第58回 マイナ保険証の概要

2024年11月6日

 国は、医療の効率化と利便性の向上、医療データの集約と活用による医療の質の向上、行政手続きのデジタル化・効率化等を目的として、「マイナ保険証」の導入を進めてきました。
マイナ保険証は、マイナンバーカードを健康保険証として利用できるようにしたもので、利用登録を行うと、医療機関や薬局等で従来の健康保険証の代わりとして使用できます。
また、2024年12月2日から従来の健康保険証の新規発行を廃止することが決定していますが、今年8月時点でのマイナ保険証の利用率12.43%(厚生労働省調べ)にとどまるなど、まだまだ十分に普及するには至ってません。

 今回はこの「マイナ保険証」について、使用方法や特徴について解説していきます。

マイナンバーカードの保険証利用登録

 マイナンバーカードを健康保険証として利用するためには、次の3つのステップが必要です。

STEP1:マイナンバーカードの申請

  1. オンラインで申請する(パソコン・スマートフォンから)
  2. 郵便で申請する
  3. まちなかの証明写真機から申請する

STEP2:マイナンバーカードを健康保険証として登録

  1. 医療機関・薬局の受付のカードリーダーで行う
  2. マイナポータルから行う
  3. セブン銀行ATMから行う

STEP3:医療機関・薬局でマイナンバーカードを用いて受付

  1. 顔認証つきカードリーダーにマイナンバーカードを置く
  2. 本人認証を行う(顔認証・暗証番号)
  3. 各種情報提供の同意選択をする

マイナ保険証利用のメリット(図表1参照)

より良い医療が受けられる

 過去の処方薬や健康診断の情報を医師や薬剤師に口頭で正確に伝えるのは手間がかかりますが、受診時や調剤時にマイナ保険証を使って受付を行い、情報提供に同意することで、その情報をスムーズに共有できます。初めて訪れる医療機関や薬局でも、患者が同意すれば、医師や薬剤師が過去のデータを確認できるため、より質の高い医療を受けることが可能になります。

手続きなしで高額療養費の限度額を超える支払い免除

 高額療養費制度は、医療機関や薬局での支払いが1ヶ月の上限額を超えた場合、その超過分が支給される制度です。
従来は、一度窓口で全額を支払い、後から申請書を提出して払い戻しを受ける手続きが必要でした。事前に「限度額適用認定証」を申請すると、窓口での支払いを上限額までに抑えることができますが、申請が間に合わないと一時的に高額な費用を負担する必要がありました。今後は、マイナ保険証を利用することで、「限度額適用認定証」がなくても、保険適用の診療において上限額以上の支払いをする必要がなくなります。

マイナポータルで確定申告時に医療費控除が簡単にできる

 1月1日から12月31日までの間に自分や同じ生計を立てる配偶者、その他の親族の医療費を支払い、その合計が一定額を超えた場合、医療費控除として所得控除を受けることができます。この医療費控除を受けるには、医療費の領収書から「医療費控除の明細書」を作成し、確定申告の際に提出する必要があったため、1年間の医療費領収書を管理する必要がありました。しかし、今後はマイナポータルからe-Taxへ連携することで、医療費控除申請が簡単になります。医療費の領収書を保管せずとも、マイナポータルで医療費通知情報を管理でき、e-Taxと連携して自動入力が可能です。

就職・転職・引越後も健康保険証等としてずっと使える

更新が不要で、新しい健康保険証の発行を待たずに手元のマイナンバーカードをそのまま使えます。

  • ただし、新しい保険者への資格取得等の手続きは必要です。

 その他、万が一、救急で病院に搬送される際にも、マイナ保険証に基づいて迅速に医療情報を確認できるため、適切な医療提供が期待できます。特にアレルギーや過去の重篤な病歴がある場合、重要な情報が即座に医療従事者に伝わることが有利です。
また、マイナポータルを通じて自身の医療記録や薬剤の情報を閲覧できるため、日常的な健康管理にも役立ちます。過去の診療内容を把握することで、健康状態の管理がしやすくなり、自己管理意識を高める効果も期待できます。

資格確認書の交付

 2024年12月2日以降、マイナンバーカードを持っていない方や、健康保険証としての登録がまだの方には、勤務先や自治体などの医療保険者から「資格確認書」が無料で発行され、これによりマイナンバーカードがなくても保険資格の確認が可能です。
また、高齢者や障害のある方などでマイナ保険証の利用が難しい場合は、申請することで「資格確認書」を受け取ることができます。この「資格確認書」を医療機関に提示することで、自己負担割合に基づき、従来通り保険診療を受けることが可能です。

申請不要で交付される方(交付手続きや申請が必要ない方)

  • マイナンバーを取得していない方
  • マイナンバーカードを健康保険証として利用登録をしていない方
  • 後期高齢者の方(後期高齢者医療制度の被保険者)

申請により交付される方

  • マイナ保険証で受診等が困難な方(高齢者、障害がある方など)
  • マイナンバーカードを紛失・更新中の方

(図表1:マイナ保険証のメリット)

 マイナ保険証の普及により、将来的には診療費支払いや病歴の管理がさらに便利になることが期待されています。また、デジタル化による医療費の適正化、重複診療の防止、患者の健康管理サポートなど、医療全体の効率化に寄与すると見込まれています。
マイナ保険証は医療現場や患者にとって、利便性と効率性を大きく向上させるための重要なステップです。

筆者紹介

加藤千博

MJS税経システム研究所 客員研究員
社会保険労務士法人加藤マネジメントオフィス 代表社員
社会保険労務士 加藤 千博
http://www.kmo-sr.jp/

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