業績評価で管理職のモチベーション低下! その理由と対策とは?
2026年3月23日
質問
電子機器の製造・販売を行う「MR社」では、今期の実績額に基づいて、製造部長の業績の良否を評価することにしました。製造部長は自部門の製造原価に責任を有していますが、今期は、予期せぬインフレによる原材料費や電気料金の高騰に加え、作業能率の悪化や品質不良品の補修などによって、想定を超える製造原価が発生しています。製造部長の業績の良否を判断する場合、どの財務数値を用いて評価するのが望ましいと考えますか?
パターン1
今期発生した製造原価の金額を用いて評価を行う。
パターン2
発生した製造原価から、現場の作業能率の悪化や品質不良品の補修にかかったコストを除いた金額を用いて評価を行う。
パターン3
発生した製造原価から、原材料費や電気料金の高騰によって生じた追加的コストを除いた金額を用いて評価を行う。
この質問をイメージして以下のストーリーをお読みください。
|
|
失いかけていたやる気を取り戻すことができた製造部長
製造原価を予算目標の範囲内に抑えることに責任を持つ製造部長は、COVID-19の感染拡大やインフレによる原材料費の高騰など、予期せぬ事態が頻発したことで、なかなか予算目標が達成できない状態が続いていました。懸命に努力をしても、自身に与えられた目標を達成できず、やる気を失いかけていた製造部長でしたが、役員会議における人事部長の一声をきっかけに、製造部長は再びやる気を取り戻すことができたのです。
______________________________________________________
製造原価を予算目標のなかに収めることができなかった ~これって製造部長の責任?
ある日の経営会議でのことです。

社長
わが社の製品は順調に売上が伸びているようだが、製造原価が想定以上に跳ね上がっているようだ。製造部長、きちんと原価管理ができていないのではないか?
今期は製造原価を予算目標のなかに収めることができませんでした。原材料費や電気料金の高騰に加え、現場の作業能率の悪化や品質不良品の補修に追加的なコストがかかってしまいました

製造部長

社長
ということは、製造部長によるコスト管理が適切に行われなかったということだね
製造原価の管理が完璧ではなかったことはご指摘のとおりだと考えています。しかし、今期の製造原価が予算目標を超えてしまった最も大きな要因は、原材料費や電気料金の高騰にあります。これは私がコントロールできる範疇を超えているという点もご理解をいただければと思うのですが……

製造部長

社長
そうはいってもね。製造部長が責任を持つべきは製造原価の金額にあるのではないのかね
は、はぃ……

製造部長
このとき製造部長は思ったのです。
材料消費量や使用電力量はあんなに努力して減らしているのに。管理できるはずもない世界的な価格高騰の影響で自分の評価が下がるなんて……。やる気なくなっちゃうなぁ……

製造部長
質問
電子機器の製造・販売を行う「MR社」では、今期の実績額に基づいて、製造部長の業績の良否を評価することにしました。製造部長は自部門の製造原価に責任を有していますが、今期は、予期せぬインフレによる原材料費や電気料金の高騰に加え、作業能率の悪化や品質不良品の補修などによって、想定を超える製造原価が発生しています。製造部長の業績の良否を判断する場合、どの財務数値を用いて評価するのが望ましいと考えますか?
▼あなたの思うパターンをクリック▼
パターン1
今期発生した製造原価の金額を用いて評価を行う
パターン2
発生した製造原価から、現場の作業能率の悪化や品質不良品の補修にかかったコストを除いた金額を用いて評価を行う
パターン3
発生した製造原価から、原材料費や電気料金の高騰によって生じた追加的コストを除いた金額を用いて評価を行う
業績評価を行う場合、管理者がコントロール不能な要素についてまで責任を負わせると、管理者のやる気を削いでしまうことにつながります。業績評価にあたっては、財務諸表上の数値をそのまま用いるのではなく、管理者の管理できる収益・費用・利益と関連づけた財務数値を用いて評価を行う必要があります。
現場の作業能率の悪化や品質不良品の補修にかかったコストの管理は、製造部門の管理者がコントロールすべき問題です。これらのコストは、製造部門の管理者が責任を負うべきコストといえるでしょう。
原材料費や電気料金の高騰などの外的な要因によって生じた追加的コストは、製造部門がコントロールできる範疇を超えていると考えられます。したがって、製造部門の管理者が責任を負うべき製造原価は、製造原価から製造部長が管理不能なコストを除いた数値であり、これによって、評価を行う必要があります。
管理可能な財務数値に責任を負わせる
製造部長がやる気を失っていることに気づいた人事部長は、社長にある提言をすることにしました。
社長、最近製造部長が落ち込んでいるようですが、お気づきでしたか?

人事部長

社長
確かに元気がないようだ。先日の評価が思わしくなかったからだろうか
製造部長は製造原価低減のために日々研究をされていらっしゃいます。しかし、材料価格の高騰などの外的な要因によって、努力の成果が全く評価されないことで、やる気を失われているようです

人事部長

社長
そうだったのか。確かに、製造部長が管理不能な責任まで押し付けてしまっては、彼のやる気を削いでしまうことになるな
これまでは、損益計算書における製造原価の金額そのもので製造部長の業績を評価していましたが、これからは、管理不能な要素は除いた金額を用いて評価を行う必要がありそうですね

人事部長

社長
社員のやる気は、会社の財産だ! これを損なうような評価制度はすぐに見直そう!
MR社は、業績評価に用いる数値を、管理者がコントロールできる収益・費用・利益に改めることにしました。管理可能性に配慮した業績評価をするようにしたのです。これによって、管理者が管理不能な数値について責任を負わされることはなくなり、管理者の努力の成果を反映した評価が行われるようになったのです。評価が改められたことで努力の成果が業績評価に反映されるようなった製造部長は、再びやる気を取り戻し、製造原価低減に向けた研究に勤しむのでした。
管理可能性に配慮した業績評価
管理者の業績評価にあたっては、管理者が管理可能な財務数値と紐づけた評価を行う必要があります。管理不能な要素についてまで管理者が責任を負わされる場合、当該管理者のやる気は失われてしまうことになるため、注意が必要です。なお、管理者が投資責任を有する場合は、評価に用いる投資額についても、管理不能な投資額(本社の意思決定等によって、各管理者の判断とは無関係に投資を実行せざるを得ない場合の投資金額など)を控除した金額を用いる必要があります。
経営センスチェックの記事の中から、資金繰りの改善、好業績を錯覚しないためのポイントなど、テーマにそっておススメの記事を抜粋した特別版冊子を掲載しています。
最新版では、「値上げ前に考えたいコスト削減方法」について取り上げています。世界的な原油や原材料の価格高騰により、値上げが多い一方、競争戦略的に値上げをしない、または値下げに踏み切る企業もありました。
皆さまがコスト削減するにあたり、ぜひ参考にご覧ください!
X(旧Twitter)で最新情報をお届けしています
Tweets by mjs_zeikei