新米社長の失敗事件簿(2)! 粗利とかケイツネって何のことだ?

2023年9月13日

質問

親会社のシステム部長の新米さんが、子会社に社長として出向してきました。ある日の経営会議でのこと。どうやら新米社長は「粗利」と「ケイツネ」の意味がわからず困っているようです。あなたなら新米社長に何と説明しますか?

パターン1

粗利は「売上総利益」、ケイツネは「経常利益」のことです。

パターン2

粗利は「ざっくり計算した利益」、ケイツネは「経常利益」のことです。

パターン3

粗利は「ざっくり計算した利益」、ケイツネは「経理では常に」という意味です。

この質問をイメージして以下のストーリーをお読みください。

会議室
電卓

経理主任の悩みを聞く新米社長

「みろ子工業」は従業員30人程度の小さな会社であり、上場企業である「みろ親商事」の子会社です。そのみろ親商事のシステム部長だった強面の新米さんが、みろ子工業に社長として出向してきました。新米さんが人事担当役員からみろ子工業への出向を打診されたとき、新米さんは経営も会計も全く知識がないからと断ったのですが、人事担当役員から「将来の経営幹部として経営や経理・財務の勉強をしてもらうためだ」と説得され、しぶしぶ出向を承諾したのです。

今日は、新米社長と入社8年目の経理主任の二人が、居酒屋で深刻そうな顔つきで話しています。

新米社長 今日は私に相談があるということだが、一体どうしたんだ? まさか会社を辞めたいなんて言い出すんじゃないだろうね
経理主任 実は僕、経理に向いてないんじゃないかって思っていまして……
新米社長 なるほど、そういう相談か。まぁ、まずはビールでも飲もう

それから1時間後……。すっかり二人は泥酔してしまいました。

新米社長 お前はいいよな~。まら若いし……、俺なんか、この年で今から経理の勉強するなんて、うっ、うっ……
経理主任 しゃちょーも大変なんれすね~

経理主任の相談だったのに、すっかり社長の人生相談になってしまったようですが、実は、今日、新米社長は危うく大恥をかくところを、経理主任に助けられたのです。

社長が粗利とケイツネを知らない?

ある日の経営会議でのこと。新米社長の他、営業部長、製造部長、購買部長を前に、経理主任が損益計算書をもとに業績の説明をしています。

経理主任 ……というわけで、売上も利益も順調です
製造部長 ところで社長、粗利が減少傾向にあるんですが、どう思われますか?
新米社長 えっ? 何だって?
製造部長 粗利です。粗利が下がる傾向にあるんですが、何が問題だと思いますか?
新米社長 あ・ら・り??

新米社長は腕を組んで考え始めました。

すると、今度は営業部長が言いました。

営業部長 社長、ケイツネも実はここ数年減少する傾向にあるんですが、これはどうでしょうか?
新米社長 ケ・イ・ツ・ネ??

新米社長は腕を組んで遠くを見つめ、考え始めてしまいました。

営業部長と製造部長と購買部長は、社長が何というのか、固唾をのんで見守っていますが、経理主任だけは気づいてしまいました。

経理主任の心の声 <まずい! もしかしたら、社長は「粗利」と「ケイツネ」を知らないのかもしれないぞ>

質問

親会社のシステム部長の新米さんが、子会社に社長として出向してきました。ある日の経営会議でのこと。どうやら新米社長は「粗利」と「ケイツネ」の意味がわからず困っているようです。あなたなら新米社長に何と説明しますか?

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パターン1

粗利は「売上総利益」、ケイツネは「経常利益」のことです。

パターン2

粗利は「ざっくり計算した利益」、ケイツネは「経常利益」のことです。

パターン3

粗利は「ざっくり計算した利益」、ケイツネは「経理では常に」という意味です。

実は経理主任の説明として正しいのはパターン1だったのです。では、経理主任はどうやって新米社長の危機を救ったのでしょうか……。

確かにケイツネは「経常利益」のことですが、粗利は「ざっくり計算した利益」という意味ではありません。では一体どういう意味なのでしょうか。

粗利は「ざっくり計算した利益」ではなく、またケイツネは「経理では常に」という意味ではありません。では一体どういう意味なのでしょうか。

口パクでは伝わらなかった!

新米社長が粗利とケイツネの意味がわからず考え込んでおり、営業部長と製造部長と購買部長が固唾をのんで見守る中、経理主任は口パクで社長に伝えようとしました。

経理主任の口パク <う・り・あ・げ・そ・う・り・え・き>
新米社長 ???

社長は経理主任の口パクを必死に理解しようとしますが、さっぱりわかりません。

経理主任の口パク <け・い・じょ・う・り・え・き>
新米社長 ???

部長たちも、もしかしたら社長はわかっていないんじゃないかと思い始めたとき、経理主任が助け舟を出しました。

経理主任 すいません。社長には過去の業績を説明していなかったので、ご存じないと思いますが

部長たちが経理主任に注目します。

経理主任 実は粗利、つまり売上総利益と、ケイツネ、つまり経常利益が、どちらもこの3年ほど減少傾向にあるのです

経理主任の助け舟で、新米社長は粗利とケイツネの意味がやっとわかりました。

新米社長 なるほど! 過去3年もの間、粗利つまり売上総利益と、ケイツネつまり経常利益が減少傾向にあるわけか~
営業部長 そうなんです。どう思われますか?
新米社長 うん、とても勉強になった。ありがとう!
営業部長 え??
新米社長の心の声 <危うく恥をかくところだった。ちゃんと会計の勉強をしないと社長業は務まらないな……>

ワンポイント解説

「粗利」と「ケイツネ」

実務上、損益計算書の売上総利益のことを「粗利」、また経常利益のことを「ケイツネ」と呼ぶことがあります。粗利と売上総利益は同じ意味であり、ケイツネと経常利益は同じ意味です。ただし、損益計算書や決算書などの正式な外部公表資料では、粗利やケイツネという言葉は使いません。

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