導入事例

川庄グループ 様

2015年1月29日

顧客視点の柔軟な事業展開で成長を続ける川庄グループの事務所経営戦略を探る 川庄グループ

川庄グループ(福岡市中央区)は、30年以上の歴史を持つ川庄公認会計士事務所を中心とした会計事務所グループである。中小企業の経営支援に力を入れており、特に医業経営支援の分野では九州屈指の実績を誇る。代表の川庄康夫氏(写真)は、グループ創業時から一貫して顧客視点を重視しており、顧客の求めに応じて柔軟にサービスを展開してきた。それが結果として、事務所の継続的な成長の原動力となっている。今回の取材では、川庄氏に激変の時代の事務所経営のあり方、中小企業経営者のニーズ、ITを活用した業務効率化などについて伺った。

九州屈指の医業特化型事務所

―― 川庄グループといえば、医業経営支援において九州屈指の実績を持つ会計事務所グループです。本日の取材では、医業経営支援も含め、グループ全体の事業戦略について、代表の川庄先生にお話を伺います。まずは、貴社の沿革について、簡単にご紹介ください。

川庄 私は大学卒業後、中央監査法人を経て、監査法人トーマツに入り、1981年に独立、川庄公認会計士事務所を設立しました。
独立に際しては、コンサルティングに着目し、お客様の依頼には何でもお応えしようという姿勢で、頼まれたことは何でも断らずにやってまいりました。

―― どのような取り組みをされてきたのですか。

川庄 例えばセミナーによる情報提供サービスです。医業系のテーマから、財務コンサルティング、人事コンサルティング等、経営に関する内容なら何でもやってきました。今では、社内にもセミナールームがあり、月に5~6回は開催しています。
ほかにも、資金調達支援に力を入れてきました。当事務所は複数の金融機関とパイプを持っている関係で、お客様の資産運用等のご相談にもお応えしています。ご依頼があれば、銀行の借り入れ交渉などにも、私が同席いたします。

―― 貴社は税務調査への対応でも定評があると伺っています。

川庄 税務調査は年に24~25件ほどありますが、お客様を守るというスタンスで、戦うべき時には調査官と徹底的にやり合います。
先日も、紙の帳票書類が一切ない会社の税務調査でもめました。上場会社の子会社だった関係で、売上も仕入れもすべて電子データで管理していたのです。税務署職員が「紙の帳票書類がなければ仕入れ税額控除は行えない」と言うので、「税額控除に必要な書類」とは何かという解釈論も含めて徹底的に反論し、電子データを税額控除に必要な書類であると認めさせました。

―― すばらしいですね。税務調査は会計事務所にとって力の見せ所です。対応のコツのようなものがあればご教示いただけませんか。

川庄 コツというほどのものはありませんが、あえて言えば聞かれたことにのみ答えるという姿勢を徹底することです。
税務調査では沈黙が続きます。その沈黙に耐えられず、こちらから余計なことをしゃべりだしたら負けです。調査官はそれを待っている。そして、痛いところを突いてくる。ですので、問わず語りはいけません。相手が口を開くのを待ちながら、何を聞いてくるかを予測し、それに対する答えを頭の中で用意する。そのうち向こうがじれて、予想通りの質問をしてきます。

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医業経営支援の展開

―― 川庄グループは医業経営支援で有名ですが、この分野にかかわることになった経緯を教えてください。

川庄 私の独立とほぼ同時に開業された小児科と産科のドクターがいまして、その医院の経営コンサルティングを頼まれたのがきっかけです。
同時期に、ふとした縁から幼稚園の再建にかかわりまして、その時の経験も大いに役立ったと思います。

―― クリニックと幼稚園、社会性の高い事業という点で通じるものがありますね。

川庄 仰る通りです。その幼稚園では、新しく園舎を建てたところ、思うように園児が集まらず、試行錯誤の連続でした。夏祭りやバザーなどを開催したり、ネーミングを考えたり、園児を持つ母親を対象にしたセミナーを行ったり、チラシをまいたりと、思いつく限りの提案をしました。
セミナーの講師は、当事務所のお客様であるドクターにもお願いしました。小児科の先生には「小児医療の予防」を、美容外科の先生には「アンチエイジング」、婦人科の先生には「女性のがんについて」など。
また、園舎を中心に500メートル、1キロ、2キロと、段階を踏んでマーケットを広げていき、園児の獲得を試みたり、送迎バスのルートを決め、バス停をつくることで、「エリア」をつくり上げていきました。そうやって3年かかって定員を達成しました。

―― お話を伺うと、確かに保育園の経営コンサルティングは、医業経営コンサルティングに通じるものがありますね。コンサルティングにおける川庄先生の柔軟な発想は、どこから生まれてくるのでしょうか。

川庄 顧客視点ですね。お客様の立場で考えることだと思います。今、当事務所では「川庄ジャーナル」というFAXニュースを発行しているのですが、これを書く時も「お客様は今何を求めているのか」を常に考えます。
顧客視点ということでいえば、当事務所は開業された診療所の院長夫人を集めたセミナー「奥様経営塾」を開いています。開業したばかりの医院だと、院長夫人が経営を手伝われたりするケースが多いため、この塾は大変好評です。
さらに、塾の卒業生を対象とした勉強会も行っていまして、こちらでは人事や資金繰り、決算書の見方、生命保険の取り扱い、事業承継など、ランクアップした内容の話をしています。

―― クリニックの経営において、院長夫人は大きな役割を果たしています。

川庄 そうです。しかし、院長夫人が経営について勉強できるところはなかなかありません。なければご提供しよう。そのような姿勢で、さまざまなご支援に取り組んできました。

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会計システムの再構築で効率化

―― 高付加価値サービスを提供している貴社には無縁かもしれませんが、昨今の顧問料低価格化の流れについてどう思いますか。

川庄 無縁ではありません。当事務所は、診療所なら月額顧問料は5万~8万円が中心ですが、「質よりも価格」というニーズもありますので、低価格化の流れは無視できません。価格競争に耐えられる仕組みづくりは必要だと思いますので、業務のさらなる効率化を図るなど、根本から考え直さなければならないと考えています。
コンサルティングにしても例外ではなく、インターネット経由でお客様と書類をやり取りしたり、テレビ会議で情報交換をするなど、工夫をしていかなければなりません。

―― 貴社は業務効率化のために、6年前、事務所の業務システムを刷新したそうですね。

川庄 業務システムの刷新に際しては、いろいろと検討をしましたが、最終的にはミロク情報サービス(MJS)のシステムに落ち着きました。
MJSの会計システム「会計大将」が、各社の会計ソフトウエアのデータに柔軟に対応すること、財務から電子申告まで一貫した流れで処理できるため、業務の効率化が見込めることを評価しました。
ちなみに同社のシステムには、顧問先とのやりとりを効率化する「iCompassコミュニケーション」というソフトウエアがあります。このソフトが気に入ったことも、MJSの製品を選んだ理由です。
「iCompassコミュニケーション」を使うと、会計ソフトの操作指導などをインターネット経由で行えます。業務効率化は大切ですが、効率化した結果、お客様との関係が希薄化するようでは意味がありません。効率化はしても、お客様とのコミュニケーションは変わらずに大切にしなければなりません。
MJSのシステムは、効率化することで、逆に顧問先とコミュニケーションがとりやすくなるところがよいですね。先ほどの「iCompassコミュニケーション」を使えば、月に1回くらいしか訪問できなかった遠方のお客様を、従来よりも手厚くサポートすることができます。

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代行ビジネスの可能性

―― 川庄グループの今後の経営戦略についてお伺いします。

川庄 当グループでは現在、給与計算や総務の代行業に力を入れています。川庄グループとしては、今後はこの代行事業が中心になっていくと思います。

―― 総務の代行業は、会計事務所の業務と親和性が高いですね。

川庄 企業にとってアウトソーシングは固定費削減の有効な手段です。人を減らして、外部に委託するケースは増えていくと思います。
近年では、人事部門でもそのニーズが高まってきていますので、代行業は大いに将来性があると思います。

―― これからは会計事務所といえども、顧客のニーズに合わせて変化していく時代なのでしょうね。

川庄 そうですね。会計事務所も税理士の独占業務を抱えていれば大丈夫という時代ではなく、お客様の様子を見てニーズを発掘し、提案をしていくことが重要になると思います。
その意味では、資格があるかどうかではなく、提案力やコミュニケーション力があるかどうかが、これからの会計人には求められると思います。
実際に当グループでも、代行業部門の職員は、パートさんや準社員のなかから、資質のある人が正社員へと上がっていくケースが主流です。代行業は資格がなくても活躍できますから、職員にとっては新しい活動の舞台といえますね。
いずれにせよ、今後は会計事務所の顧問先も、会計をすべて丸投げする会社と、自社でほとんどすべて行ってしまう会社との二極化が進むと思います。この二者にきちんと対応できるようなサービスを、今からそろえておこうと思っています。

―― 変化に対応するのは大変ですが、それに積極的に取り組むということですね。

川庄 はい。経営とは変化への対応です。私は経営のそのようなところが好きなのです。好きだから積極的に取り組みますし、いろいろなアイデアもわいてきます。
会計業務、申告業務も大切ですからおろそかにすることはできませんが、会計事務所も事業という視点から見ると、まだ未開拓の分野、新たな可能性が残されていると考えています。
お客様も事業をやっているわけですから、同じ事業を展開している人間として、同じ立ち位置からアドバイスしていきたいですね。

―― 今日は貴重なお話をありがとうございました。川庄グループのさらなるご発展を祈念しています。

導入事務所様のご紹介

川庄 康夫(かわしょう・やすお)

川庄康夫(かわしょう・やすお)

川庄グループ代表。税理士・公認会計士。1947年、福岡市生まれ。1971年、明治大学経営学部卒。1980年、公認会計士・税理士登録。1981年、川庄公認会計士事務所を開設。MMPG理事、九州会会長。

川庄グループ

川庄グループ
所在地

福岡県福岡市中央区白金1-4-10
SUNSHINE C-PAK

代表者 川庄 康夫
設立 1981年
構成人数 約50名(税理士を含む)
得意分野 経営コンサルティング、財務コンサルティング、人事コンサルティング、
業務代行(経理、記帳、給与計算など)
URL http://www.kawa-sho.co.jp/
  • 本事例の掲載内容は取材当時のものです。

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