従業員の高齢化と人材不足に悩む企業が選んだ秘策とは?

2022年10月13日

質問

鉄工業を営む「ミロク鉄工所」は、従業員の高齢化と人材不足に悩んでいます。あなたが経営者なら次のうちどの戦略を選びますか?

パターン1

従業員の自主退職に割増の退職金を支払う。

パターン2

従業員の健康管理を重視する方策を取る。

パターン3

従業員の中途採用を強化する。

この質問をイメージして以下のストーリーをお読みください。

会議室
研修

従業員の高齢化と人材不足への対応が進み、職場は活気を呈しています!

「ミロク鉄工所」は、作業現場は品質管理に厳しいものがありますが、安定的な受注があり、従業員一同、元気よく仕事に励んでいます。2年前のあの社内の暗い状況とは様変わりとなり、社長も自信を深めています。

2年前 ~社長は、従業員の高齢化と人材不足に悩んでいました……

ミロク鉄工所は、数年前から従業員の高齢化が進み、健康上の理由で欠勤率も増加し、作業効率が著しく低下し、企業業績の伸び悩みに直面していました。

社長 近年、特にわが社の従業員構成が高齢化しているな。作業の効率性もひどく低下し、仕事の進捗度も遅れ気味だ
専務 そのとおりですね。従業員の勤務年数も長くなり、作業の熟練度は高いのですが、何せ平均年齢が高くなり、生活習慣病を抱える人も多くなっています
常務 最近、社員の高齢化が進んだせいか、従業員の欠勤率も上昇傾向にあります。若い有能な人材を採用しなければなりませんが、近年の人手不足で、十分な人材採用もままならない状態です
社長 わが社の今後の健全な発展のために、何か良い方策はないものかな?

質問

鉄工業を営む「ミロク鉄工所」は、従業員の高齢化と人材不足に悩んでいます。あなたが経営者なら次のうちどの戦略を選びますか?

▼あなたの思うパターンをクリック▼

パターン1

従業員の自主退職に割増の退職金を支払う。

パターン2

従業員の健康管理を重視する方策を取る。

パターン3

従業員の中途採用を強化する。

従業員の高齢化を解消するため、自主退職を促進するという方法もあるかもしれません。しかし、現状でも人材不足ですから、これ以上人材が減ったら大変です。また、若手の有用な人材を採用することもなかなか難しいのが現状です。

ミロク鉄工所の社長が選んだのはパターン2でした。その理由はどこにあるのでしょうか?


従業員を積極的に中途採用することにより、十分な経験と実績を積んだ人材を加えることも、重要な選択肢の一つです。しかし、他企業との競争も激しく、有能な人材の採用もひとすじ縄ではいきません。


健康経営の研修からヒントを得た!

ミロク鉄工所の社長は、自社の経営環境の課題克服のために、日夜、頭を悩ませていました。従業員の高齢化や有能な人材の採用問題など、頭の痛い課題が多いからです。

ある日、社長は、中小企業経営者の集まりに参加し、それぞれの企業が抱えている経営課題などについて懇談をしました。その席上で、興味深い試みを耳にしました。それは、商工会議所主催の「健康経営アドバイザー研修」というものでした。

「健康経営アドバイザー研修」は、健康経営の必要性を伝え、健康経営実施へのきっかけを作る人材を育成するための研修プログラムでした。早速、労務・人事担当者と共に社長自身もこの研修に参加し、ノウハウを学びました。研修は「e-ラーニング」方式なので日常業務に影響することなく参加することができました。

そこで学んだことの中心は、「経営者自らが率先して取り組むこと」でした。経営者の健康経営への思いを伝え、経営者が先頭に立って取り組むことで、従業員がより健康を意識し、多くの従業員の健康づくりへの取り組みにつながるということでした。

健康経営の具体的な内容

こうして検討を始めた結果、ミロク鉄工所の社長が社内に提案した主な行動方針は、次のようなものでした。

● 「健康度チェックシート」を作成し、従業員の健康状態の現状および課題を確認する。
● 毎週月曜日に昼の休憩時間を使って「健康体操」を実施する。外部の健康インストラクターを招き、フィットネス的な運動も加える。
● 参加するたびに「健康スタンプラリー」のポイントを与える。
● 年間6回の健康診断および健康セミナーを開催し、全従業員と個別面談をする。
● 健康診断後に産業保健スタッフが、きめ細かなメンタルヘルス対策を実施し、従業員のメンタルヘルスに配慮する。
● 健康増進に資する行動習慣と定期健診の結果をポイント化し、1ポイント=1円の特別ボーナスとして支給する。

健康経営の効果

その結果、従業員の健康に対する意識が高まり、労働環境が好転し、自然と企業業績にも反映されてきたことが確認されました。

社長自ら健康を意識した健康経営を推進することにより、高齢者の多い従業員も自己の健康管理に普段から留意をするようになりました。個人の健康志向が高まり、かつ会社全体での積極的な健康サポートをすることにより、従業員間のモチベーションも向上し、組織が以前より活性化してきました。課題であった欠勤率もいつの間にか低下し、従業員の作業効率も向上してきました。従業員が健康で仕事に励むことにより、企業の医療費の負担も減少してきたと、人事総務課や経理課からも報告がありました。その結果、ミロク鉄工所の企業業績も増収増益基調となりました。

驚いたことに、人材採用にあたっても、健康経営をアピールしたことで応募者数が増加し、同社の将来の発展に十分な期待を持てる有能な人材も確保することができました。

ワンポイント解説

「健康経営」

健康経営とは、従業員等の健康管理や健康増進の取り組みを「投資」と捉え、経営的な視点で考え戦略的に実行する経営手法を言います。従業員等の健康保持・増進に積極的に取り組むことで、従業員の活力・生産性の向上など組織が活性化し、業績や企業イメージの向上、採用増加へつながるといった効果が期待できます。

経営センスチェックSelection

経営センスチェックの記事の中から、資金繰りの改善、好業績を錯覚しないためのポイントなど、テーマにそっておススメの記事を抜粋した特別版冊子を掲載しています。
最新版では、「値上げ前に考えたいコスト削減方法」について取り上げています。世界的な原油や原材料の価格高騰により、値上げが多い一方、競争戦略的に値上げをしない、または値下げに踏み切る企業もありました。
皆さまがコスト削減するにあたり、ぜひ参考にご覧ください!

SelectionVol.12

制作

Banner
×

X(旧Twitter)で最新情報をお届けしています

課題や導入に関するご相談など承っております。

まずはお気軽にお問い合わせください。

資料請求はこちら