第34回 両立支援等助成金の活用2

2022年11月9日

 前回は、おもに男性労働者の産後パパ育休を支援する両立支援等助成金の「出生時両立支援コース(子育てパパ支援助成金)」の概要について解説いたしました。今回は、男女問わず仕事と育児の両立を支援する「育児休業等支援コース」について解説いたします。
 昨年度と大筋ではほぼ同じ内容ですが、昨年度まで「代替要員確保時」と「職場復帰時(職場支援加算)」において実施していた代替要員確保に対する支援内容が、今年度から「業務代替支援」として見直されました。

両立支援等助成金 「育児休業等支援コース」の概要

1.育休取得時・職場復帰時

 労働者の円滑な育児休業の取得・職場復帰を支援する制度を構築し、育休復帰支援プラン(以下、「プラン」という)を作成、そのプランに沿って育休を取得・職場復帰を実現した中小企業事業主が受給できます。
 おもな受給要件は以下の通りです。

(出典:厚生労働省 両立支援等助成金リーフレット)

A 育休取得時

  • 育児休業の取得、職場復帰について、プランにより支援する措置を実施する旨を、あらかじめ就業規則等にて労働者に周知すること。
  • 対象労働者との面談を実施し、育児の状況や今後の働き方についての希望等を確認のうえプランを作成すること。
  • プランに基づき、対象労働者の育児休業(産前休業から引き続き産後休業及び育児休業をする場合は、産前休業)の開始日の前日までに、プランに基づいて業務の引き継ぎを実施し、対象労働者に、連続3か月以上の育児休業(産後休業の終了後引き続き育児休業をする場合は、産後休業を含む)を取得させること。

B 職場復帰時

  • 対象労働者の育休中にプランに基づく措置を実施し、職務や業務の情報・資料の提供を実施すること。
  • 育児休業終了前に対象労働者とその上司又は人事労務担当者が面談を実施し、面談結果を記録すること。
  • 対象労働者を、面談結果を踏まえて原則として現職等に復帰させ、現職等復帰後も申請日までの間、雇用保険被保険者として6か月以上継続雇用していること。

<支給申請の時期>

 A育休取得時は、受給要件を全て満たしたうえで、対象労働者の育児休業(産後休業の終了後引き続き育児休業をする場合は、産後休業)を開始した日から起算して3か月を経過する日の翌日から2か月以内に必要書類を揃えて管轄労働局に申請。
 B職場復帰時は、受給要件を全て満たしたうえで、対象労働者の育児休業終了日の翌日から起算して6か月を経過する日の翌日から2か月以内に必要書類を揃えて管轄労働局に申請。
 尚、育休取得時を受給していない場合、職場復帰時の申請はできません。
 また、同一事業主の事業所に勤務する父母が、同一の子の育児を理由に育休取得する場合、それぞれについて支給申請することができます。

2.業務代替支援

 育休取得者の業務を代替する労働者を確保し、かつ育休取得者を原職等に復帰させた中小企業事業主が受給 できます。
 おもな受給要件は以下の通りです。

(出典:厚生労働省 両立支援等助成金リーフレット)

  • 育休取得者を、育児休業終了後に原職等に復帰させる旨を就業規則等に規定すること。
  • 対象労働者が3か月以上の育児休業(産後休業の終了後引き続き育児休業をする場合は、産後休業を含む)を取得し、事業主が休業期間中の代替要員を新たに確保する(A新規雇用)又は代替要員を確保せずに業務を見直し、他の従業員により対象労働者の業務をカバーさせる(B手当支給等)こと。
  • 対象労働者を上記規定に基づき原職等に復帰させ、雇用保険被保険者として6か月以上継続雇用していること。
  • 育児休業からの復帰後、対象労働者が育児のための短時間勤務制度を利用していたとしても、就業規則等に育児のための短時間勤務制度が規定されていれば、原職等への復帰とみなすことができます。ただし、対象労働者の希望により短時間労働者に身分や給与形態が変更された場合は、原職等に復帰したとは認められません。

<支給申請の時期>

 受給要件を全て満たしたうえで、対象労働者の育児休業終了日の翌日から起算して6か月を経過する日の翌日から2か月以内に、必要書類を揃えて管轄労働局に申請。

3.職場復帰後支援

 育児休業から復帰後、仕事と育児の両立が特に困難な時期にある労働者のために、育児・介護休業法を上回る一定の支援制度を導入し、利用者が生じた中小企業事業主が受給できます。
 おもな受給要件は以下の通りです。

(出典:厚生労働省 両立支援等助成金リーフレット)

  • 育児・介護休業法を上回る「A:子の看護休暇制度(有給、時間単位)」又は「B:保育サービス費用補助制度」を導入していること。
  • 対象労働者が1か月以上の育児休業(産後休業を含む)から復帰した後6か月以内において、導入した制度の一定の利用実績(A:子の看護休暇制度は10時間以上(有給)の取得又は、B:保育サービス費用補助制度は3万円以上の補助)があること。

<支給申請の時期>

 受給要件を全て満たしたうえで、対象労働者の育児休業終了日の翌日から起算して6か月を経過する日の翌日から2か月以内に、必要書類を揃えて管轄労働局に申請。

 中小零細企業にとって重要な戦力が一時的とはいえ休業してしまうのは、事業運営上とても厳しい事かもしれません。だからこそ両立支援等助成金の各コースをフルに活用できるようにあらかじめ規定等を整備して、気持ちよく育児休業を促せるような体制を整えたいものです。  

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