稼働率ダウンを解決したスポーツ施設、ヒントは友人からの幸せな報告メールだった?!
2022年3月3日
質問
スポーツ施設・道具等の時間貸しを営む「ミロク・スポーツ」では、利用者の数が年々減少してきています。スポーツの対戦をしたいけれども、人数がそろいにくくなってきたので利用回数も減ってきたというのが主な原因です。この状況を打破するために、あなたが経営者なら次のどの行動をとりますか?
パターン1
新聞の折込広告により、スポーツ施設の宣伝を行う。
パターン2
スポーツの対戦をしたい人のためのマッチングを行う。
パターン3
ジョギング等、一人でもできるスポーツ用に施設を一部変更する。
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稼働率がアップしているスポーツ施設
「ミロク・スポーツ」は、フットサルやスカッシュ、テニス・卓球などの、短い時間でも楽しめるスポーツをするための施設・道具等の時間貸しをすることを目的として、2000年に設立された会社です。多くの人達が一緒になって気軽にスポーツに親しむことで健康な生活を促進することを、会社の理念としています。
最近は施設の稼働率もアップしており、会社の理念実現に向かってうまく運営できているようです。しかし、半年前はそうではなかったのです。
半年前 ~利用者数の減少に悩むスポーツ施設
ミロク・スポーツの設立当初は、地域スポーツに注目が向けられていた頃であり、大学生も大学のクラブやサークルではなく、住居のある地域で社会人と一緒になってチームを作り、スポーツを楽しむ傾向がありました。
しかし、近年、地域のスポーツチームも、その構成メンバーが就職や転勤等のために、大幅に変化しているか、あるいは解散するチームも出てきました。もともと、少人数でもできる対戦型のスポーツに焦点を当てていたこともあり、利用者の数は年々減少してきています。
そこで、これまで利用されていた人達にアンケートを採り、調べたところ、例えば、フットサルやスカッシュ等で対戦ゲームをしたいけれども、人数がそろいにくくなってきたので利用回数も減ってきたという状況が確認されました。
これまでミロク・スポーツは、リピーターを重要視して、施設の効率的利用を目指してきました。しかし利用者の延べ数そのものが減少傾向にあり、稼働率がダウンしています。今後、いかにしてリピート率の向上や新規利用者の獲得をして稼働率アップを目指していくのかが、大きな課題となっていました。
質問
スポーツ施設・道具等の時間貸しを営む「ミロク・スポーツ」では、利用者の数が年々減少してきています。スポーツの対戦をしたいけれども、人数がそろいにくくなってきたので利用回数も減ってきたというのが主な原因です。この状況を打破するために、あなたが経営者なら次のどの行動をとりますか?
▼あなたの思うパターンをクリック▼
パターン1
新聞の折込広告により、スポーツ施設の宣伝を行う。
パターン2
スポーツの対戦をしたい人のためのマッチングを行う。
パターン3
ジョギング等、一人でもできるスポーツ用に施設を一部変更する。
利用できるスポーツ施設の存在を新聞の購買客に対して知ってもらうことは方法の一つかもしれません。しかし周知のとおり、新聞の購買者数は激減してきており、その傾向は続くものと予測されます。また、この方法をとった場合、新聞の主要な購買者である年配者層には知られたとしても、年配者はウォーキング等を行うことが多く、ミロク・スポーツの施設を利用してもらえる可能性は低いかもしれません。
ミロク・スポーツが選択したのはパターン2でした。これは、集団スポーツに参加したいけれども、知り合いの中では必要な人数がそろわない状況にある人達に対して、これまで全く面識のなかった人と一緒にスポーツを楽しめる機会を提供することで、施設利用者の増加を図る方法です。
施設そのものを改造して、単独でスポーツをする人にも利用者層を拡げるのは方法の一つかもしれません。しかし、単独で行うスポーツの多くは、例えばジョギングであれば、一定の広さのある公園、河川敷など、無料で利用できる場所が多くあります。また水泳等についても既に代替施設が存在しており、その市場に参入することには高いリスクが伴います。
稼働率アップのきっかけは、友人からのおめでたい報告メールだった
社長が利用者の減少に悩んでいた頃に、海外の友人から結婚の報告メールと写真が届きました。国籍が違う人と結婚したように見えたので、どこで知り合ったのかを質問してみました。すると、お見合いアプリで知り合ったとのこと。
社長の心の声 | <ネットで知り合った相手と結婚しても大丈夫かな。でも、幸せそうな二人の写真を見ていると、まぁ、きっかけはなんでもいいか> |
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また別の日。ニュースを見ていたところ、コロナ禍のもとで、企業がクラウドファンディングを利用して新たな製品開発、さらには将来のサービス等の前受けなどに利用していることも話題になってきていました。
このとき、社長は思ったのです。
社長の心の声 | <これらはすべてマッチングを目的としているものじゃないか! うちのスポーツ施設にだって、こんな仕組みがあれば、スポーツの対戦をしたい人達に来てもらえるんじゃないか?> |
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稼働率アップのためのマッチング方法
早速社長はまず、フットサル等のメンバー不足、テニスや卓球での対戦相手不在等の情報をホームページで提供するなど、マッチングで解決できないかと考え始めました。種目や日時を特定し、募集人数や募集の条件等を示して、参加できる人を求められないかと考えたのです。
まずはミロク・スポーツの施設をよく利用されている方に声がけして試してみたところ、うまくマッチングすることができ、施設利用につなげることができました。
しかし、ホームページでの情報提供ではどうしても利用者側からのアクセスを待つことになりがちという難点があります。そこで、さらに検討を進めた結果、メッセージアプリの友達登録の機能を活用することで、ミロク・スポーツ側からプッシュ型で情報を通知できるようにし、それには利用料の割引特典も付けることに改めました。
その結果、より多くの人達に利用を促すことができるようになりました。ミロク・スポーツの施設は、比較的少人数で対戦できるスポーツ用の施設が中心であるため、スポーツをしたい人と人、そして利用する施設とのマッチングが比較的容易だったのです。
そして、このときの利用者などを通じて、さらにメッセージアプリの友達の数も増え、マッチングの対象を拡げることができるようになりました。さらに、試合のためのマッチングだけでなく、スポーツを習いたい人と教えたい人のマッチングも行うことができました。 こうしてミロク・スポーツでは、コストをかけずに稼働率アップを図り、多少でも売上を増やす方法を構築することができたのでした。つまり、マッチングによる需要促進ができたのです。
単に一人で体を鍛えるだけではなく、他の人達と一緒になって楽しむスポーツに力を入れてきたミロク・スポーツにとって、こうした仕組みを通じて利用を促進することは、会社の理念とも合致するものと社長は考えています。
「マッチングによる需要促進」
本記事で紹介したのは、施設提供者が施設利用者同士をマッチングすることによって、施設利用の需要を促進し、稼働率アップを図ったケースでした。顧客の何らかの困り事を“マッチング”によって解決できないかと考えてみると、需要促進の新たな展開を見出すことができるかもしれません。
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