材がいればよい仕事ができます。例えば、コア業務である税務では、1年以内に税理士を現在の6名から10名まで増やす計画です。といっても、単に数をそろえるのではなく、会長が言ったようにコンサルティングができる人材を求めていきます。

―― 本日は貴重なお話をありがとうございました。中野会計グループのますますのご発展を祈念しています。

導入事務所様のご紹介

中野 幸一(なかの・こういち)

中野幸一(なかの・こういち)

中野会計グループ代表。税理士法人中野会計事務所代表社員。税理士・行政書士・社会保険労務士。昭和4年生まれ。昭和37年、税理士登録をし、中野会計事務所を開設。平成14年、税理士法人中野会計事務所を設立。倶知安事務所と札幌事務所を開設。平成18年、行政書士法人中野会計事務所、社会保険労務士法人中野会計事務所を設立。平成26年、苫小牧事務所を開設。

中野会計グループ

所在地

岩内本部事務所(岩内郡共和町)
倶知安事務所(虻田郡倶知安町)
札幌事務所(札幌市中央区)
苫小牧事務所(苫小牧市栄町)

代表者 中野 幸一
設立 昭和37年
構成人数 50名(税理士を含む)
主な業務 事業承継、相続・資産税、医業、介護事業、建設業
URL http://www.nakano-ao.gr.jp/
  • 本事例の掲載内容は取材当時のものです。

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