事業部は大幅増益なのに全社の利益が増えない! 本社費の処理に問題があった!?

2024年4月13日

質問

「MJS物産」は2つの事業部からなっており、各事業部とも利益が増えているのですが、事業部から本社部門へのサポート依頼が増えるばかりで、全社では減益となってしまっています。あなたが経営者なら次のうちどの対応を取りますか?

パターン1

本社部門の費用を各事業部に負担させる。

パターン2

事業部ごとの業績評価をやめ、全社のみで業績を評価する。

パターン3

本社部門は一切置かず、各事業部が独自にこれらの機能をすべてまかなう。

この質問をイメージして以下のストーリーをお読みください。

増益
貯金

かさむ本社費に対する対策が進展

食品事業と化粧品事業の2つの事業を営む 「MJS物産」では、以前、両事業部とも業績好調なのとは裏腹に本社部門の費用がかさみ、全社では減益となってしまったことが大問題となりました。今では本社費に関わる対策が進みましたが、1年前は大変だったのです。

1年前 ~事業部は絶好調なのになぜか全社業績が悪化…

「MJS物産」は2つの事業部からなり、総務・経理・情報システム・広告宣伝・カスタマーサービスなどのサポート業務は本社部門が担っています。各事業部の業績評価は、各事業部の収益から売上原価や各事業部独自の費用を控除した後の事業部利益によって行っています。

ある月の経営会議でのこと。各事業部長から業績の報告がなされています。

……。その結果、売上高は前年同期比20%増、事業部利益は30%増と、大幅な増収増益を達成できました!


食品事業部長

化粧品事業部長からも、食品事業部には及ばないながら増収増益で業績好調との報告がされました。


社長

両事業部とも増収増益を達成し、頼もしい限りだ。引き続き邁進して欲しい

ところが全社ベースの業績に話が進むと社長の顔色が一変します。

図表1


社長

両事業部が絶好調だというのに、何で全社では減益となっているんだ!

本社部門の費用が増えておりまして……


経理部長


社長

本社部門の費用がこんなに増えるなんてどういうことだ! 本社部門はムダな費用をかけ過ぎだ!

確かに両事業部とも利益が増えているのですが、最近は事業部から本社部門へのサポート依頼が増えるばかりで、本社部門で負担している人件費やシステム開発費、広告宣伝費などの費用がかさんでいるのです


経理部長

MJS物産では、こんな状況に陥らないためにはどんな対策が必要なのかを考えざるを得ない状況となったのです。

質問

「MJS物産」は2つの事業部からなっており、各事業部とも利益が増えているのですが、事業部から本社部門へのサポート依頼が増えるばかりで、全社では減益となってしまっています。あなたが経営者なら次のうちどの対応を取りますか?

▼あなたの思うパターンをクリック▼

パターン1

本社部門の費用を各事業部に負担させる。

パターン2

事業部ごとの業績評価をやめ、全社のみで業績を評価する。

パターン3

本社部門は一切置かず、各事業部が独自にこれらの機能をすべてまかなう。

MJS物産の社長が選択したのは、本社部門の費用を各事業部に負担させる方法でした。それは一体どのような方法で、どのような効果が見込まれるのでしょうか?

全社ベースでの業績評価を行うことは重要です。しかし、全社のみで業績を評価するのでは事業部の適切な評価ができず、事業部の責任感や自立性が低下するおそれがあります。事業部ごとの業績評価を維持しつつ、その評価方法を適切なものに見直すことを検討した方が良いでしょう。

本社部門は一切置かず、各事業部が独自にこれらの機能をすべてまかなうようにすれば、これらの機能にかかる費用を各事業部の利益の計算に反映させることができるでしょう。しかし、それに伴って、人員が増加したり、業務の効率が下がったりするおそれや、会社全体の統一性や一体感が失われるおそれもあります。もっと良い方法はないでしょうか。

本社費にかかる問題解決のヒント ~きっかけは、小遣いの不満を訴える娘にあった!?

ある日、会社のことで頭を悩ませながら社長が帰宅しました。その日は就職して一人暮らしをしている次女(双子の妹)が来ているのですが、双子の娘が何やら貯金の件で妻ともめているところでした。

私、こんなに貯金できているのよ、えらいでしょ


双子の姉

あら、すごい! 随分貯まってるのね。それに引き換えあなたは何で全然貯金ができないの!


私は一人暮らしをしているんだから、家賃や水道光熱費なんかがたくさんかかっているのよ。お姉ちゃんは実家暮らしなんだから、家賃はかからないでしょ!


双子の妹

……


それに、お姉ちゃんは家でご飯食べることも多いよね? だから、自分で食費を払うことは少ないはずよ


双子の妹

……


でも私は食費を自分で払ってるの。それに……


双子の妹

そして言ったのです。

もらっている給料はほとんど変わらないんだから、私はとてもお姉ちゃんみたいに貯金なんてできないよ! 家賃や食費を自分が負担しているかどうかで貯金できる額は変わってくるのに、それを全く考えないで、ただ貯金が少ないと言われたって……


双子の妹

まぁ、確かにそうだわねぇ……。お姉ちゃんにも家賃や水道光熱費、食費なんかを負担してもらおうかしら。そうすれば家計も助かるし


この話を聞いた社長は思いました。


社長

二人の貯金額だけ見てたら状況を見誤ってしまうんだな……。親が“本社”で娘たちが“各事業部”、そして貯金額が“事業部利益”だと考えれば、これってうちの会社にもそのまま当てはまるんじゃないか?

本社部門の費用を各事業部に配賦しないことで起こっている問題

従来行ってきた事業部の業績評価の方法などに対して疑問を感じ始めた社長は、早速幹部社員とともに業績評価方法の見直しを検討し始めました。

検討を進めていくと、その当時起きていた問題として、次のような点が挙がりました。

<起きている問題>
✓本社部門の費用が増えても自分の事業部の利益には影響しないため、費用負担を意識しないまま本社部門のサポートを無料で受けられると思い込み、過剰なサポート業務を要求する傾向が現れている。その結果、事業部側で利益が増える一方、本社部門の費用も大幅に増えてしまった。
✓事業部が本社部門から受けているサポート量は事業部によって大きく異なるにもかかわらず、事業部の業績評価の際にそれが全く考慮されていない。
✓事業部は本社部門の貢献を無視して自分たちの業績を過大評価する傾向が現れ、費用負担が増える本社部門側の評価やモチベーションに影響が出始めている。

検討を進めた結果、対策として両事業部に人数比などを用いて本社費の配賦をすることとなりました。本社部門から受けるサポートを踏まえ、各事業部が相応の費用負担をすることとしたのです。事業部の業績評価は本社費配賦後利益をベースにすることとなりました。

図表2

本社費を配賦することによって、事業部の業績を正しく判断できるようになりました。例えば、本社費を配賦する前は食品事業部の方が全社の業績に貢献していると思っていましたが、食品事業部ではとても多くの本社部門のサポートを受けており、実は化粧品事業部の方が全社の業績に貢献していたことが浮き彫りになったのです。

本社費を配賦したことで、事業部の真の価値と本社のサポートの価値を認識でき、各事業部も本社部門のサポートにかかる費用を意識しながら事業を進めていくようになりました。事業部のモチベーションや競争意識も高まり、本社部門のサポートの効率化やコスト削減も進んだのです。

「本社費の配賦」

各事業部の利益を正しく把握し、会社全体の利益を意識させることなどのために、本社部門で発生する費用を各事業部などに割り振ることを言います。配賦基準としては、人員数、床面積、売上などがよく使われます。費用の内訳に応じてより適切な配賦基準を使うことも考えられます。

部門別P/L等の作成を効率化

MJSシステムでは、配賦対象項目や配賦する基準を予め登録しておくことで、面倒な配賦計算を自動化し、効率的に部門別P/L等を作成することもできます。

MJSシステムに興味のある方はコチラもご覧ください。
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