2号店で人件費が多い飲食店! 真の原価発生要因のつかみ方と改善策とは?
2023年6月23日
質問
地元の食材と丁寧な接客をウリにした飲食店を展開する「キッチンMJS」では、新規出店した2号店で人件費が多いことに悩んでいます。あなたが経営者なら、次のうちどの行動をとりますか?
パターン1
店舗で雇用するスタッフの人数を減らしてもらう。
パターン2
店舗で働くスタッフの賃金を下げてもらう。
パターン3
店舗での作業時間を見直してもらう。
この質問をイメージして以下のストーリーをお読みください。
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2号店の人件費の悩みが解消
「キッチンMJS」は、ある都市の郊外で飲食店を展開しています。2号店を出店したものの、1号店と比べて、売上の割に人件費が多いことが悩みでしたが、今ではその悩みも解消しているようです。
2号店出店当初 ~人件費の問題が浮上
キッチンMJSのオーナーは一流レストランの料理長を務めた経歴があります。従業員が十数人の規模なのですが、これまでは他の飲食店で長年働いた経験を持つベテランを積極的に登用してきました。キッチンMJSでは、リピーターを重視しており、地元でとれた旬の食材を活かしたユニークなメニューやスタッフの丁寧な接客を通じて大手飲食チェーンとの差別化を進めてきました。スタッフによる懸命な努力のおかげで、シニア世代を中心に地元住民から高い支持を得ることができました。
1号店の成功に手ごたえを感じたオーナーは、数年前、2号店を出すことにしました。この2号店は若年層をターゲットにすることを目指していて、スタッフの多くも新しく若い人材を採用しました。
ところが、2号店を出店して以後、思ったほど利益が出せていません。1号店での成功実績もあり、はじめのうちオーナーは楽観的に考えていましたが、何か月経っても状況が改善せず、次第に焦りを感じるようになりました。経理担当者に調査を依頼したところ、2号店出店前に比べて、費用全体に占める人件費の割合が大幅に増加していることがわかりました。聞くところによると、2号店では毎月人件費が想定を大幅に超過していて、問題になっているそうです。しかし、人件費が想定を上回ってしまっている原因はオーナーもまだわかっていません。
質問
地元の食材と丁寧な接客をウリにした飲食店を展開する「キッチンMJS」では、新規出店した2号店で人件費が多いことに悩んでいます。あなたが経営者なら、次のうちどの行動をとりますか?
▼あなたの思うパターンをクリック▼
パターン1
店舗で雇用するスタッフの人数を減らしてもらう。
パターン2
店舗で働くスタッフの賃金を下げてもらう。
パターン3
店舗での作業時間を見直してもらう。
雇用するスタッフの人数を減らせば、短期間で人件費を削減すること自体は可能です。しかし、安易にスタッフを減らすことは、長い目で見てサービスの質にも影響してくる可能性があります。この会社のように、スタッフの接客などを重視する場合には避けたいところです。
賃金を下げることで接客態度、さらにはサービスの質にも悪い影響が出てくる可能性があります。リピーターを重視してきたこの会社にとって顧客との関係を損なうことは避けたいので、この方法も慎重に考えた方が良いでしょう。
実はオーナーが選んだのはパターン3でした。現場で調査した結果、調理などの作業時間を見直すことで生産性の改善が進み、新人スタッフであっても、効率的に作業を行い、高品質のサービスを継続して提供できることがわかったのです。
原価の発生要因を把握することの大切さに気付く!
店舗でかかる人件費が負担になっていますが、「食を楽しむ場を提供することで街の多くの人々の生活を豊かにすること」をキッチンMJSの経営理念として掲げていることもあって、オーナーは、現在の店舗を維持しつつ、人件費の負担を改善する方法はないかと探っています。そのような時に、昔の職場の同僚で、他の地域で飲食店を営んでいるA氏と話す機会がありました。
オーナー | うーん、2号店は思いの他うまくいかないな |
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A氏 | 1号店は順調だったのにね |
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オーナー | 特に、店舗の人件費がなかなかうまく管理できなくてね。何とかならないだろうか? |
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A氏 | 人件費で思い出したけど、うちがお世話になっている会計事務所の担当者が生産性についてアドバイスをしてくれてね。何でも、コストの発生要因に注意して対策を考えると良いそうだ |
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オーナー | コストの発生要因? |
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A氏 | 人件費なら、スタッフの人数、時給、作業時間などがあるだろう? うちだとスタッフをたくさん雇っているから人数が重要なんだ。ターゲットになる要因を見直したらどうだろうか |
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オーナーは、2号店の人件費が多いことが問題だという危機感を持っていたものの、その原因が何かまではよく把握していませんでした。というのも、2号店の店長はもともと1号店で修業を積んだベテランの従業員ということもあって、これまでオーナーは、店舗運営のほとんどを店長に任せてきたのです。A氏との会話をきっかけに、オーナーは、人件費を発生させる要因をよく考えてみる必要があることに気付きました。
原価の発生要因の把握と、要因に応じた改善策の実行へ
翌日のこと。オーナーは、人件費の推移、スタッフの配置状況、作業時間について店長と話し合いを行いました。
オーナー | 店舗での人件費や業務の状況を教えてほしい |
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店長 | 店舗で勤務するスタッフの人数や賃金についてはだいぶやり繰りしてきたところです。みなよく働いてくれていますし、これ以上変えると、スタッフのモチベーションにも影響が出そうです |
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オーナー | では、作業時間はどうだろうか? |
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店長 | 作業時間ですか? |
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オーナー | そう。作業時間なら、現場スタッフのアイディアで改善できることもあるよね? |
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店長 | 確かに、調理の手順やマニュアルを見直すなど、まだできることはあると思います |
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店長と詳しく話してみると、2号店では人員を確保するのが難しく、飲食店で働いた経験がない人を多数採用しており、それが店舗の運営に影響していることが見えてきました。店舗で提供される料理の中には作業経験が浅い新人スタッフにとって調理が難しいものがあり、毎月のように加工時間が予定を大きく超えていることが人件費の増加につながっていたのです。そこで、オーナーは、原価の発生要因のうち、現場で管理できるものに注目するようにアドバイスをしました。
具体的には、店長をはじめ店舗のスタッフが話し合いながら調理方法や料理の提供までの時間を見直しました。これによって、経験が浅い新人スタッフであっても効率的で高品質を維持しつつ作業できるようになり、これまで業務上の制約となっていた加工時間の超過は解消されていきました。さらに、業務が効率化された分、新メニューの開発など、それまで目先の仕事に追われてなかなかできなかったサービス品質向上のための活動に多くの時間を充てられるようにもなりました。
ワンポイント解説
「原価の発生要因」
キッチンMJSの例で見たように、ある原価に対して様々な要因が影響しています。会社や部署としてコストを発生させる要因が何なのかを明確にすることで、その要因に応じた改善策をとることができます。
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