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第60回 改正育児・介護休業法の概要1
2025年1月8日
男女ともに仕事と育児・介護を両立できるようにするため、子の年齢に応じた柔軟な働き方を実現するための措置の拡充、育児休業の取得状況の公表義務の対象拡大や次世代育成支援対策の推進・強化、介護離職防止のための仕事と介護の両立支援制度の強化等の措置を講ずることを目的として、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(以下、「育児・介護休業法」という)」が改正されました(2024年5月31日改正、2025年4月1日より段階的に施行)。
この育児介護休業法の改正のポイントについて、今回から3回に分けて解説していきます。
1.子の看護休暇の見直し(2025年4月1日)<義務 / 就業規則の変更>
子の看護休暇は、労働者1人につき年間最大5日(子どもが2人以上いる場合は10日)取得できます。この日数は年度ごとに付与され、2人以上の子どもがいる場合でも、休暇の配分に制限はなく、1人の子どもに全日数を使うことも可能です。また、今回の改正により、勤続6か月未満の労働者を子の看護休暇の対象外とする仕組みが廃止されます。そのため、新入社員を含むすべての労働者が子の看護休暇を取得できるようになり、育児支援がより広く行き届く環境が整備されることになります。
<図表1:子の看護休暇の見直し>
2.所定外労働の制限の対象拡大(2025年4月1日)<義務 / 就業規則変更>
所定時間外の労働(いわゆる残業)の制限は、現在の「3歳に満たない子」から「小学校就学始期に達するまでの子」に範囲が拡大されます。対象となる子を養育する従業員から請求があった場合は、事業主は残業を命じることはできません。
<図表2:対象となる子の範囲>
3. 育児短時間勤務の代替措置にテレワークを追加(2025年4月1日) <努力義務>
事業主は、労使協定によって育児短時間勤務の対象外とした労働者に対し代替措置を講じる必要がありますが、その代替措置にテレワークが新たに加えられます。
<図表3:短時間勤務制度の代替措置>
- 短時間勤務制度を講ずることが困難と認められる具体的な業務があり、その業務に従事する労働者がいる場合のみ、労使協定を締結し除外規定を設けたうえで、代替措置を講ずることになります。
4.育児のためのテレワーク導入(2025年4月1日) <努力義務 / 就業規則の変更>
3歳未満の子を養育する労働者が短時間勤務以外で、テレワークを選択できるように措置を講ずることが、事業主の努力義務とされます。
5.育児休業取得状況の公表、対象事業主の拡大(2025年4月1日) <義務>
育児・介護休業法では、男性労働者の育児休業等の取得状況を年1回公表することが、従業員が1,000人を超える企業の事業主に義務付けられていますが、今回の改正により、従業員が300人超1,000人以下の企業にも公表が義務付けられます。
新たに対象となった企業は、次の①または②のいずれかの割合を、自社のホームページや厚生労働省の「両立支援のひろば」に、毎年1回公表しなければなりません。
-
男性労働者の育児休業等の取得割合
(育児休業等をした男性労働者の数÷配偶者が出産した男性労働者の数) -
男性労働者の育児休業等と育児目的休暇の取得割合
((育児休業等をした男性労働者の数+小学校前の子の育児を目的とした休暇制度を利用した男性労働者の数の合計)÷配偶者が出産した男性労働者の数)
<図表4:公表義務適用拡大>
- 図表は全て厚生労働省「育児・介護休業法 改正のポイントのご案内」のパンフレットより引用
筆者紹介
MJS税経システム研究所 客員研究員
社会保険労務士法人加藤マネジメントオフィス 代表社員
社会保険労務士 加藤 千博
http://www.kmo-sr.jp/
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