やり直し対応に苦慮する美容院。機会損失を含むコスト負担を意識した対応策とは?

2025年2月13日

質問

「ヘアサロンミロク」では最近、仕上がりが思っていたイメージと違うことが原因で、やり直しの予約が少し増えてきている他、お客様のリピート率が上がらなくなってきており、早めに対策をとりたいと考えています。あなたが経営者なら、次のうちどの行動をとりますか?

パターン1

仕上がりイメージの事前すり合わせを充実させる。

パターン2

お客様が納得する仕上がりになるまでやり直し対応するが、有料とする。

パターン3

お客様が納得する仕上がりになるまで無料でやり直し対応する。

この質問をイメージして以下のストーリーをお読みください。

美容院
機会損失

顧客のリピート率が改善

美容院の「ヘアサロンミロク」は、お客様のリピート率が上がらなくなってきていることに悩んでいましたが、最近は改善がされているようです。

以前 ~顧客のリピート率が上がらないことに悩む美容院

ヘアサロンミロクは、毎日それなりにお客様が来店していますが、「思っていたイメージと違う」ということで後日の「やり直し」の予約が少し増えてきています。やり直し対応の割合は、全体の予約のうち1割程に上り、やり直し対応にかかるコストも増えています。また、お客様のリピート率も低下しており、前年比で2割程減少しています。このままでは、売上や利益が減少し、経営が危機に陥る可能性があります。最近は気になることが他にも出てきています。

ある日の昼休み、社長がスタッフと話しています。

最近、それなりに予約が入っていて忙しくはしているのですが、「やり直し」のための予約も少し増えてきているんですよね……


スタッフ


社長

そうよねぇ。やり直し対応の割合は、全体の予約のうち1割位まで上っているかも……。やり直し対応にかかるコストはおそらく月に数十万円にもなっているわ。これは、当社の利益に大きなマイナスだわ

ほっ、ほんとですか! この後にいらっしゃるお客様も、私が数日前にカットをしたんですが、少しイメージと違ったということで……。あと、A様とかB様とかは、前にいらしてから何カ月も経っていますが、まだ予約が入っていないんですよね……。はっきりとはおっしゃらなかったですけど、仕上がりがイメージと少し違っていたことを気にされていたかもしれません


スタッフ


社長

そうなの。お客様のリピート率も低下しているの。前年比で2割位減っているのかも……。これは、うちの売上にも影響するわ。仕上がりのイメージのズレが原因なのかもしれないわね。早めに対策をとらないといけないわ

社長は、やり直し対応の割合やコスト、お客様のリピート率などの指標をできる限り分析し、改善策を考えました。そして、次の3つのパターンのうち、どれが最も効果的かを検討しました。

質問

「ヘアサロンミロク」では最近、仕上がりが思っていたイメージと違うことが原因で、やり直しの予約が少し増えてきている他、お客様のリピート率が上がらなくなってきており、早めに対策をとりたいと考えています。あなたが経営者なら、次のうちどの行動をとりますか?

▼あなたの思うパターンをクリック▼

パターン1

仕上がりイメージの事前すり合わせを充実させる。

パターン2

お客様が納得する仕上がりになるまでやり直し対応するが、有料とする。

パターン3

お客様が納得する仕上がりになるまで無料でやり直し対応する。

ヘアサロンミロクの社長が選んだのは、やり直しが極力生じないことを重視し、仕上がりイメージの事前すり合わせを充実させることでした。事前にバーチャルで仕上がりを確認してもらうのもその一つです。事前に髪型・髪色を確認してもらうことで、「思っていたイメージと違う」ということを減らすことができると考えたのです。お客様の満足度が高まるとともに、やり直し対応のコストも減らせます。さらに、「やり直し」予約が減ることで、その枠に別の予約を入れることもでき、売上が伸びることも期待できます。

「やり直し」注文にはすべて、料金を払ってもらう。これも一つの方法かもしれません。ただし、多くの美容院では、一定期間内の軽い「やり直し」であれば、無料で対応しているところも多く、有料とした場合、お客様の不満や不信感を増やし、リピート率の低下や口コミの悪化につながる可能性が高いでしょう。

「やり直し」注文にはすべて無料で対応する。これも一つの方法かもしれません。ただし、やり直し対応にはコストがかかり、利益率が低下する可能性があります。また、やり直し対応の回数や時間が増えると、お客様の満足度が低下する他、新規のお客様の予約が取りにくくなるというデメリットもあります。

事前の仕上がり確認

休日のある日、社長は、自宅のソファーでくつろいでいます。隣では娘がタブレットで写真を見ています。


社長

あら、この写真……。お友達、随分派手なのねぇ。この子の髪の毛、銀髪じゃない。こっちの子はピンクよ

あぁ。これ、違うのよ。実際の髪の色は、この色じゃなくて、真っ黒なのよ



社長

どういうこと?

アプリで髪の色を変えているの。だから、写真の中だけこういう色なのよ。髪の色だけじゃなくて、髪型も変えられるのよ。ほら、こんな感じに



社長

なるほど。簡単にできるの?

簡単よ。今は無料のアプリもいっぱいあるわ。美容院に行く前に、アプリを使って自分で仕上がりを考えてから、それを美容師さんに見せる子もいるのよ



社長

そういうこともできるのね。それなら仕上がりのイメージをお客様と共有できるから、イメージのズレが起こりにくくなって、やり直しも減りそう。うちのサロンでも試してみようかな

これまでヘアサロンミロクでは、そのようなお客様はいらっしゃいませんでした。お客様からは「芸能人の◯◯さんのような髪型にしてください」と言われたり、ヘアカタログから希望に近いものを指定されたり、といったことが多かったのですが、それ以外の方法での希望も受ける、または美容院側から提案すべき時がやってきたのかもしれません。社長は翌日、スタッフの皆に提案してみようと考えたのでした。

機会損失なども含むTotalでのコスト負担を意識

「やり直し」が生じてしまった後に事後対応するのは、「やり直し」が生じないように事前対応しておくよりも高くつくことは少なくありません。ヘアサロンミロクでは、「やり直し」対応をするために新規のお客様の予約を受けられなかったといった事象も生じていますが、これは、その日のカットの収入が得られなかったという意味でのマイナスにとどまりません。その新規のお客様が今後継続して来店して頂くことで得られたであろう収入までも失ってしまったかもしれません。これは「機会損失」などと言われますが、見落としがちな機会損失も考慮し、Totalでのコスト負担が少なるなる対応を考えることが重要なのです。

「「事前対応」と「事後対応」」

いろいろな業務の中で、何か問題が生じてから事後対応することもありますが、事前対応を重視して問題を生じにくくすることで、機会損失なども含むTotalでのコスト負担が少なくなることもあります。

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