ニッチで成熟した市場でも効率よく需要を開拓できる驚きのアイデアとは?
2021年12月23日
質問
デコレーション用マスキングテープのネット販売をしている「ミロクMT」。固定客がいるため売上は安定していますが、もっと成長させたいと思っています。新たな顧客を開拓するために、あなたが社長なら次のうちどの方法をとりますか?
パターン1
大手のECサイトにも出品することで、これまで接点のなかった大手ECサイトが抱える顧客層を開拓する。
パターン2
マスキングテープを使ったデコレーションが学べる講座を開き、教材としての需要と受講者という新たな顧客を開拓する。
パターン3
デコレーション用以外の全く新しいマスキングテープの使い方を開発することで、新たな顧客層を開拓する。
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社員が増えなくても成長を続ける会社
「ミロクMT」はマスキングテープのネット販売を行っている会社です。元々はクラフトテープを使ったデコレーションにはまった社長が立ち上げた会社ですが、時代の流れに乗り、起業後わずか数年で社員数20名の会社まで成長させることができました。その後、しばらくは成長が鈍化していたのですが、驚くべきは3年前から社員数がさほど増えていないのに、また業績がどんどん伸びてきているのです。
ミロクMTは、どのようにして再成長することができたのでしょうか。ちょっとその頃の様子を見てみましょう。
3年前 ~頭打ち!
社長 | 今月の売上はどうかしら? |
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経理 | 相変わらず、伸びてません。新規の会員も増えてませんし、完全に成長が止まった感はありますね |
社長 | 元々ニッチな市場ではあるし、この辺が限界なのかしら…… |
マスキングテープが流行るか、流行らないかくらいの頃に、いち早くマスキングテープを使ったデコレーションの魅力にはまった社長は、いろいろなものをデコレーションして楽しんでいました。
すると、友人など周りの人が社長の持つオシャレ可愛いアイテムに興味を持ち出し、何を使ってデコレーションしているのか、どうやってやるのかと質問攻めにあうようになりました。
社長がマスキングテープを使ってデコレーションしていることや、デコレーションのやり方を教えたところ、大半の人が興味を持ち自分もやってみたいからマスキングテープを買ってきて欲しいとの要望を受けたのです。
これはいけると感じた社長は、マスキングテープを仕入れ、ネットでの販売を行うようになりました。その結果、うまく流行に乗ることができ、順調に成長してきたのですが、現在のマスキングテープ利用者は限られていて、市場が狭いためか、ネット通販による売上の伸びが鈍化しています。今のままでは長い目で見て需要が落ちる一方、今いるマスキングテープ利用者を取り込むだけでは持続的な成長はできそうもなく、手間はかかっても、利用者を開拓することが必要なのかもしれません。
このままマスキングテープを一過性の流行物で終わらせたくない社長は、どうしたものかと悩んでいます。
質問
デコレーション用マスキングテープのネット販売をしている「ミロクMT」。固定客がいるため売上は安定していますが、もっと成長させたいと思っています。新たな顧客を開拓するために、あなたが社長なら次のうちどの方法をとりますか?
▼あなたの思うパターンをクリック▼
パターン1
大手のECサイトにも出品することで、これまで接点のなかった大手ECサイトが抱える顧客層を開拓する。
パターン2
マスキングテープを使ったデコレーションが学べる講座を開き、教材としての需要と受講者という新たな顧客を開拓する。
パターン3
デコレーション用以外の全く新しいマスキングテープの使い方を開発することで、新たな顧客層を開拓する。
確かに自社のネット通販だけでなく、大手ECサイトにも出品することで、大手ECサイトの顧客にアプローチできれば、販路の拡大につながるかもしれません。しかし、大手のECサイトにただ出品しても、ターゲット顧客に訴求することは難しく、他の膨大な商品に埋もれてしまいかねません。逆に、自社の従来顧客がECサイトで購入することで、利幅が減るおそれもあります。
実は、ミロクMTの社長が選択したのはパターン2でした。事業を始めた時の友人との再会をきっかけに、マスキングテープのオンライン講座を開くことにした社長。一体、どんなやり方で社員を増やさずに、新たな需要をどんどん開拓していったのでしょうか……
デコレーション用以外の全く新しいマスキングテープの使い方を開発できれば、新たな顧客層にも興味を持ってもらえるかもしれません。しかし、需要が見込める別の使い方を閃くかどうか、それができても、それを新たな顧客層に訴求できるかどうかといった点で、なかなかハードルが高そうです。
持つべきものは友!
ミロクMTの社長は暗い気持ちを吹き飛ばそうと、久しぶりに学生時代の友人と集まることにしました。仕事に没頭していたため、長い間、彼女たちと会えていませんでしたが、仕事とは関係ない人たちと会うことで気分転換できればと思い、声をかけたのです。
友人A | 見てよ、これ! 私、実はあなたの会社に貢献してあげてるのよ |
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お酒も入り、盛り上がってきた頃、友人はマスキングテープで可愛くデコレーションされた菓子箱を取り出しました。
社長 | え? これ、マスキングテープでアレンジしたの? |
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友人A | ふふーん。なかなか良くできてるでしょ? 私、あなたに教えてもらった時からはまっちゃって、自分のクッキング教室の生徒さんたちにも宣伝してるの。生徒さんたちが作ったお菓子を、こんな感じの箱に入れて提供してみたら、とっても好評だったのよ |
社長 | そうだったんだ! |
友人A | 私のクッキング教室、結構な人数が集まるから、かなりの宣伝効果があったりして(笑) |
友人B | あなたがエバンジェリストだったってことね |
社長 | えっ、エバンジェリストって何? |
友人B | 伝道者のこと。まぁ、会社で言ったら、自社製品の技術などを、顧客などに分かりやすく伝える役割を担う人材ってことね |
社長の心の声 | <うちで言ったら……。ネットで直接販売するだけじゃなく、生徒さんが集まる教室の先生にマスキングテープの魅力を宣伝してもらって、エバンジェリストになってもらえれば、その人たちが自然とお客さんを増やしてくれるんじゃ……> |
友人との再会をきっかけに、お客さんを増やすためには、もっともっとマスキングテープの魅力や使い方を伝授していくことが大事で、そのためには、自ら教室を開くのではなく、既に何らかの教室を開いている先生を通じて広めていく方法もあることに、社長は気づきました。クッキング教室に、ヨガ教室、ダンス教室に、生け花教室、……、それぞれの教室に合ったマスキングテープ活用法のイメージが次々に社長の頭の中に浮かんできました。
いろいろな教室の先生を通じてその生徒にマスキングテープの魅力を伝え、マスキングテープの購入につなげるという、新たな需要を自ら創り出す可能性を見つけたミロクMTは、社員を増やすことなく売上を伸ばし、再成長する道を歩みだそうとしています。この方法なら広告宣伝費が抑えられるので、利益率を向上させることもできそうです。
「エバンジェリスト」(伝道者)」
自社製品の技術、最新テクノロジーやITトレンドなどを、顧客や一般の人などに分かりやすく説明し、広く知らせる役割を担う人材を言います。こうした人材を見つけられれば、効率よく新たな需要を開拓できる可能性があります。お知らせ
2022年1月3日号は、年末年始休暇中のため休載とさせて頂きます。次号は2022年1月13日号となりますので、引き続きご愛顧くださいますようお願い申し上げます。
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