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第62回 改正育児・介護休業法の概要3
2025年3月5日
今回は、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(以下、「育児・介護休業法」という)」の改正(2024年5月31日改正、2025年4月1日より段階的に施行)の、2025年10月1日に施行される内容について解説いたします。
1. 柔軟な働き方を実現するための措置等(2025年10月1日)<義務/就業規則の変更>
(1)育児期の柔軟な働き方を実現するための措置
事業主は、3歳から小学校就学前の子を養育する労働者がフルタイムで働けるよう、柔軟な働き方を実現するための措置として定められたものの中から2つ以上の措置を講じる必要があります(法23条の3)。柔軟な働き方を実現するための措置は図表1の通りです。
(図表1:講ずべき措置)
-
始業時刻等の変更:
・フレックスタイム制
・始業・終業の時刻の繰り上げ、繰り下げる制度(時差出勤制度) - テレワーク:月に10日以上利用できるもの(1日の所定労働時間は変更しない)
- 保育施設の設置運営等:ベビーシッターの手配および費用負担なども可
- 新たな休暇の付与:1年間に10日以上取得できるもので、時間単位での取得可能とする。(1日の所定労働時間は変更しない)
- 短時間勤務制度:1日の所定労働時間を原則6時間とする措置を含むもの
注意すべきは、⑤以外はフルタイムでの就業に関して働き方に柔軟性を持たせる措置であることです。また、④について業務の性質上、時間単位での取得が困難と認められる労働者は、労使協定により時間単位での取得を適用除外にできますが、半日単位での取得を認める等の配慮が必要です。
企業内でも部門ごとに業務の性質や労働者のニーズが異なるため、適用する措置の組み合わせを柔軟に決めることが望ましいとされています。さらに、2つの措置に限らず、3つ以上の措置を導入したり、1つの措置に多様な選択肢を設ける(例:短時間勤務の複数パターンを設定)など、労働者の選択肢を広げる工夫が推奨されています。
措置を講じる際には、過半数労働組合や労働者代表の意見を聞く必要があり、十分な説明を行うことが求められます。また、指針では育児当事者の意見や労働者へのアンケート調査を並行して実施することも推奨されています。
なお、勤続1年未満の労働者については、労使協定により措置の適用を除外することも可能ですが、措置の利用期間が比較的長いことを考慮し、子の年齢に応じて勤続1年経過後に適用するかどうかを慎重に検討することが重要です。

(2)柔軟な働き方を実現するための措置の個別周知・意向確認
事業主は、3歳未満の子を養育する労働者に対し、子が3歳の誕生日を迎える1か月前までの1年間に、柔軟な働き方を実現するための措置を周知し、利用の意向を個別に確認することが義務づけられます。この、「子が3歳の誕生日の1か月前までの1年間」とは、「1歳11か月に達する日の翌々日」から「2歳11か月に達する日の翌日まで」の期間を指します。(例:子の誕生日が2022年3月10日の場合、該当期間は2024年2月11日から2025年2月10日までとなります)
事業主が周知すべき具体的な内容は、図表2の通りです。
(図表2:周知時期/周知事項/個別周知・意向確認の方法)

(出典:厚生労働省「育児・介護休業法改正のポイントのご案内」のパンフレットより引用)
子どもは日々成長し、仕事の状況も時間とともに変化するため、一度選択した措置であっても、仕事と育児の両立やキャリアに対する考え方が変わることがあります。そのため、指針では、妊娠・出産の申出時、育児休業からの復職時、制度利用中などに定期的な面談を行うことが望ましいとされています。
また、柔軟な働き方の効果を高めるためにも、会社と労働者が継続的にコミュニケーションをとる機会を設けることが有効です。
2. 仕事と育児の両立に関する個別の意向聴取・配慮(2025年10月1日)<義務>
(1)妊娠・出産等の申出時と子が3歳になる前の個別の意向聴取
事業主は、労働者が本人または配偶者の妊娠・出産を申出た際、または子が3歳の誕生日を迎える1か月前までの1年間に、家庭の状況に応じた仕事と育児の両立について、従業員の意向を個別に確認し、適切な配慮を行う義務があります(法21条2項)。
意向確認の具体的な内容については、図表3をご参照ください。なお、聴取の方法は、前述の柔軟な働き方を実現するための措置の個別周知・意向確認と同じ手順で実施します。
(図表3:意向聴取の時期/聴取内容/意向聴取の方法)

(出典:厚生労働省「育児・介護休業法改正のポイントのご案内」のパンフレットより引用)
(2)聴取した労働者の意向についての配慮
事業主は、労働者から聴取した仕事と育児の両立に関する意向について、自社の状況に応じて配慮しなければなりません。
(図表4:意向についての配慮例)

(出典:厚生労働省「育児・介護休業法改正のポイントのご案内」のパンフレットより引用)
前述の通り、事業主は対象労働者の就業条件について、労働者の意向を考慮しつつ自社の状況に応じて検討を行う必要がありますが、どのような措置を講じるかは企業の判断によるものであり、必ずしも労働者の希望通りに対応する義務があるわけではないことを正しく理解しておく必要があります。
検討の結果、対応が難しい場合もあるかもしれませんが、この制度の目的は、育児と仕事の両立を円滑にすることにあります。そのため、対応が困難な理由を労働者に丁寧に説明したり、柔軟な働き方の措置や両立支援制度の活用を促すなど、労働者との対話を大切にし、両立を支援する姿勢を示すことが重要です。

筆者紹介

MJS税経システム研究所 客員研究員
社会保険労務士法人加藤マネジメントオフィス 代表社員
社会保険労務士 加藤 千博
http://www.kmo-sr.jp/
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