金利上昇局面に突入した今だからこそ要チェック! 借金の利息の支払いは大丈夫?

2026年9月3日

質問

最近のニュースで、金利の上昇が取り上げられることが多くなっています。「ミロク工業」は、長きにわたり、低い金利で借り入れができていたので、支払利息を強く意識することはありませんでしたが、金利上昇の影響が気になり始めました。この状況で、借金の利息の支払いが大丈夫かをチェックするのに最も適しているのは次のうちどれでしょうか?

パターン1

利息の支払額の推移をグラフにして可視化する。

パターン2

支払利息に対して、どれほどの営業利益を得ているのかを確認する。

パターン3

有利子負債が、自己資本に対してどれほどかを確認する。

この質問をイメージして以下のストーリーをお読みください。

お金
注意

長く続いた低金利から、金利上昇局面へ

「ミロク工業」は、工場で使用する機械等の部品を製造している中小企業です。現在の社長は、2代目であり、創業時から、金型で一定の評価が得られており、いろいろな企業から注文を受け続けています。そのため、安定した収益力がある企業だと言えます。しかし研究開発は継続すべしとの先代社長の方針を受け継ぎ、経営を行ってきました。長きにわたり低金利が続いていたため、研究開発のための資金の多くは、借入に依存してきました。金利が低いことが、チャンスであると考えて、積極的に設備投資等も行ってきたのです。
しかし最近では、金利の上昇が話題となってきています。金利が低い時代は利息負担が小さく、借入や投資の判断が前向きになりがちでしたが、金利が上がり始めると次のようなことが起こりやすくなります。
(例)
 ・借入残高が変わらなくても利息は増え、余力がじわじわ削られていく。
 ・回収に時間がかかる投資ほど、その間の利息負担が増え、途中で資金繰りが苦しくなる。
 
そのため借入金に係る支払利息のことにも一層の配慮が必要ではないかと、社長は考えるようになりました。最終的に利益が得られているのだから、今の借入金の額には問題がないと判断するだけでは、不安であると考えました。

これまで社長は、借入金については、その返済が滞らないことを中心に考えて、流動比率当座比率を気にしてきました。しかしそれらは、直接的に利息を指標の計算の中に取り入れているものではありません。そのため、今後の借入金に係る方針の一助となるとしても、金利上昇を考慮した指標としては、物足りなさを感じていました。

質問

最近のニュースで、金利の上昇が取り上げられることが多くなっています。「ミロク工業」は、長きにわたり、低い金利で借り入れができていたので、支払利息を強く意識することはありませんでしたが、金利上昇の影響が気になり始めました。この状況で、借金の利息の支払いが大丈夫かをチェックするのに最も適しているのは次のうちどれでしょうか?

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パターン1

利息の支払額の推移をグラフにして可視化する。

パターン2

支払利息に対して、どれほどの営業利益を得ているのかを確認する。

パターン3

有利子負債が、自己資本に対してどれほどかを確認する。

これは、支払利息の金額の変化を可視的に捉えようとするものです。借入残高の増減や返済条件の変更でも利息は変化するため、「金利上昇局面で利息の支払いが大丈夫か」は判断しづらいです。

ミロク工業の社長が注目したのは、この指標です。これは、インタレスト・カバレッジ・レシオという指標で確認することができます。この指標は、営業利益が支払利息の何倍であるのかを把握する指標です。言い換えると、営業利益が支払利息の何回分かを示すものです。この指標は、借入金に係る利息に対する支払能力を示す指標となります。

これは、負債のなかで、有利子の負債だけを取り出して、それが自己資本に対してどの程度の大きさとなっているのかを把握する指標です。これは、ギアリング比率、あるいはレバレッジ比率、負債比率などとも呼ばれるものです。これは、財務安定性を判断する1つの指標ですが、金利上昇局面で利息の支払いが大丈夫かを捉える指標ではありません。

金利の上昇を捉える指標とは

社長は、借入金に対する短期的支払能力として、流動比率や当座比率を重要視してきました。そのために、それらの指標を悪化させるような借入の追加には慎重でした。しかし、研究開発を継続し、事業を発展させるために、借入による資金調達は重要な役割を果たしてきました。端的に表現するならば、低金利のために、その資金調達に係る費用(支払利息)の金額を超えて利益が得られるのであれば、借入をした方が良いとも言えます。

しかし金利上昇を踏まえて、借入金に係る利息の金額上の重要性が高まってきました。そこで社長は、財務部長とこの件について話をする機会を持ちました。


社長

最近、金利の上昇が話題になっているけど、わが社の借入金の金利も上がるんだろうねぇ

そりゃ、そうでしょうね。今一度、わが社の借入金の適正性について考えた方が良いですね


財務部長


社長

どういう視点で、考えればいいのかねぇ

支払利息に注目した指標として、代表的なものとしてはインタレスト・カバレッジ・レシオがあります。営業利益を支払利息で割った比率です。たとえば、営業利益が2,000万円で、支払利息が500万円とすると、インタレスト・カバレッジ・レシオは、「2,000万円÷500万円」で、4倍として計算されます。
要するに、支払利息の何回分の営業利益があるかということを示したもので、支払利息に対する支払能力を示すとされています


財務部長


社長

わが社の場合、営業利益だけでも、支払利息を十分に支払えるだけの金額があるから、その支払能力は十分ということかな?

いえいえ、わが社のような中小企業の場合、8倍から9倍程度が平均値のようです


財務部長


社長

わかった。では、現在の支払利息の金額での比率と、現在の借入額を前提とした場合に、インタレスト・カバレッジ・レシオが9倍を維持できる金利を逆算で求めておいてくれるかな?

了解しました


財務部長

金利の上昇を踏まえた今後の方針

金利の上昇を踏まえて、今後の借入の方針を定めていきたい社長にとっては、その目安として、インタレスト・カバレッジ・レシオに注目することにしました。この指標は、次の算式により求められます。

インタレスト・カバレッジ・レシオ = 営業利益  ÷ 支払利息

(注)計算式は一例であり、別の計算式もあります。

社長は、これまで重視してきた流動比率等に加えて、インタレスト・カバレッジ・レシオも重要な指標として、企業経営に役立てるようになりました。金利が高くなれば、追加借入れには慎重になりますが、その際にはインタレスト・カバレッジ・レシオを見ながら、判断を下すようにしています。このことで、借入れが将来の利益を過度に圧迫するような利息の支払いにつながらないように、配慮しています。当然に、将来の営業利益の見積りを踏まえて、資金計画を立てるようになってきました。

最近では、設備投資の金額が大きくなっていることから、営業利益に減価償却費を加えた合計額を支払利息で割ることで、よりキャッシュフローに近い数値も計算し、支払能力の確認を行っています。

「インタレスト・カバレッジ・レシオの活用」

インタレスト・カバレッジ・レシオは、現状を知るためだけでなく、借入れの利息負担が将来の利益を過度に圧迫しないように、追加借入れなどの判断を行う際にも使えます。

インタレスト・カバレッジ・レシオについてもっと知りたい方はコチラもご覧ください。
当社のインタレスト・カバレッジ・レシオ(ICR)は黄色信号!? 分析する際の留意点(経営センスチェック2025年12月13日号)

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