地元で愛される美術館。収入を確保しつつ来館客の要望に応える方法とは?
2023年5月13日
質問
多くの来館客で賑わっている「ミロク美術館」ですが、最近では混雑し過ぎていてゆっくり鑑賞できないといった声も耳にします。収入を確保しつつ、来館客の要望にも応えるために、あなたが経営者なら次のうちどの行動をとりますか?
パターン1
混雑緩和のため、完全予約制にして、1日の来館者数を制限する。
パターン2
多くの来館客が入場できるように、鑑賞エリアの規模を拡大する。
パターン3
混雑状況をネットで公開し、混雑状況に応じた販売価格設定をする。
この質問をイメージして以下のストーリーをお読みください。
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来館客の希望に沿った営業を実現
「ミロク美術館」は、都心から少し離れた駅郊外にある昔ながらの私立の美術館です。現理事長の祖父の代から、営業を続けており、地元の方に愛されています。最近は、より来館客が増えて、多くの方に満足いただけているようです。
老夫婦 | 館長さん、こんにちは。最近は、以前よりも混雑し過ぎということもなく、ゆっくり鑑賞できて大満足だよ。また来るね |
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館長 | こんにちは。ありがとうございます! そう言っていただけて嬉しい限りです |
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その様子を見ていた理事長が言いました。
理事長 | 前は、時間帯によってばらつきがあったが、今はそれも改善されつつあって、お客さまにも満足いただけているようだね |
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館長 | そうですね。良かったです |
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以前 ~このままではリピーターが離れてしまう
現理事長が経営を任されるようになってからは、順調に営業を続けており、収入も安定していますが、時間帯によって、来館客数はまちまちです。もちろん多くの方に来館いただけることは良いことですが、美術館ということもあり、静かな空間で作品を鑑賞したいという声も耳にします。
館長 | 理事長! 先日、昔から足を運んでくださっているご夫婦が、最近は、人が多くてゆっくり鑑賞できなくて残念だとおっしゃっておりました |
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理事長 | 確かに定期的に企画展をやることで、多くの方に足を運んでいただけているし、幅広い世代に愛してもらえることはありがたいが、美術館という空間としてそういったお声を無視するわけにはいかないな! |
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館長 | そうですよね。もちろん新規顧客を増やすことは大切ですが、昔からのリピーター様にも満足いただきたいですね! 私も何か良い方法がないか考えてみます |
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理事長 | ありがとう。私も考えてみるよ! |
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収入を確保しつつ、来館客の要望にもしっかりと応えていくには、どうしたら良いでしょうか。
質問
多くの来館客で賑わっている「ミロク美術館」ですが、最近では混雑し過ぎていてゆっくり鑑賞できないといった声も耳にします。収入を確保しつつ、来館客の要望にも応えるために、あなたが経営者なら次のうちどの行動をとりますか?
▼あなたの思うパターンをクリック▼
パターン1
混雑緩和のため、完全予約制にして、1日の来館者数を制限する。
パターン2
多くの来館客が入場できるように、鑑賞エリアの規模を拡大する。
パターン3
混雑状況をネットで公開し、混雑状況に応じた販売価格設定をする。
確かに完全予約制にすることで、人数が制限されて混雑緩和につながるかもしれません。しかし、完全予約制にしてしまうと、来館希望者を逃してしまうことにもなりかねません。機会損失が生まれ、美術館の収入が減少してしまう可能性があるので、最適とは言えないでしょう。
鑑賞エリアの規模を拡大することで、多少は混雑緩和につながるかもしれません。しかし、展示品の移動や館内の改装など、新たな費用が発生する上に、しばらく休館しなければならなくなってしまいますので、今は最適とは言えないでしょう。
実はミロク美術館の理事長が選択したのはパターン3でした。従来は混雑状況に関係なく入場料金が一律でした。さらに、混雑時には入場まで待ち時間が発生するなどの問題もありました。そういった面からも混雑状況をネットで公開し、混雑状況に応じて入場料金を変更することで、来館者を分散させることを検討することにしたのです。
社会人の娘の有効な休日の過ごし方がヒントになった
ある日曜日の朝、館長が仕事の支度をしていると、仕事が休みのはずの社会人の娘が、早起きをして出かける支度をしています。
館長 | あれ。今日は日曜日なのにやけに早起きだなぁ。どうしたんだ? |
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娘 | 今日は、友達と朝食を食べに行くのよ |
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館長 | 日曜日なのに早起きなんて珍しいと思ったら、そういうことだったのか |
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娘 | たまにはそういう日もあるわよ。最近は朝食限定のメニューがあったり、早朝割引とかもあってお得なのよ |
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館長 | なるほどなぁ~。早起きは三文の徳だな! |
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娘 | そうね。今はネットで混雑状況が確認できたりもするのよ。それに早朝割引だけじゃなくて、少し遅めのランチや、早めのディナーがお得だったりするの。混雑状況に応じた販売価格設定をしているみたい。今はビックデータやAIを使うこともあるみたいよ。じゃあそろそろ…… |
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時間を気にする娘にお構いなく、館長は会話を続けました。
館長 | よく考えるなぁ~。それだったらできるだけお得な時間に行きたいよな |
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娘 | そうそう。だから今日は早起きして朝食に行くことにしたわけ。今はネットですぐに発信できる時代だからね。混雑状況だけでなく、予約の空きが出たらすぐにお知らせできるし、さまざまな状況を考慮して、お店側も工夫しているのよ |
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館長 | そうなのか。それはよくできているなぁ |
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娘 | ほんとよね。せっかくお店側が発信してくれてるんだから、こちらも上手く情報をキャッチしないとね。あ~もうお父さんと話してたら、こんな時間! 遅刻しちゃう。行ってきます! |
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そう言うと娘は慌ただしく、家を出ていきました。
館長の心の声 | <混雑状況に応じた販売価格設定か……。うちの美術館はいつでも一律の料金だからなぁ。これをうちにも取り入れたらどうだろうか> |
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翌日、館長は早速、理事長に相談してみました。
その結果、今までは一律の入場料金でしたが、混雑状況に応じて、入場料金を変更することにしました。そうすることによって、混雑時は顧客単価の維持が可能であり、反対に比較的、来館客が少ない朝などは、顧客単価は下がりますが、来館人数を増やすことができそうです。また、混雑状況はネットで公開し、来館希望者を逃さないようにしました。今後は、さらに来館客に満足してもらえるよう、展示方法の見直しや新たな限定イベントの開催、オンラインを使った新しい試み、グッズのオンライン販売など収入源の多角化を視野に入れ、動き出しました。
ワンポイント解説
「混雑状況に応じた販売価格設定」
混雑状況に応じて販売価格を変動させることで、ピーク時に受け入れ切れない顧客を、それ以外の時間帯に振り向けることが期待できます。商品・サービスにかけたコストや品質によって販売価格を決めることも大切ですが、混雑状況を考慮し、“需要の変動”に応じて価格を変更すれば機会損失の発生防止につながるなど、効果的な場合があります。
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