新米社長の失敗事件簿(6)! 商品、製品、仕掛品! その違いは?
2024年1月13日
質問
親会社のシステム部長の新米さんが、子会社に社長として出向してきました。その新米社長は「商品と製品の違い」が分かっていないようです。あなたが経理主任なら社長に何と説明しますか?
パターン1
どちらも一緒です。
パターン2
商品は仕入れて売るもの、製品は自社で作ったものです。
パターン3
商品は小さくて軽いもの。製品は大きくて重いものです。
この質問をイメージして以下のストーリーをお読みください。
|
|
商品、製品、仕掛品をちゃんと理解した社長
「みろ子工業」は従業員30人程度の小さな会社であり、上場企業である「みろ親商事」の子会社です。そのみろ親商事のシステム部長だった強面の新米さんが、みろ子工業に社長として出向してきました。新米さんが人事担当役員からみろ子工業への出向を打診されたとき、新米さんは経営も会計も全く知識がないからと断ったのですが、人事担当役員から「将来の経営幹部として経営や経理・財務の勉強をしてもらうためだ」と説得され、しぶしぶ出向を承諾したのです。
その日は月初の全社朝礼でした。新米社長が社員を前に、長い訓辞をたれています。
新米社長
……ということで、価格競争力のある商品と独創的な製品で、ますます売上を伸ばしていきたいところでありますが~
新米社長のいつもの長い話に飽きた社員たちが、ひそひそ話をはじめました。
(社長の話って、いつも長いんですよね~)
男性社員A
(それな~。しかも意味が良く分からないんだよな~)
経理主任
(そうかしら? 私は社長の話って面白いと思うわよ。あなたたちが理解できないだけじゃないの?)
女性社員B
(えっ、そうなの??)
経理主任・男性社員A
今でこそ、商品と製品の違いを理解できている社長ですが、昨日はちょっとした事件があったのです。
商品、製品、仕掛品、何が違う?
月初の朝礼があった前日のこと。新米社長と経理主任が、工場長と打ち合わせをしていました。
工場長、これが先月末の在庫の一覧表ですが、商品が急増している一方で、製品が極端に減っています。何かあったのでしょうか?
経理主任
ああ、それはね、うちの製品が独創的だっていう記事が新聞に出ただろう。それで引き合いが増えたんだ
工場長
あの記事のインパクトだったんですね~
経理主任
新米社長
なるほどね
ところで、仕掛品も随分と増えていますが、それもあの記事の影響ですか
経理主任
そうそう、とにかく引き合いが増えたから、工場フル回転してるんだ
工場長
新米社長
なるほどね
社長から何かありますか?
経理主任
新米社長
ところで……、今さらだけど、仕掛品って何ですか? そんな名前の製品ありました?
社長、違います。仕掛品は、仕掛中の製品、つまり製造途中のものをいうんです
経理主任
社長、もしかして、商品と製品の違いはご存知でしょうか?
工場長
新米社長
えっ、う~ん。勘違いがあるといけないから、一応説明をしてくれ
質問
親会社のシステム部長の新米さんが、子会社に社長として出向してきました。その新米社長は「商品と製品の違い」が分かっていないようです。あなたが経理主任なら社長に何と説明しますか?
▼あなたの思うパターンをクリック▼
パターン1
どちらも一緒です。
パターン2
商品は仕入れて売るもの、製品は自社で作ったものです。
パターン3
商品は小さくて軽いもの。製品は大きくて重いものです。
商品と製品は、日常的には同じ意味合いで使うこともありますが、会計上の意味合いは異なるのです。では、その違いは何でしょうか?
実は、商品は仕入れて売るもの、製品は自社で作ったもの、という違いがあったのです。さて、新米社長はこの違いを知っていたのでしょうか?
商品と製品は、ものの性質の違いのようにも思えますが、会計上は違うのです。では、その違いは何でしょうか?
会計上は商品と製品に違いがある!
新米社長が、商品と製品の違いについて、「勘違いがあるといけないから、一応説明をしてくれ」といった後のお話です。
では、ご存知かもしれませんが、一応、ご説明しますと、商品は、自社が仕入れて、そのまま売るものです
経理主任
新米社長
なるほど。で、製品は?
製品は、自社で作ったものです。うちはメーカーですよね。だから、自社の工場で作ったものは製品なのです
経理主任
新米社長
何だか、どっちがどっちか、分かりにくいな~
こう考えると分かりやすいですよ、社長。商社は、商品を仕入れてそのまま売るから“商”社。それに対して、我々メーカーは製品を作って売るから“製”造業
工場長
新米社長
なるほど! さすが工場長、説明がうまいな~。経理主任も今の説明で良く分かっただろう?
はい、良く分かりました!
経理主任
新米社長
まぁ、私はうっすら気づいてはいたんだがね!
「商品、製品、仕掛品」
貸借対照表には商品、製品、仕掛品という勘定科目が出てくることがあります。このとき、「商品」は仕入れて売るもの、「製品」は自社で製造して売るもの、「仕掛品」は製造途中のものを指しています。なお、まだ製造過程に投入されていない材料は「原材料」とされます。すなわち、「原材料」が製造過程に入ると「仕掛品」、その仕掛品が完成すると「製品」になるのです。
経営センスチェックの記事の中から、資金繰りの改善、好業績を錯覚しないためのポイントなど、テーマにそっておススメの記事を抜粋した特別版冊子を掲載しています。
最新版では、「値上げ前に考えたいコスト削減方法」について取り上げています。世界的な原油や原材料の価格高騰により、値上げが多い一方、競争戦略的に値上げをしない、または値下げに踏み切る企業もありました。
皆さまがコスト削減するにあたり、ぜひ参考にご覧ください!
X(旧Twitter)で最新情報をお届けしています
Tweets by mjs_zeikei