客数と客単価が落ちる居酒屋を救った、娘の冗談交じりの一言とは?
2020年1月13日
質問
「居酒屋みろく」は年中無休で営業してきましたが、近年は客数や客単価が落ちています。しかし、日々の忙しさに追われる店主は、なかなか手を打てずにいます。あなたが店主なら次のうちどの行動をとりますか?
パターン1
年中無休をやめ、定休日を設ける。
パターン2
従来の居酒屋営業に加え、昼も営業して定食を出す。
パターン3
年中無休の営業はそのままとするが、メニューを絞り込んで営業の負担を軽減する。
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雰囲気はそのままで活気を取り戻した店
現在の「居酒屋みろく」は、馴染み客に加えて、これまで来店することがなかった若いお客さんも増えているようです。馴染み客も、昔みたいな活気が戻ったと喜んでくれています。
資金面で余裕ができたこともあり、若いお客さん向けに新しいメニューも加えることができるようになってきました。店主自身も、店が賑わっていることで、以前より元気になり、若返ったように見えます。
1年前 ~落ちていく客数と客単価に悩む日々
居酒屋みろくは、郊外の駅近くで長年営業している居酒屋で、平日は仕事帰りに立ち寄ってもらえ、土日は家族連れに来てもらえることなどをねらって、店舗スタッフをやりくりしながら年中無休で営業してきました。しかし、近年は馴染み客の定年退職などもあって、客数が落ちてきています。平日に比べ休日はさらに客数が落ちます。馴染み客の年齢が上がるにつれ、酒や食事の量も減り、客単価も落ちてきています。しかし、店主は日々の忙しさに追われ、落ちていく客数と客単価に悩んではいるものの、手を打てずに時間が過ぎていました。
質問
「居酒屋みろく」は年中無休で営業してきましたが、近年は客数や客単価が落ちています。しかし、日々の忙しさに追われる店主は、なかなか手を打てずにいます。あなたが店主なら次のうちどの行動をとりますか?
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パターン1
年中無休をやめ、定休日を設ける。
パターン2
従来の居酒屋営業に加え、昼も営業して定食を出す。
パターン3
年中無休の営業はそのままとするが、メニューを絞り込んで営業の負担を軽減する。
居酒屋みろくが採用したのは、定休日を設けることでした。定休日を設けると収益機会が減り、さらに採算は悪化しそうですが、居酒屋みろくはそうはなりませんでした。どういうことだったかと言うと……
昼も営業すれば収益機会は増加します。しかし、居酒屋営業で生じている問題はそのままであり、現状でも忙しさに追われている店長が、定食での採算を十分に検討しないまま手を出せば、さらに状況は悪化しかねません。
メニューを絞り込めば、日々の営業の忙しさに追われる状況が軽減されるかもしれません。しかし、それだけでは、客数や客単価が下落している状況がさらに加速してしまうかもしれません。
きっかけは、久しぶりに帰ってきた娘との会話
ある日、店主が自宅で晩酌を始めようとしたときのことです。今は都心のマンションで生活している娘が久しぶりに帰ってきました。
店主 | 今日はどうした? |
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娘 | 最近どうしているのかなと思って。お酒飲むなら、つきあうわよ |
店主 | お酒を飲んでも解決しないんだが、店のお客さんがだんだんと減ってきているんだよ |
娘 | 長い間働いたんだから、もう店を閉めてゆっくりしたら |
店主 | そういうことではないんだ |
娘 | お客さんが減ってきているということは、需要がなくなってきているということなんだから、無理して働くことないと思うけどなぁ |
店主 | そうじゃなくて、店を続けるためにどうしたらいいのかを考えているんだよ。店を閉めたらもっともっとお客さんが減っちゃうだろ |
娘 | それって思い込みかもしれないよ。発想を180度転換して、店を閉めたらもっともっとお客さんが増える……、なんてね |
娘の冗談交じりの一言だったのですが、妙に店主の頭に引っかかったのです。
店主の心の声 | <“店を閉めたらもっともっとお客さんが増える”か……。年中無休が当たり前と思ってたから、店を閉めるなんて今までまったく考えてなかったが、ちょっと考えてみるかな> |
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このとき以降、店主の頭から“店を閉めたらもっともっとお客さんが増える”という言葉が離れなくなり、ときどき娘の意見なども聞きながら、考えるようになり、定休日を設けることへとつながっていったのです。
定休日の意外な効果
居酒屋みろくでは、日曜日が最も客数が少なかったため、日曜日を定休日としました。それにともない、年中無休のときに苦労していた店舗スタッフのやりくりにも余裕ができました。また、店主は定休日を活用していろいろな店を研究したり、でき合いのもので済ませずオリジナルメニューを考えたり、1人でも気軽に入れるようお一人様向けメニューを考えたりする余裕ができました。マンネリ化していたメニューに変化が現れたことで、馴染み客の足が徐々に戻ってきました。仕事帰りのお客さんだけでなく、定年後のお客さんも訪れる機会が増えたようです。
働き方改革を進めたことで考える余裕ができた店主は、最近では若いお客さんを呼び込むための仕組みも検討し始めました。
「働き方改革」
労働基準法等の改正が行われ、残業時間の罰則付き上限規制の導入、有給休暇取得の義務化、同一労働・同一賃金の原則の適用など、国を挙げて働き方改革が進められています。法令に遵守することはもちろんのことですが、これを期に従来の働き方を見直し、生産性向上などにつなげることを検討してみると良いでしょう。
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