選択肢のどれを選ぶ? 成功確率アップのためにやることとは?
2025年1月23日
質問
アプリ開発・販売を行っている「アプリミロク」では、どのようなアプリを新開発するかを検討しており、いくつかの選択肢が挙がっています。成功確率アップのために、あなたが社長なら次のうちどの行動をとりますか?
パターン1
選択肢について直ちに役員の多数決をとって決める。
パターン2
まずは選択肢を場合分けしてみる。
パターン3
社長の直感と経験だけを基に決める。
この質問をイメージして以下のストーリーをお読みください。
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複数の選択肢から適切に決定 ~新開発するアプリの決定に成功
アプリ開発を行っている「アプリミロク」。どのようなアプリを新開発するかを適切な方法で決めることができ、現在は、開発した新アプリの販売が順調に進んでいるようです。
しかし1年前は、どのようなアプリを新開発するかを決めるに当たり、その方法に悩んでいました。
1年前 ~選択肢の多さに悩む日々
新アプリの開発の件で、ご相談です。開発候補のアプリが3つあります。どれも、利用者のニーズに合致するでしょう
開発部長
社長
どんな種類のアプリだね?
料理、旅行、ヘルスケアです
開発部長
社長
うーん。どれも良さそうに思えるな。ただ、リソースの問題からどれか1つにしたい気はする
社長はどれがいいと思いますか?
開発部長
社長
私の直感は、旅行だな。趣味も旅行だし
新アプリ開発の候補が3つ挙がっているものの、リソースの問題もあり、どれか1つに絞る必要があります。アプリごとに開発コストや販売単価、ヒットする確率も異なる状況で、成功確率を上げるためにはどうしたら良いでしょうか。
質問
アプリ開発・販売を行っている「アプリミロク」では、どのようなアプリを新開発するかを検討しており、いくつかの選択肢が挙がっています。成功確率アップのために、あなたが社長なら次のうちどの行動をとりますか?
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パターン1
選択肢について直ちに役員の多数決をとって決める。
パターン2
まずは選択肢を場合分けしてみる。
パターン3
社長の直感と経験だけを基に決める。
多数決は民主的な方法ですが、直ちに役員の多数決をとって決めてしまうと、各選択肢のメリットやデメリットが十分に議論されなかったり、少数派の意見が無視されたりするおそれもあり、成功確率は上がらないかもしれません。
社長が選択したのはパターン2でした。まずは各選択肢を場合分けすることでした。どの選択肢を選ぶかによって、得られる収益や発生するコストも変わってくるので、まずは各選択肢を選んだ場合に生じると想定されることを場合分けすることから始めることとしたのです。どういうことかと言うと……
確かに、社長の直感や経験は重要ですが、過去の成功事例や自分の好みに基づいていたり、バイアスによって誤った判断をすることがあったりするおそれもあり、社長の直感と経験だけで決めてしまうと、成功確率は上がらないかもしれません。
確率を考慮すると、選択する行動が変わる!?
ある日のこと、社長は、息子と天気予報を見ながら、明日傘を持っていくかどうかの話になりました。
社長
明日の降水確率は30%か。傘を持っていった方がいいな
えー、30%って半分以下じゃん。だったら持っていかないよ
息子
社長
でも、雨降って濡れるのは嫌だろ?
それも嫌だけど、この程度の降水確率だと、傘を持ち歩く面倒くささが上回るかな
息子
社長
じゃあ、降水確率何%ぐらいだったら、傘を持っていくんだい?
さすがに50%以上だったら、持っていくよ。これぐらいの確率があれば、雨が降ったときに傘を持っていかなかった後悔が面倒くささを上回りそうだし
息子
社長
んー待てよ。嫌な思いをする度合いって、傘を持っていく“面倒くささ”よりも、雨が降って濡れる“後悔”の方がずっと大きい。確率を考慮すると、選択する行動が変わるのか……。これは、開発するアプリをどれにするか決めるときに使えそうだぞ!
ディシジョンツリー(決定木)とは
社長は早速、この日の話を財務部長にしてみました。
息子さんは、頭の中でディシジョンツリー(決定木)を描いていたのかもしれませんね
財務部長
社長
ディシジョンツリーとは何かね?
ディシジョンツリーは、何かの意思決定をする際、考え得る選択肢の中から最良のものを選び出すためのフレームワークです
財務部長
社長
少し具体的に教えてくれないか
では、傘を持っていくかどうかでご説明します。“傘を持っていかない場合”には“面倒くささ”はありませんが、“傘を持っていく場合”にはそれが生じます。だからと言って、“面倒くささ”のことだけ考えて、すぐに傘を持っていかないと決めるわけではないですよね?
財務部長
社長
雨が降るかどうかが重要だよね
そうなんです。“傘を持っていかなかった場合”に、雨が降らなければ良いのですが、雨が降ってしまったらとても後悔するはずです。そのときの“後悔”というマイナスの度合いは“面倒くささ”というマイナスの度合いの何倍もありそうです
財務部長
社長
確かにそうだな
ではいつでも傘を持っていくことにしますか?
財務部長
社長
それはそれで面倒くさいよね。傘を持っていくかどうかは降水確率によるんじゃないかな
そのとおりです。結局、「傘を持っていくか/持っていかないか」、そして「雨が降るか/降らないか」の4パターンのどれに当てはまるかによって、マイナスの度合いが変わってくるということです。ですから、場合分けして考えてみることが大事なんです
財務部長
社長
息子がそこまで考えていたかはわからんが、場合分けした上で、見込まれる結果の違いを比較する意義は理解できたよ
ディシジョンツリー(決定木)の考え方をアプリ開発に使ってみた
この考えをアプリ開発に応用すれば、次のようなイメージになります
財務部長
社長
開発するアプリによってコストが違うし、ヒットする確率も違うから、どの位の売上になるかも違ってくる。どれ位の採算がとれそうかも違ってくるということか
おっしゃるとおりです。ですので、まずは選択肢を場合分けした上で、条件や確率を変えて見込まれる結果の違いを把握することも大切です。いろいろな状況を想定しながら、最善の選択肢を選ぶ必要があるというわけです
財務部長
社長
なるほどー。早速取り入れてみよう
「ディシジョンツリー(決定木)」
ディシジョンツリー(Decision Tree:決定木)は、何かの意思決定をする際、考え得る選択肢の中から最良のものを選び出すためのフレームワークです。選択肢の結果として起こり得ることを想定して場合分けをしていき、結果ごとに発生確率とリターンを算出することで、結果ごとの期待値を計算し、期待値が最も高いものを選ぶ方法です。
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