従業員を増やす前に意識しよう! 経営者が知っておきたい”生産性”の経営指標とは?

2024年4月3日

質問

ある企業の経営会議で社長が人事部長に「今期は業績が良いから、来期は社員の採用人数を増やしたい」と言ったところ、人事部長から「採用人数の目安にするものはありますか?」と逆に質問されました。あなたが社長なら、人事部長に何と言いますか?

パターン1

従業員1人当たりの「売上高」を参考にしてくれ。

パターン2

従業員1人当たりの「付加価値」を参考にしてくれ。

パターン3

従業員1人当たりの「利益」を参考にしてくれ。

この質問をイメージして以下のストーリーをお読みください。

会議
履歴書

順調に社員が増えている会社

「みろく製造所」は現社長が30年前に脱サラして創業したメーカーであり、付加価値の高い仕事をすることを社是にしています。4月1日の朝礼でのことです。社長が新入社員を前に訓辞をたれています。


社長

え~、皆さんがこうしてわが社の一員として入社してくれたことを……

(何だか、社長の話は長いな~。中学校の校長先生みたいだぞ~)


新入社員Aさん

(あ~、何だか貧血っぽい。毎週こんな朝礼があるのかしら……。就職活動失敗だったかも……)


新入社員Bさん

無事に新入社員が入社してくれたみろく製造所ですが、実は何人の新入社員を採用するかについて、前期の経営会議でもめたのです。

従業員数を増やすときの目安は?

みろく製造所のある月の経営会議でのことです。社長は、業績が良かったことで相当な上機嫌です。


社長

……、ということで、今期は増収増益で業績が良い。来期の新入社員の採用人数はどーんと増やしたいと思う。人事部長、具体的な採用人数の計算を頼む!

はい、社長、承知しました。ところで……


人事部長


社長

ん? ところで、なんだ?

社長が想定されている採用人数は何人でしょうか? もしくは、採用人数について目安にすべきものなどありますでしょうか?


人事部長


社長

えっ、そりゃあ……、人事部長である君に任せよう! 何か良い目安を見つけてくれたまえ。わっはっはっ!

質問

ある企業の経営会議で社長が人事部長に「今期は業績が良いから、来期は社員の採用人数を増やしたい」と言ったところ、人事部長から「採用人数の目安にするものはありますか?」と逆に質問されました。あなたが社長なら、人事部長に何と言いますか?

▼あなたの思うパターンをクリック▼

パターン1

従業員1人当たりの「売上高」を参考にしてくれ。

パターン2

従業員1人当たりの「付加価値」を参考にしてくれ。

パターン3

従業員1人当たりの「利益」を参考にしてくれ。

従業員1人当たりの「売上高」を参考にすることも考えられますが、会社の規模が大きくなると、管理部門を含んだ様々な部門でも人が必要になります。売上高だけを目安に社員数を決めて良いのでしょうか?

実はみろく製造所では、従業員1人当たりの付加価値を目安にすることにしたのです。それは一体なぜでしょうか?

従業員1人当たりの「利益」を参考にすることも考えられますが、会社の業績は景気などに左右されますから、利益は大きく変動します。利益だけを目安に社員数を決めて良いのでしょうか?

社員の付加価値を生み出す力をウォッチするべし!

人事部長は経営会議で社長から新入社員の採用数を検討するよう指示され、どうしたものかと自分の席で考え込んでいました。

やっぱり、従業員が売上を作るんだから、従業員1人当たりの売上高を参考にするのがいいのかな~
でも、待てよ、営業部門は売上を上げるために頑張るが、製造部門や購買部門、本社部門は売上原価や経費を効率的に使うために努力しているぞ。そう考えると従業員1人当たりの利益を参考にするのがいいのかな~


人事部長

こうして、人事部長が悩んでいるとき、ふと顔を上げると、大きな額縁が目に飛び込んできました。みろく製造所の社是である「付加価値の高い仕事を!」という文字です。

そうだ! これだ!


人事部長

人事部長は急いで経理部長のもとに駆け寄りました。

経理部長、新入社員の採用数を従業員当たりの付加価値を目安にしたいのですが、どうでしょうか?


人事部長

なるほど、社員の付加価値を生み出す力をウォッチするということですね。それなら労働生産性という指標があります。計算式は(付加価値÷従業員数)で計算します


経理部長

なるほど。従業員1人がいくらの付加価値を生み出したかということですね


人事部長

労働生産性が下がったとしたら、従業員1人当たりが生み出す付加価値が減っているということですから問題です。だから、労働生産性が一定以下にならないようにしながら従業員数を増やすという考え方もあります


経理部長

その後、人事部長は経理部長と協力しながら、ライバル企業などの労働生産性を参考に、現状のみろく製造所の労働生産性が大きく低下しない程度の新入社員の採用数をはじき出したのです。

(注)「付加価値」とは
 付加価値とは、会社が新たに生み出した価値のことを言います。付加価値の計算方法には様々ありますが、一般的には以下の計算式で求めることが多いです。
  付加価値 = 税引前当期純利益+人件費合計+賃借料+金融費用+租税公課+減価償却費合計
  または
  付加価値 = 売上高-外部購入原価(商品や原材料の購入価額、外注加工費など)

「労働生産性」

労働生産性とは、従業員1人当たりの付加価値額を言い、数値が高いほど従業員の生産性が高いと言えます。計算式は一般的に以下のとおりです。
 労働生産性=付加価値÷従業員数

なお、本ケースでは労働生産性を参考に従業員数や新入社員数を検討していますが、実際には従業員1人当たりの売上高水準や各部署の業務量、会社全体の年齢別の人数構成、今後の事業計画などを含めて多角的に検討するべきです。

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