虎の子の資本金が金庫から消えた! 犯人は誰だ?
2022年1月13日
質問
業績が悪化し、資金繰りが厳しくなった社長が言いました。「仕方ない。虎の子の資本金を金庫から出してきてくれ」 ところが金庫にお金がありません。あわてる社長に、あなたなら何と言いますか?
パターン1
誰かが金庫から資本金を盗んだかもしれません。
パターン2
資本金は金庫にはなく、預金の形で銀行にあります。
パターン3
資本金は金庫にはなく、様々な資産に形を変えています。
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資金繰りが順調な会社
「みろく物産」は、地元ではそこそこの規模の中堅企業です。社長が先代の社長を継いでから数年が経ちます。みろく物産は数年前に資金ショートしそうになった時期もありましたが、今はすっかり業績も資金繰りも順調です。
今でこそ順調なみろく物産ですが、数年前には今月の支払いができない、というほど資金繰りに追い詰められたことがあったのです。
数年前 ~仕方ない、虎の子の資本金を取り崩そう!
数年前のこと。経理部長が社長の部屋に飛び込んできました。
経理部長 | 社長、大変です。今月末の支払いのために5千万円足りません。このままでは資金ショートで倒産です! |
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社長 | 何だって!? 今月は大口の売上があったから、その入金で何とかできないのか? |
経理部長 | その売上の入金は来月なので、今月はお金が足りないのです |
社長は目を閉じてしばらく考え込んでいましたが、やがてにっこり笑いながら、言いました。
社長 | 仕方ない。では、最後の手段だ。金庫から、虎の子の資本金5千万円を出してきてくれ |
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経理部長 | えっ、今何と?? |
社長 | いや、だから、金庫の中にある資本金を取り崩していいぞって言ったんだ |
経理部長 | 何を言ってるんですか。資本金は金庫にはありませんよ |
社長 | 何だって!! まさかお前が使い込んだのか! |
経理部長 | 何をわけの分からないことを言ってるんですかっ! |
質問
業績が悪化し、資金繰りが厳しくなった社長が言いました。「仕方ない。虎の子の資本金を金庫から出してきてくれ」 ところが金庫にお金がありません。あわてる社長に、あなたなら何と言いますか?
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パターン1
誰かが金庫から資本金を盗んだかもしれません。
パターン2
資本金は金庫にはなく、預金の形で銀行にあります。
パターン3
資本金は金庫にはなく、様々な資産に形を変えています。
確かに、資本金がなくなっていたら誰かに盗まれたかもしれないと思いますね。しかし、資本金はその分のお金が金庫の中にあるわけではないのです。それはどういうことでしょうか。
確かに、金庫の中に資本金がなければ、銀行に預けたのではないかとも思いますね。しかし、資本金はその分のお金がどこかに保管されているわけではないのです。それはどういうことでしょうか。
実は、資本金は様々な資産に形を変えてしまっているのです。それは一体どういうことでしょうか……
新会社でシミュレーションしたら気づいた!
社長が経理部長に資本金を使い込んだのか、と詰め寄っているとき、このままではいけないと思った経理部長は、社長の勘違いを説明するために考えました。
経理部長 | 社長は貸借対照表を勘違いされています。いいですか。今から新会社の設立を例に説明しますから良く聞いていてくださいよ |
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そう言うと、紙に下のような貸借対照表を書いて話を続けました。
経理部長 | ある会社を資本金50万円、銀行からの借入金150万円で設立したと思ってください |
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社長 | 合計200万円の元手ってことだな |
経理部長 | そして、この会社が、その元手200万円で商品を50万円購入し、車両を150万円で購入したと思ってください |
社長 | 150万円の車とは、なかなかの車好きだな…… |
経理部長 | そんなことはどうでもいいんです! このとき、会社の貸借対照表が上のとおりです。この会社には資本金50万円と書いてあっても、現預金はゼロになっているでしょ |
社長 | あっ、確かにそうだ! 資本金はもう使ってなくなっているのか |
経理部長 | つまり、資本金や借入金として調達した資金は貸借対照表の資産の内訳にあるように、様々に形を変えてしまっているのです。借入金150万円だって、金庫の中に150万円の現金があるわけじゃないですよね |
社長 | なるほど! そうだったのか! 良く分かったぞ。いや~、今日は勉強になったな~。完全に勘違いしていた。わっはっはっ |
経理部長 | 社長、笑いごとではありません。今月末の支払いどうするんですかっ! |
「資本金」
資本金とは、株主が会社に元手として出資したものを言います。貸借対照表では純資産の部に資本金として金額が記載されます。ただし、資本金の金額が金庫に保管されているわけではないので注意してください。
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