経常利益の意味と計算方法、経常利益が重要な理由とは?
2024年9月23日
質問
あるスーパーでは、ある月の損益が次のようになっています。
・売上高が1,000万円
・売った商品の仕入原価(売上原価)は600万円
・広告宣伝費や店員の人件費、店舗の賃借料など(販売費)が150万円
・管理者の人件費や事務用品費など(一般管理費)が100万円
・借入利息が30万円
・備品除却損が110万円
通常行っている事業活動でどれだけ儲けが出ているかを知るための「経常利益」は、どのように計算しますか?
パターン1
経常利益は、売上高1,000万円から、売上原価600万円を引いて計算した、400万円である。
パターン2
経常利益は、売上高1,000万円から、売上原価600万円、販売費150万円、一般管理費100万円、支払利息30万円、備品除却損110万円を引いて計算した、10万円である。
パターン3
経常利益は、売上高1,000万円から、売上原価600万円、販売費150万円、一般管理費100万円、支払利息30万円を引いて計算した、120万円である。
この質問をイメージして以下のストーリーをお読みください。
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社長からの出題:通常の事業活動での儲け(経常利益)はどのように計算するのか?
「スーパー・ミロク」の二代目社長である弥勒松太郎氏は、大学在学中の3人の息子のうち1人を将来の三代目社長にしようと考えています。自分の後継者を決めるにあたっては、経営センスを最も重要視する方針です。先日は「粗利、そして営業利益の意味や計算方法」について社長から出題されましたが、今回は別の問題が出されました。
社長
よし、じゃ、早速問題だ! 今回は営業利益に関する問題を出すぞ
【松太郎社長からの出題】
ある月の売上高が1,000万円で、売った商品の仕入原価(売上原価)は600万円、広告宣伝費や店員の人件費、店舗の賃借料など(販売費)が150万円、管理者の人件費や事務用品費など(一般管理費)が100万円、借入利息が30万円かかっている。また、古くなって使えなくなった備品を除却して110万円の損失が出た。通常行っている事業活動でどれだけ儲けが出ているかを知るための「経常利益」は、どのように計算するか?
あー、売上高から売上原価を引いた利益の別名か?
長男
売上から費用を全部引いた後の10万円じゃないか?
次男
いや、経常は“繰り返し”とか、“コンスタントに”と言った意味だから、通常行っている事業活動での儲けを計算するんだよ。だから、特別に発生した損益は入れないで計算するんだよ
三男
質問
あるスーパーでは、ある月の損益が次のようになっています。
・売上高が1,000万円
・売った商品の仕入原価(売上原価)は600万円
・広告宣伝費や店員の人件費、店舗の賃借料など(販売費)が150万円
・管理者の人件費や事務用品費など(一般管理費)が100万円
・借入利息が30万円
・備品除却損が110万円
通常行っている事業活動でどれだけ儲けが出ているかを知るための「経常利益」は、どのように計算しますか?
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パターン1
経常利益は、売上高1,000万円から、売上原価600万円を引いて計算した、400万円である。
パターン2
経常利益は、売上高1,000万円から、売上原価600万円、販売費150万円、一般管理費100万円、支払利息30万円、備品除却損110万円を引いて計算した、10万円である。
パターン3
経常利益は、売上高1,000万円から、売上原価600万円、販売費150万円、一般管理費100万円、支払利息30万円を引いて計算した、120万円である。
売上高1,000万円から、売上原価600万円を引いた、400万円は、売上総利益です。実務的には粗利益、粗利とも言います。
売上高1,000万円から、売上原価600万円、販売費及び一般管理費の項目である販売費150万円、一般管理費100万円、支払利息30万円、備品除却損110万円を引いて計算した10万円は、純利益です。
経常利益は、売上高1,000万円から、売上原価600万円、販売費及び一般管理費の項目である販売費150万円、一般管理費100万円、支払利息30万円を引いた、120万円です。
経常利益計算のポイントは、通常の事業活動の儲け(経常利益)の意味を正しく理解したことだった
息子たちの反応を見ながら、松太郎社長は、説明を始めました。
設例で考える経常利益の計算方法
ではここで経常利益の計算方法を、「松太郎社長からの出題」を元に考えてみましょう。
次のとき、通常行っている事業活動でどれだけ儲けが出ているかを知るための「経常利益」は、どのように計算するか?
【前提条件】
・ある月の売上高が1,000万円
・売った商品の仕入原価(売上原価)は600万円
・広告宣伝費や店員の人件費、店舗の賃借料など(販売費)が150万円
・管理者の人件費や事務用品費など(一般管理費)が100万円
・借入利息が30万円
・備品は除却損が110万円
【第1案】(誤った計算)について:
・販売費及び一般管理費が控除されていません。
・ここで計算されている利益は「売上総利益」と言われます。
【第2案】(誤った計算)について:
・通常行っている事業活動ではない、イレギュラーな事象である固定資産の除却損が控除されてしまっています。
・固定資産除却損、固定資産の売却損益、災害による損失などは、通常行っている事業活動から発生したものではなく、
イレギュラーな事象による損失・収益で、経常利益の計算には含めません。
・ここで計算されている利益は「当期純利益」と言われます。
【第3案】(正しい計算)について:
・売った商品の仕入原価(売上原価)や、商品の販売や管理のためにかかった広告宣伝費、
人件費・賃借料・事務用品費など(販売費及び一般管理費)、本業にかかった費用が控除されています。
・さらに、通常行っている事業活動として、財務的な収益(受取利息、為替差益など)や
費用(支払利息、為替差損など)なども反映されます。
・通常行っている事業活動ではない、イレギュラーな事象による影響を除いた損益(臨時・巨額な損益)を表すことができます。
このように、売上高から売上原価を引いて売上総利益を計算し、さらに売上総利益から販売費及び一般管理費を引いて営業利益を計算し、これに営業外収益・営業外費用を加減することで、通常行っている事業活動でどれだけ儲けが出ているかを知るための「経常利益」を計算することができます。
経常利益が重要な理由
経常利益の“経常”とは、“繰り返し”とか、“コンスタントに”と言った意味なので、経常利益は、通常の繰り返し行われるような事業活動での儲けを表します。一過性の特別な利益や損失を含めずに計算した儲けなので、企業の持続的な収益性を理解する上で重要な数字となります。その企業の実力を表す数字と言っても良いかもしれません。
昨今は、本業の儲けである営業利益を重視することが強調されています。もちろん、本業で赤字となっていては話にならないので、営業利益を重視することはもっともなことです。ただし、多くの中小企業は、金融機関からの借入金など有利子負債があるので、支払利息を支払った後の経常損益が利益なのか損失なのか、という点も軽視するわけにはいきません。特に、中小企業であまり投資などしていなければ営業外収益は期待できないので、営業利益で営業外費用としての支払利息をまかなえているのかどうか、といった視点は重要です。
「経常利益」
経常利益は通常行っている事業活動でどれだけ儲けが出ているかを表し、以下のように計算します。
売上高-売上原価=売上総利益
売上総利益-販売費及び一般管理費=営業利益
営業利益+営業外収益-営業外費用=経常利益
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