営業利益の意味と計算方法、営業利益が重要な理由とは?

2024年8月23日

質問

あるスーパーでは、ある月の損益が次のようになっています。
 ・売上高が1,000万円
 ・売った商品の仕入原価(売上原価)は600万円
 ・広告宣伝費や店員の人件費、店舗の賃借料など(販売費)が150万円
 ・管理者の人件費や事務用品費など(一般管理費)が100万円
 ・借入利息が30万円
本業でどれだけ儲けが出ているかを知るための「営業利益」は、どのように計算しますか?

パターン1

売上高1,000万円から、売上原価600万円を引いた、400万円である。

パターン2

売上高1,000万円から、売上原価600万円、販売費150万円、一般管理費100万円を引いた、150万円である。

パターン3

売上高1,000万円から、売上原価600万円、販売費150万円、一般管理費100万円、借入利息30万円を引いた、120万円である。

この質問をイメージして以下のストーリーをお読みください。

スーパー
電卓

社長からの出題:本業の儲け(営業利益)はどのように計算するのか?

「スーパー・ミロク」の二代目社長である弥勒松太郎氏は、大学在学中の3人の息子のうち1人を将来の三代目社長にしようと考えています。自分の後継者を決めるにあたっては、経営センスを最も重要視する方針です。先日は「粗利の意味や計算方法」について社長から出題されましたが、今回は別の問題が出されました。


社長

よし、じゃ、早速問題だ! 今回は営業利益に関する問題を出すぞ

【松太郎社長からの出題】

ある月の売上高が1,000万円で、売った商品の仕入原価(売上原価)は600万円、広告宣伝費や店員の人件費、店舗の賃借料など(販売費)が150万円、管理者の人件費や事務用品費など(一般管理費)が100万円、借入利息が30万円かかっている。本業でどれだけ儲けが出ているかを知るための「営業利益」は、どのように計算するか?

営業利益って、売上高から売上原価を引いて計算すればいいんでしょう?


長男

いや、売上総利益(粗利)から販売費と一般管理費を引くんだよ。売上高から売上原価、そして販売費及び一般管理費を引くと営業利益だよ


三男

借入利息を忘れてるじゃないか。営業利益は売上高から売上原価、販売費及び一般管理費、借入利息といった費用を全部引いて計算するんだよ


次男

質問

あるスーパーでは、ある月の損益が次のようになっています。
 ・売上高が1,000万円
 ・売った商品の仕入原価(売上原価)は600万円
 ・広告宣伝費や店員の人件費、店舗の賃借料など(販売費)が150万円
 ・管理者の人件費や事務用品費など(一般管理費)が100万円
 ・借入利息が30万円
本業でどれだけ儲けが出ているかを知るための「営業利益」は、どのように計算しますか?

▼あなたの思うパターンをクリック▼

パターン1

売上高1,000万円から、売上原価600万円を引いた、400万円である。

パターン2

売上高1,000万円から、売上原価600万円、販売費150万円、一般管理費100万円を引いた、150万円である。

パターン3

売上高1,000万円から、売上原価600万円、販売費150万円、一般管理費100万円、借入利息30万円を引いた、120万円である。

売上高1,000万円から、売った商品の仕入原価(売上原価)600万円を引いた400万円は営業利益ではなく、売上総利益(粗利)です。

営業利益は、売上高1,000万円から、売上原価600万円、販売費150万円と一般管理費100万円を引いた150万円です。

売上高1,000万円から売上原価600万円、販売費150万円と一般管理費100万円、借入利息30万円を引いた120万円は営業利益ではなく、経常利益です。

営業利益計算のポイントは、本業の儲け(営業利益)の意味を正しく理解したことだった

息子たちの反応を見ながら、松太郎社長は、説明を始めました。

設例で考える営業利益の計算方法

ではここで営業利益の計算方法を、「松太郎社長からの出題」を元に考えてみましょう。

次のとき、本業でどれだけ儲けが出ているかを知るための「営業利益」は、どのように計算するか?

【前提条件】
 ・ある月の売上高が1,000万円
 ・売った商品の仕入原価(売上原価)は600万円
 ・広告宣伝費や店員の人件費、店舗の賃借料など(販売費)が150万円
 ・管理者の人件費や事務用品費など(一般管理費)が100万円
 ・借入利息が30万円

表

【第1案】(誤った計算)について:
 ・販売費及び一般管理費が控除されていません。
 ・ここで計算されている利益は「売上総利益」と言われます。

【第3案】(誤った計算)について:
 ・本業(商品の販売)とは別の財務的な費用(借入利息)が控除されてしまっています。
 ・借入金の利息や、預金の利息、保有する有価証券の運用損益などは、本業(商品の販売)とは直接関係のない、
  財務的な費用・収益で、営業利益の計算には含めません。
 ・ここで計算されている利益は「経常利益」と言われます。

【第2案】(正しい計算)について:
 ・売った商品の仕入原価(売上原価)や、商品の販売や管理のためにかかった広告宣伝費、
  人件費・賃借料・事務用品費など(販売費及び一般管理費)、本業にかかった費用が控除されています。
 ・財務的な費用は控除されていないため、借入金の大小、預金や有価証券の大小などの
  財務的な要素の影響を除いたところでの儲けを表すことができます。

このように、売上高から売上原価を引いて売上総利益を計算し、さらに売上総利益から販売費及び一般管理費を引いて、本業でどれだけ儲けが出ているかを知るための「営業利益」を計算することができます。

営業利益が重要な理由

「本業の儲け」とは、企業の主要な事業(商品や製品の販売、サービスの提供など)で得る利益を指します。商品・製品やサービスを提供するための営業活動を行う際には、それに従事する人たちの人件費や店舗・事務所・工場などの賃借料、水道光熱費なども必要になります。こうした費用を差し引いた上でどのくらいの利益を上げているかは、どのような商品等を提供するか、どのような販売戦略をとるかなどを検討する上で重要です。

「営業利益」

営業利益は本業でどれだけ儲けが出ているかを表し、以下のように計算します。
 売上高-売上原価=売上総利益
 売上総利益-販売費及び一般管理費=営業利益

おすすめ情報

MJS税経システム研究所『公式Xアカウント』を開設しました!

税経X

経営センスチェックの最新記事が公開されたらXでお知らせします。
また、経営に役立つさまざまな情報もXから気軽にお届けしていきますので、ぜひフォローをよろしくお願いいたします!

経営センスチェックSelection

経営センスチェックの記事の中から、資金繰りの改善、好業績を錯覚しないためのポイントなど、テーマにそっておススメの記事を抜粋した特別版冊子を掲載しています。
最新版では、「値上げ前に考えたいコスト削減方法」について取り上げています。世界的な原油や原材料の価格高騰により、値上げが多い一方、競争戦略的に値上げをしない、または値下げに踏み切る企業もありました。
皆さまがコスト削減するにあたり、ぜひ参考にご覧ください!

SelectionVol.12

制作

Banner
×

X(旧Twitter)で最新情報をお届けしています

課題や導入に関するご相談など承っております。

まずはお気軽にお問い合わせください。

資料請求はこちら