過剰借入のチェック方法(その1) 創業5年、こんなに借入して分不相応じゃない?

2022年9月23日

質問

創業から5年、急成長を続ける「ミロ子システム社」のミロ子社長。B/Sの借入金が会社の規模に比べて大き過ぎるのではないかと不安になりました。皆さんが経営者なら、借入金の大きさと比較すべき“会社の規模”として何を使いますか?

パターン1

借入金の大きさと、会社の「従業員数」を比べる。

パターン2

借入金の大きさと、会社の「社歴」を比べる。

パターン3

借入金の大きさと、会社の「売上高」を比べる。

この質問をイメージして以下のストーリーをお読みください。

ミロ子
マンション

増収増益を達成した会社

5年連続で増収増益を達成した「ミロ子システム社」のミロ子社長。まだ20代の若手経営者ですが、かなりのやり手です。従業員の平均年齢も20代半ばで、経営幹部も皆20代というとても若い会社です。

今日は、ミロ子社長が経営幹部の前で年度末の挨拶をしています。

ミロ子社長 今期も皆さんの努力のおかげで増収増益を達成できました。本当にありがとうございます
幹部社員たち 社長、おめでとうございます!
ミロ子社長 うちの会社はこれまで投資に投資を重ねて、成長をしてきましたが、来期も借入をして、さらに投資を行って、増収増益を目指しましょう
幹部社員たち おーっ!

来期も積極的な投資を行う決心がついたミロ子社長ですが、数カ月前は、借入を増やして投資するべきかどうか悩んだのです。

気づいたらこんなに借入が増えてる! 分不相応じゃない?

第5期が終わろうとしていた時のことです。ミロ子社長が経営会議で今期の貸借対照表を見たとき、ついに借入が1億円を超えていることに気づきました。

ミロ子社長 ちょっ、ちょっと待って。この借入金1億って本当なの?
管理担当役員 はい。先月、新しい設備を購入するために2千万円の借入をしたことで、ついに1億円を超えることになりました
ミロ子社長 大丈夫なの? こんなに借入が増えて。ちょっと分不相応じゃない?
管理担当役員 銀行の担当者はむしろもっと借りてほしいって感じでしたよ
ミロ子社長 貸す方は気楽かもしれないけど、借りる方はちょっと怖くなってくるわ……。皆はどう思う? 会社の規模に対して借入が多過ぎる気がしない?
営業担当役員 従業員数こそ会社の規模を表しますから、従業員数と借入を比較してみたらどうでしょう。従業員数が20人で借入1億円。ちょっと多いかな? よく分からないな……
開発担当役員 いや、会社の規模は社歴じゃないでしょうか。うちの会社は社歴が5年ですから、5年で1億。多いかな? よく分からないな……
管理担当役員 会社の規模は売上じゃないかな? うちの売上は6億円。売上6億で借入1億。ちょっと多いかな? よく分からないな……
ミロ子社長 借入金の大きさと比べるべき会社の規模って一体何なのかしら?

質問

創業から5年、急成長を続ける「ミロ子システム社」のミロ子社長。B/Sの借入金が会社の規模に比べて大き過ぎるのではないかと不安になりました。皆さんが経営者なら、借入金の大きさと比較すべき“会社の規模”として何を使いますか?

▼あなたの思うパターンをクリック▼

パターン1

借入金の大きさと、会社の「従業員数」を比べる。

パターン2

借入金の大きさと、会社の「社歴」を比べる。

パターン3

借入金の大きさと、会社の「売上高」を比べる。

確かに従業員数は会社の規模を表しますが、借入の大きさと比べるのはちょっと違うように思います。借入の大きさと比較すべきものが他にありそうです。


確かに社歴が長いほど、会社の信用度が高いと考えられますが、借入の大きさと比べるのはちょっと違うように思います。借入の大きさと比較すべきものが他にありそうです。


実はミロ子社長が選んだのはパターン3でした。なぜ借入と売上を比べることにしたのでしょうか……。



ついにマンションを購入したミロ子社長

経営幹部と借入について議論をした日の夕方。ミロ子社長は不動産会社にいました。会社が順調に成長してきたこともあり、念願だったマンションを購入することにしたのです。一人暮らしには少し大きいかもしれませんが、思い切ってローンを組むことにしました。

不動産会社 それでは、住宅ローンの手続きをしますから、年収を示す資料をお願いいたします
ミロ子社長 はい。去年の確定申告のコピーで大丈夫ですか?
不動産会社 ありがとうございます。では、審査の結果はまたご連絡します
ミロ子社長 ところで、私のような若い一人暮らしの女性が、こんなに多額のローンを組んでも大丈夫でしょうか?
不動産会社 この年収でしたら、ローンの審査も問題ないと思いますよ
ミロ子社長の心の声 <確かにお金を貸す側の立場になれば、一人暮らしでも、四人暮らしでもあんまり関係ないわよね。それに20代でも30代でも、それほど違いはないのね。むしろ借入を返せるだけの年収があるかどうかが気になるのね。それって、企業の借入も同じかもしれないわ>

その日の夜。ミロ子社長は自宅に帰り、インターネットで調べたところ、負債月商倍率(有利子負債月商倍率)という指標があることが分かりました。

負債月商倍率は、借入金を月商で割って求める数値であり、業種によるものの、一般に3倍から5倍以内が望ましいということが分かりました。

ミロ子社長の心の声 <うちの会社の売上高は年間6億円。だから月商は12カ月で割って5千万円。借入1億円を月商5千万円で割って、2倍ってことね。これなら会社の規模に比べて借入が大き過ぎるってわけではなさそうだわ>

ワンポイント解説

「負債月商倍率」(有利子負債月商倍率)

借入金が月商の何倍あるかを示しており、借入金が多過ぎるかどうかをはかる指標です。業種によって異なるものの、一般に3倍から5倍以内が望ましい水準と言われることがあります。

関連リンク

MJSシステムには「負債月商倍率」などの経営指標を分析できる帳票も用意されています。興味のある方はコチラもご覧ください。
MJSLINK DX 財務大将


<分析帳票の例>

グラフ
グリッド

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