インボイス制度に対応しないと取引先が困る!? ~今さら聞けない制度の概要
2023年2月23日
質問
「ミロク物産」の営業担当者が販売先から、「しっかりインボイス制度への対応をしてもらわないと、今後取引をしていく上でとても困る」と言われました。販売先がこんなことを言ってくる理由はなんだと思いますか?
パターン1
取引が無効となってしまうから。
パターン2
販売先(買手)が仕入税額控除を受けられないから。
パターン3
販売先(買手)が交付費用を追加で負担しないといけないから。
この質問をイメージして以下のストーリーをお読みください。
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インボイス制度に向けて準備はできている!?
2023年晩夏。卸売業の「ミロク物産」は、2023年10月から適用が始まるインボイス制度(適格請求書等保存方式)への事前対応が終わり、少しずつ落ち着きを取り戻しています。なんとか適用開始までに準備が完了したものの、一時はどうなることかといった状況でした。
社長 | なんとかうちもインボイス制度への事前対応が終わって良かった。あとは適用開始を迎えるだけだなぁ |
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経理部長 | 準備は整いましたが、実際に適用開始を迎えないと分からないこともあると思いますよ |
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社長 | やれやれ。いろいろと対応しなければならない制度があると大変だ |
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半年前 ~インボイス制度ってなんだ?
現社長が経営を任されるようになってからのミロク物産は、順風満帆とは言えないもののなんとか業績を保ち続けています。今期の業績は前期に比べて良かったため、社長は上機嫌なのですが、何やら社内はバタバタと慌ただしい雰囲気です。
社長 | なんだなんだ。なぜこんなにバタバタしているんだ。何かあったのか? |
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経理部長 | 営業担当者が販売先から「インボイス制度への対応はどうするのか」と聞かれたそうなのですが、うちは何も準備していないので、慌てて調べているところです。「インボイス対応をしてもらわないと今後取引をしていく上でとても困る」と言われてしまったそうなのです! |
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社長 | イ、インボイス? 最近CMでよく聞く言葉だが、うちも何か対応が必要なのか? そもそもインボイス制度ってなんだか難しくてよく分からないし、そんなに慌てて準備が必要なものなのか。いつから始まるんだ? |
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経理部長 | 私もよく分かっておらず申し訳ございません。どうやら請求書や領収書に影響が出てくるようです。適用開始は2023年10月ですが、あっという間に来てしまいますよ。とにかく早急に調べてみます! |
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社長 | そうだな。頼んだ。私の方でも調べてみる。取引を縮小されてしまうことがあっては困る。でも何をどうしたら良いのか…… |
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販売先からの問い合わせの意図は何だったのでしょうか。そもそもインボイス制度とはどんな制度なのでしょうか。
質問
「ミロク物産」の営業担当者が販売先から、「しっかりインボイス制度への対応をしてもらわないと、今後取引をしていく上でとても困る」と言われました。販売先がこんなことを言ってくる理由はなんだと思いますか?
▼あなたの思うパターンをクリック▼
パターン1
取引が無効となってしまうから。
パターン2
販売先(買手)が仕入税額控除を受けられないから。
パターン3
販売先(買手)が交付費用を追加で負担しないといけないから。
取引が無効になることはないかもしれませんが、販売先(買手)はミロク物産(売手)にインボイスを交付してもらわないと仕入税額控除を受けられないため、取引縮小の可能性も出てきてしまうかもしれません。
正解はパターン2です。インボイス制度は消費税の仕入税額控除に関わる新しいルールであり、買手側の仕入税額控除、ひいては消費税の納税額に影響します。そのため、販売先(買手)はミロク物産(売手)のインボイス制度への対応状況を尋ねてきたのです。では、インボイス制度とはどんな制度なのでしょうか。
「インボイス制度」とは正式には「適格請求書等保存方式」と言います。仕入税額控除に必要な請求書や領収書に関わるものです。そもそも取引において領収書や請求書を交付するにあたり、特別な費用が発生するものではありません。
インボイス制度への対応は必要? それとも不要?
インボイス制度への対応について、社長が頭を悩ませながら帰宅すると、娘がテレビを見ているところでした。娘は他社で事務として働いています。
娘 | お帰りなさい~。どうしたの? そんな深刻な顔して |
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社長 | インボイス制度って知ってるか? うちもどうするか考えなければならないんだけど、何から手を付けたらいいのか…… |
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娘 | あ~インボイス制度ね。なんだか難しそうな制度よね。そう言えばうちの会社にもインボイス制度の対応はどうする予定ですかって、会計ソフトの会社から電話が来たわ。担当者にすぐ電話をつないでしまったけど、いろいろとシステムとかにも影響が出てくるみたいね |
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社長 | システムにも影響が出てくるのかぁ。大変だなぁ |
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娘 | そんなのんきなこと言ってる場合じゃないのよ。インボイス制度への対応をしないとお客さんの消費税の納税額が増えて迷惑がかかるわよ。そうならないように制度についてしっかり調べてみたら? 制度開始は待ってくれないんだから! |
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社長の心の声 | <制度開始は待ってくれないかぁ……。確かにお客さんに迷惑がかかるといけないからなぁ。よし! まずは私がしっかりしなければ!> |
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翌日、社長は早速、インボイス制度について調べはじめました。調べてみると、幅広い業種や規模に及ぶ多くの企業に関係し、また売手と買手の双方に関わる制度だということが見えてきました。対応の要否や対応方法など会社によって判断すべきことがあるようです。
【適用開始】
2023年10月1日~
【目的・意義】
売手と買手の双方が正確な消費税額を把握し、転嫁・申告・納付すること。
【導入の必要性】
インボイス制度に対応するか否かは任意となり、企業ごとに判断が異なります。ですがインボイス制度に対応していない売手はインボイスを交付することができず、買手はインボイスを受け取れない取引について仕入税額控除が受けられません。そのため、買手は消費税の納税額が増えてしまいます。今後、買手はインボイス制度に対応しない売手との取引を見直すことも考えられ、売手にとっては自社の損失につながる可能性もあります。売手側と買手側、また免税事業者など、それぞれでどういう準備をするかが異なるので、事前の検討が必要です。
【準備にあたって確認すべきこと】
・インボイス発行事業者になるかどうかの判断(免税事業者の場合は、課税事業者を選択してインボイス発行事業者登録をするかどうかの判断)
・売手側(インボイス発行事業者)の留意点
・買手側(仕入税額控除を受ける者)の留意点
・システムの入替や改修 など
まずはミロク物産にとってどうすることが最適であるのか、経理部長とともに顧問税理士に相談することにしました。まだ適用開始までは時間があります。しっかりと調べて、適切に対応・準備していくことで乗り越えていこうと社長は意気込んでいます。
ワンポイント解説
「インボイス制度(適格請求書等保存方式)」
インボイス制度とは、2023年10月1日から新たに始まる「消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式」のことです。消費税の仕入税額控除の要件として、適格請求書発行事業者(インボイス発行事業者)から交付を受けた適格請求書(インボイス)の保存が必要とされています。このため、消費税の仕入税額控除を受けるには、事業者はインボイスの交付を受け、保存しておくことになります。
売手側と買手側それぞれに対応の必要があり、また、免税事業者は課税事業者を選択してインボイス発行事業者登録をするかどうかを判断することになります。
詳しい内容は下記「関連リンク」をご確認ください。
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