第33回 両立支援等助成金の活用1
2022年10月5日
2022年10月1日の改正育児・介護休業法により、いよいよ産後パパ育休(出生時育児休業)の制度が導入されます。また、本来の育児休業制度も2回に分割して取得できるなど柔軟な取得が可能となり、各企業においても育児休業を取得しやすい雇用環境の整備が急務となっていますが、貴重な戦力が抜けてしまうことに苦慮する中小零細企業も少なくありません。
そこで今回と次回の2回にわたり、このような中小零細企業の助けとなる助成金「両立支援等助成金」をご紹介いたします。
両立支援等助成金 出生時両立支援コース(子育てパパ支援助成金)の概要
出生時両立支援コースは、産後パパ育休制度の創設を見据えて今年度見直しされました。 男性労働者が育児休業を取得しやすい雇用環境整備や業務体制整備を行った中小企業(大企業は対象から外れました)で、実際に男性労働者が育児休業を取得した場合に受給することができる助成金です。第1種と第2種の段階的に2つの制度により構成されており、合計最大140万円受給(図表1参照)することができます。
出生時両立支援コースの、第1種及び第2種の主な受給要件は下記の通りです。
1.第1種(男性労働者の出生時育児休業取得)
- 育児・介護休業法に定める雇用環境整備の措置(※1)を、対象育児休業取得者の雇用期間中かつ育児休業の開始前日までに複数(※2)行っていること。
- 育児休業取得者の業務を代替する労働者の、業務見直しに係る規定等を策定し、当該規定に基づき業務体制を整備(※3)していること。
- 男性労働者が子の出生後8週間以内に開始する連続5日以上の育児休業を取得すること。
(所定労働日が4日以上含まれていることが必要です) - 男性労働者が子の出生後8週間以内に開始する連続5日以上の育児休業を取得すること。
(所定労働日が4日以上含まれていることが必要です)
<代替要員加算>
- 男性労働者の育児休業期間中の代替要員を新たに確保した場合に支給します。
(代替要員は育児休業取得者の業務を引き継ぐ目的で新たに採用した場合に限ります)
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育児・介護休業法第22条ダ第1項(2022年4月1日施行)に規定する雇用環境整備に関する措置のうち、次のいずれかをいう。
①雇用する労働者に対する育児休業に係る研修の実施
②育児休業に関する相談体制の整備(相談窓口の設置等)
③雇用する労働者の育児休業の取得に関する事例の収集及び当該事例の提供
④雇用する労働者に対する育児休業制度及び育児休業の取得の促進に関する方針の周知
- 2022年10月以降、産後パパ育休の申出期限を開始予定日から2週間を超えるものとしている事業主は3つ以上行っていることが必要
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業務体制整備の規定とは、就業規則、労使協定やそれに関連する内規等に定めるか、当該内容を育休復帰プランに盛り込んで作成するかのいずれかが必要であり、次の事項が含まれたものをいう。
・育児休業取得者の業務の整理、引き継ぎを行うこと
・引き継ぎ対象となった業務について、見直しを検討し、検討結果を踏まえて必要な対応を行うこと
また、見直しの内容としては、休廃止・縮小、効率化・省力化、実施体制の変更、外注等が想定されるが、事業主や業務代行者の状況に応じ、必要な対応を行うことが望ましい。
2.第2種(男性労働者の育児休業取得率向上)
- 第1種の助成金を受給していること。(第2種のみの申請は不可。)
- 育児・介護休業法に定める雇用環境整備の措置を複数行っていること。
- 育児休業取得者の業務を代替する労働者の、業務見直しに係る規定等を策定し、当該規定に基づき業務体制を整備していること。
- 第1種の申請をしてから3事業年度内に、男性労働者の育児休業取得率(※4)が30%以上上昇していること。
- 育児休業を取得した男性労働者が、第1種の対象となる労働者の他に2名以上いること。
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育児休業取得率は、配偶者が出産した男性労働者の数に対する、育児休業をした男性労働者の割合をいう。1~3事業年度の中で、育児休業取得率が30%以上に達するのが早ければ早いほど受給金額が多くなる。尚、ここでいう男性労働者はいずれも雇用保険被保険者に限る。
前述の通り、出生時両立支援コースは今年度(令和4年度)大きく見直しが行われましたので、昨年度(令和3年度)までの要領に基づく出生時両立支援コースの支給を受けていた場合でも、今年度の要領に基づく申請をすることが可能です。ただし、今年度以降の要領に基づく第1種、第2種の支給は、それぞれ1事業主当たり1回までとなります。
男性労働者の産後パパ育休の取得に際して出生時両立支援コースを申請する場合の手順は次の図表2を参考にしてください。
ここ数年、男性労働者の育児休業取得への意欲が高まっていることや法改正により、今後さらに育児休業の取得率が高まっていくことは確実ですので、早い機会に当該助成金の活用を見据えた雇用環境整備、規定関係の整備をお勧めいたします。