新米社長の失敗事件簿(12)! PBR(株価純資産倍率)が1倍を切った! 何が問題?

2024年12月23日

質問

親会社のシステム部長の新米さんが、子会社に社長として出向してきました。その新米社長が、「PBR(株価純資産倍率)が1倍を切ると何が問題なんだ?」と言っています。あなたなら社長に何と説明しますか?

パターン1

PBRが1倍を切ると、上場企業は上場廃止になるのです。

パターン2

PBRが1倍を切ると、従業員をリストラするべきと考えられるのです。

パターン3

PBRが1倍を切ると、会社を清算した方が良いと考えられるのです。

この質問をイメージして以下のストーリーをお読みください。

pbr
表計算

猛烈に仕事に励む新米社長

「みろ子工業」は従業員30人程度の小さな会社であり、上場企業である「みろ親商事」の子会社です。そのみろ親商事のシステム部長だった強面の新米さんが、みろ子工業に社長として出向してきました。新米さんが人事担当役員からみろ子工業への出向を打診されたとき、新米さんは経営も会計も全く知識がないからと断ったのですが、人事担当役員から「将来の経営幹部として経営や経理・財務の勉強をしてもらうためだ」と説得され、しぶしぶ出向を承諾したのです。

ある日の昼下がりのこと。給湯室で、経理部の皆さんがひそひそ話をしています。

何だか今日の新米社長、ちょっとおかしくない?


女子社員Aさん

そうそう。いつもだらだらと暇そうにしているのに、今日はパソコンの表計算ソフトで何やら資料作ったりしてるね


男子社員Bさん

新米社長ってパソコン使えるの? 表計算ソフトなんてできるのかしら?


女子社員Cさん

新米社長はああ見えても親会社ではシステム部長だったんだぞ! パソコンなんて我々よりよっぽど詳しいはずだ


経理主任

そうだった、忘れてたわ。まぁ、仕事を頑張ることはいいことだわ


女子社員Aさん

今日は何やら仕事に打ち込む新米社長ですが、実は午前中にとんでもない事実を知ったことが理由だったのです。

PBR(株価純資産倍率)が1倍を切ると何が問題なんだ?

新米社長が仕事にやる気を出した日のお昼前のこと、新米社長が遅れて出社してきました。今日は朝から親会社で、グループ会社の社長を集めた幹部会議があったのです。新米社長は自分の席に座ると、さっそく経理主任を手招きしました。

社長、幹部会議お疲れさまでした。何か私に御用ですか?


経理主任


新米社長

君、知ってたかい? 上場しているうちの親会社は今大変な状況なんだ。ピービ―アールが1倍を割ってるんだ

ああ、PBRのことですか。僕は、上場している親会社の株価はいつも見ていますから知ってましたよ


経理主任


新米社長

えっ、君は知ってて何も言わなかったのか? PBRが1倍を割ると大変なことになるんだぞ

というより、社長は今日知ったんですか?


経理主任


新米社長

実は今朝の幹部会議で問題になって、それで初めて知ったんだ……。ところでPBRって何のことだ?

えっ、社長はPBRを知らなくて騒いでいるんですか? PBRは、Price Book-value Ratioの略で、株価純資産倍率のことです。要するに、株価が1株当たり純資産の何倍か、って数値です


経理主任


新米社長

で、それが1倍を下回ると何が問題なんだ?

質問

親会社のシステム部長の新米さんが、子会社に社長として出向してきました。その新米社長が、「PBR(株価純資産倍率)が1倍を切ると何が問題なんだ?」と言っています。あなたなら社長に何と説明しますか?

▼あなたの思うパターンをクリック▼

パターン1

PBRが1倍を切ると、上場企業は上場廃止になるのです。

パターン2

PBRが1倍を切ると、従業員をリストラするべきと考えられるのです。

パターン3

PBRが1倍を切ると、会社を清算した方が良いと考えられるのです。

PBR(株価純資産倍率)が1倍を下回ったからといって上場廃止になるわけではありません。では、PBRが1倍を割るとどのような問題があるのでしょうか。

PBR(株価純資産倍率)が1倍を下回ったからといって、必ずしも従業員をリストラするべきというわけではありません。では、PBRが1倍を割るとどのような問題があるのでしょうか。

PBRが1倍を下回ると、会社を清算した方が良いと考えることができるのですが、それは一体どうしてなのでしょうか?

PBR(株価純資産倍率)を上げるために、今日から頑張って働くぞ!

新米社長が、経理主任にPBRが1倍を下回ると何が問題なんだ? と聞いたとき、経理主任が説明をはじめました。

先ほど説明した通り、PBR(株価純資産倍率)は“株価÷1株当たり純資産”で計算しますが、これに発行済み株式数をかければ、“時価総額÷純資産”ですよね


経理主任


新米社長

なるほど、そうだな。ということは、PBR(株価純資産倍率)が1倍を下回るということは、時価総額が純資産より小さい、ってことだな

そうです。時価総額が純資産より小さいってことは、……


経理主任

そう言いながら、経理主任は白紙に簡単な貸借対照表を書いて説明をはじめました。

表

ある上場企業のB/Sの資産が10億円、負債が6億円、純資産が4億円、。そして時価総額が2億円だったとします、このときPBRはいくつですか?


経理主任


新米社長

時価総額2億円÷純資産4億円で、PBR(株価純資産倍率)は0.5倍だ

そうです。PBR(株価純資産倍率)が1倍を割っているこの上場企業が、会社を清算したとします。つまり会社をたたむわけです


経理主任


新米社長

清算するとどうなるんだ?

あくまで計算上での話ですが、清算するということは、この会社が持っている資産10億円を売却しますから、この会社の資産は現金10億円になります。そしてここから負債6億円を返済して、残った4億円を株主に支払って終わるわけです


経理主任


新米社長

なるほど。株主は4億円のお金をもらって、会社はなくなるというわけか

そうです。ということは、株主の保有する株式の時価総額は2億円しかありませんが、清算すれば4億円も手に入るわけです


経理主任


新米社長

株主にとっては、PBR(株価純資産倍率)が1倍を下回っているときは、会社を清算した方が得だってことか!

そういうことです


経理主任


新米社長

そりゃ、まずいじゃないか! 会社が清算になったら、我々は職を失うぞ!

結局のところ、会社を清算したときの価値よりも低い価値でしかその会社は評価されていないということです。だから、ときどきPBR(株価純資産倍率)が1倍を下回っている会社はまずい、ということで雑誌やネットの記事に取り上げられているんです


経理主任


新米社長

何だか、ものすごく不安になってきたぞ。こうしちゃいられない。今から働くぞ~

まぁ、新米社長が頑張っても、株価が上がって、PBR(株価純資産倍率)が1倍を超えるようにも思えませんが……


経理主任

「PBR(株価純資産倍率)」

PBRはPrice Book-value Ratioの略であり、株価純資産倍率のことです。PBRは、株価と1株当たり純資産益の関係を示しており、時価総額÷純資産でも求められます。PBRが1倍を下回っている場合、株主にとって理論的には会社を清算した方が得になると考えられます。

お知らせ

次号は、2025年1月6日に公開となります。引き続きご愛顧くださいますようお願い申し上げます。

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