第54回 事業展開等リスキリング支援(助成金)

2024年7月3日

 最近、「リスキリング(学び直し)」という言葉をよく聞くようになりました。世界的なトレンドとなっているようですが、日本では特にコロナ禍以降、新たな事業展開を進める企業や先進諸外国と比べてDX化が遅れている現状を打破するために「リスキリング」は必要不可欠とされています。これには、政府も特に力を入れて企業を後押ししています。人材育成に取り組む企業が受給することができる人材開発支援助成金に、2022年から2026年までの期間に限って新たに「事業展開等リスキリング支援コース」を設定しました。

 今回の労務管理トピックスでは、この新たに設定されたこの助成金の概要について解説いたします。

人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)の目的

 一昨年度新設された人材開発支援助成金の事業展開等リスキリングコースは、企業の持続的発展のため、新製品の製造や新サービスの提供等により新たな分野に展開する、または、デジタル・グリーンといった成長分野の技術を取り入れ業務の効率化等を図るための人材育成に取り組む企業に、訓練経費や訓練期間中の賃金の一部を支援することを目的としています。

事業展開

 新たな製品の製造、新たな商品やサービスを提供すること等により、新たな分野へ進出すること。また、事業や業種転換、既存事業の中で製品の製造方法、商品やサービスの提供方法を変更する場合など。

例:日本料理店がフランス料理店を新たに開業、店舗販売のみの物販店が新たにECサイト立ち上げで通信販売を開始、繊維業を営む企業が、新たに医療機器の製造を開始 等

デジタル・DX化

 デジタル技術を活用して、業務効率化を図ることや、顧客や社会のニーズを基に製品やサービス、ビジネスモデルを変革する等して競争上の優位性を確立するなど。

例:ITツールの活用して社内のペーパーレス化を進めた、アプリを開発して顧客が待ち時間を見えるようにした、AIを活用して配送ルートの最適化を実現 等

グリーン・カーボンニュートラル化

 徹底した省エネ、再生可能エネルギーの活用等により、CO2等の温室効果ガスの排出を全体としてゼロにすること。

例:農薬の散布に使うトラクターに代わってドローンを導入、風力発電機や太陽光パネルを導入 等

支給対象者・対象訓練

支給対象者

事業主:雇用保険適用事業所の事業主
労働者:雇用保険被保険者

対象訓練…次の①~③を全て満たす訓練

  1. 訓練時間が10時間以上であること
  2. OFF-JT(企業の事業活動と区別して行われる訓練)であること
  3. 職務に関連した訓練で、以下のA・Bいずれかに該当する訓練であること

A:企業において事業展開を行うにあたり、新たな分野で必要となる専門的な知識および技能の習得 をさせるための訓練

B:事業展開は行わないが、事業主において企業内のデジタル・デジタルトランスフォーメーション( DX )化やグリーン・カーボンニュートラル化を進めるにあたり、これに関連する業務に従事させる上で必要となる専門的な知識及び技能の習得をさせるための訓練

  • 訓練開始から起算して、3年以内に実施する予定のものまたは6ヶ月以内に実施したものが対象

助成率・助成額

①助成率・助成限度額

経費助成率 賃金助成額(1人1時間) 1事業所1年度あたりの
助成限度額
中小企業 大企業 中小企業 大企業
75% 60% 960円 480円 1億円

②受講者1人あたりの経費助成限度額

10時間以上100時間未満 100時間以上200時間未満 200時間以上
中小企業 大企業 中小企業 大企業 中小企業 大企業
30万円 20万円 40万円 25万円 50万円 30万円
  • e-ラーニング、通信制、定額制サービスによる訓練は経費助成のみ(賃金助成は不支給)

手続きの流れ

 助成金受給までの流れは、以下の通りです。

Step1

  • 職業能力開発推進者の選任、事業内職業能力開発計画の策定・労働者に対する周知

Step2

  • 事業内職業能力開発計画に基づき、職業訓練実施計画を作成する
  • 作成した必要書類等を訓練開始日の1ヶ月前までに管轄労働局に提出する

Step3

  • 職業訓練実施計画に基づき訓練を実施する
  • 支給申請までに、訓練にかかった経費全額を支払う

Step4

  • 訓練終了日の翌日から2カ月以内に、必要書類を管轄労働局に申請する

支給決定または不支給決定

  • 審査には支給申請から数か月間の時間を要します

(出典:厚生労働省リーフレット ~「事業展開等リスキリング支援コース」のご案内~)

 人材開発支援助成金・事業展開等リスキリング支援コースは、従来の人材開発助成金の他のコースに比べて助成率・受給上限金額等も高く設定されているため、営業会社等が高額な費用を要求して助成金を提案してくる場合が多く、トラブルに発展するケースも後を絶ちませんので、実際に取り組む場合は信頼できる社会保険労務士に直接依頼することをお薦めいたします。

筆者紹介

加藤千博

MJS税経システム研究所 客員研究員
社会保険労務士法人加藤マネジメントオフィス 代表社員
社会保険労務士 加藤 千博
http://www.kmo-sr.jp/

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