なぜ貸借対照表の左と右は同額になるんだ? 社長の質問にどう答える?
2022年3月13日
質問
社長が、「貸借対照表の左と右の合計額が一致するなんて奇跡だ!」と言っています。さて、あなたなら、次のうちどのような回答をしますか?
パターン1
本当に、すごい奇跡ですね。
パターン2
実は、同額になるように調整したのです。
パターン3
左と右の合計金額は必ず一致するのです。
|
|
貸借対照表をすらすら読める社長
「みろく商事」は、地元ではそこそこの規模の中堅企業です。今のA社長が先代の社長を継いで数年が経ちます。
A社長は、大学卒業後、技術者として大手企業で働いていたため、経営や会計には全く興味がなかったのですが、今やすっかり経営と会計が大好きになってしまいました。
A社長 | 経理部長、今月の貸借対照表のこの勘定科目が随分と金額が多いがなぜだ? |
---|---|
経理部長 | あぁ、それは……、ちょっと調べてきますのでお待ちください |
今でこそ貸借対照表を抵抗感なく読めるA社長ですが、3年ほど前は貸借対照表を見るのも嫌だったのです。
3年前 ~貸借対照表の左と右の合計額が一致するなんて、奇跡だ!
3年前のこと。A社長が先代の社長が体調を崩したことをきっかけに、みろく商事の社長に就任したばかりの頃のことです。
経理部長 | A社長。先月の損益計算書と貸借対照表をお持ちしました |
---|---|
A社長 | ありがとう。損益計算書は前職でも見ることがあったから、読めるけど、貸借対照表はどうも好きになれないな~ |
経理部長 | そうおっしゃらずに、貸借対照表も重要な情報ですから是非勉強してください |
A社長 | 分かった、分かった。あっ、すごいぞ! 先月は貸借対照表の左側の資産合計と、右側の負債・純資産合計が一致している。すごい! 奇跡じゃないかっ! |
経理部長 | …… |
質問
社長が、「貸借対照表の左と右の合計額が一致するなんて奇跡だ!」と言っています。さて、あなたなら、次のうちどのような回答をしますか?
▼あなたの思うパターンをクリック▼
パターン1
本当に、すごい奇跡ですね。
パターン2
実は、同額になるように調整したのです。
パターン3
左と右の合計金額は必ず一致するのです。
確かに、貸借対照表の左と右の合計金額が一致するのは奇跡のように思えますが、実は必ず一致するのです。それはなぜでしょうか。
確かに、貸借対照表の左と右の合計金額が一致するのは、経理部で何か調整したようにも思えますが、実は調整などしなくても必ず一致するのです。それはなぜでしょうか。
実は、貸借対照表の左と右は必ず一致するのです。その理由はなぜでしょうか……
新会社を設立したら気づいた!
A社長が経理部長に、「貸借対照表の左側の資産合計と、右側の負債・純資産合計が一致している。すごい! 奇跡じゃないかっ!」と言ったとき、経理部長は困ってしまいました。
経理部長の心の声 | <まいったな~。貸借対照表の左と右は必ず一致するんだが、それをどうやって説明したらいいんだろう……。そうだ、来月設立する新会社で説明してみよう> |
---|
そう思った経理部長は言いました。
経理部長 | A社長、貸借対照表の左と右は必ず一致するのです。それを、来月設立する新会社を例にご説明します |
---|
そして、紙に下のような貸借対照表を書いて話を続けました。
経理部長 | 来月設立の新会社は、当社から50万円を出資し、銀行から150万円を借入れ、合計200万円を元手とします |
---|---|
A社長 | ふむふむ。そうだったな |
経理部長 | そして、この新会社はその200万円から100万円を支払って、新製品を購入し在庫とします |
A社長 | ふむふむ。そうだったな。で? |
経理部長 | この時点での新会社の貸借対照表が上のとおりです |
A社長 | あっ、左と右の合計が一致してる。奇跡だ! |
経理部長 | いえ、奇跡ではないんです。左の資産を見てください。この会社は現預金100万円、商品100万円、合計200万円の資産を持っています |
A社長 | ふむふむ。それで? |
経理部長 | では、この資産合計200万円をどうやって集めたのかというと、今度は右の負債と純資産を見てください。銀行から150万円を借り、我々が50万円出資したのです |
A社長 | なになに? 分かったような気がするぞ |
経理部長 | つまり、貸借対照表の左は会社がどのような資産を持っているかを表しており、右はその資産を買う元手をどうやって集めたのかを表しているのです |
A社長 | だから、左と右は一致するのか…… |
経理部長 | いわば、左と右は同じものを表と裏で見ただけなので一致するというわけです |
A社長は、経理部長の説明を聞いて、貸借対照表がこれまでとは違って見えるようになってきました。
A社長の心の声 | <何だか、貸借対照表を見るのが恐くなくなった気がするぞ。ちょっと会計の勉強もしてみるか> |
---|
「貸借対照表の左と右」
貸借対照表の左側である「資産」は、会社が調達した資金が今どのように運用されているかを示し、一方、右側である「負債・純資産」はその資金をどのように調達したかを表しています。そのため、左と右の合計金額は常に一致するのです。セミナー情報
経理実務の「3大困りごと」 仕訳入力・経費精算・給与計算の業務効率化の考え方
【LIVE配信】10月24日(木)13:30~15:30
【アーカイブ配信】10月29日(火)~11月29日(金)
「中小企業の経理担当者の働き方&実務の困りごと実態調査」から362件の経理担当者のリアルな声が聞けました!
その中でも実務において経理担当者が困っている「仕訳入力」「経費精算」「給与計算」の「3大困りごと」を改善するためのセミナーを開催します。
本セミナーでは、数々の経理業務の代行や業務改善コンサルティングを行っている講師が、それぞれの業務から見た改善ポイントを考察します!
【講師】MJS税経システム研究所 客員講師
外波 達也 氏
経営センスチェックの記事の中から、資金繰りの改善、好業績を錯覚しないためのポイントなど、テーマにそっておススメの記事を抜粋した特別版冊子を掲載しています。
最新版では、「値上げ前に考えたいコスト削減方法」について取り上げています。世界的な原油や原材料の価格高騰により、値上げが多い一方、競争戦略的に値上げをしない、または値下げに踏み切る企業もありました。
皆さまがコスト削減するにあたり、ぜひ参考にご覧ください!
X(旧Twitter)で最新情報をお届けしています
Tweets by mjs_zeikei