新米社長の失敗事件簿(7)! 従業員がダブルチェックするのは誰のため?

2024年3月13日

質問

親会社のシステム部長の新米さんが、子会社に社長として出向してきました。その新米社長は、ダブルチェックなどにより従業員のミスや不正が起きないようにする仕組みのことを何と言うか知らないようです。あなたなら社長に、その仕組みのことを何と説明しますか?

パターン1

この仕組みを内部監査と言うのです。

パターン2

この仕組みを内部環境と言うのです。

パターン3

この仕組みを内部統制と言うのです。

この質問をイメージして以下のストーリーをお読みください。

印鑑
弁当

“ダブルチェック”を使いこなす新米社長

「みろ子工業」は従業員30人程度の小さな会社であり、上場企業である「みろ親商事」の子会社です。そのみろ親商事のシステム部長だった強面の新米さんが、みろ子工業に社長として出向してきました。新米さんが人事担当役員からみろ子工業への出向を打診されたとき、新米さんは経営も会計も全く知識がないからと断ったのですが、人事担当役員から「将来の経営幹部として経営や経理・財務の勉強をしてもらうためだ」と説得され、しぶしぶ出向を承諾したのです。

ある日の昼食休憩のこと。自分のデスクで嬉しそうに手作り弁当を食べている新米社長に、経理主任が話しかけました。

あっ、今日も娘さんの手作り弁当ですか?


経理主任


新米社長

そうそう。この前、作ってくれたときは、箸が入ってなくてえらい目にあっただろう。だから今朝、娘から弁当を渡されたときに、箸が入っているかどうかその場で弁当をあけて確認したんだ。ダブルチェックだな

何だか、感じ悪くないですか……(笑)


経理主任


新米社長

何が感じ悪いんだ? これも娘のためじゃないか

今でこそ、ダブルチェックの意味を理解している社長ですが、数日前、ちょっとした事件があったのです。

あっ、社長、いまチェックしないでハンコ押しましたよね!

新米社長が娘の手作り弁当の箸をダブルチェックした数日前の昼食後のことです。爪楊枝でシーハーやっている新米社長に、経理主任が書類を渡しました。

社長、明日の会議資料です。ご確認ください


経理主任


新米社長

うん。ありがとう。ポンッ。はい、ハンコ押したぞ

あっ、社長、いまチェックしないでハンコ押しましたよね! 私、見ましたよ


経理主任


新米社長

何言ってるんだ。君が作った資料なんだから、間違ってるはずないだろう。それとも、君は自信がない資料を私に出したって言うのか?

そういう問題じゃありません。これはダブルチェックなんですから、ちゃんとミスがないかチェックしてくださいよ


経理主任


新米社長

ダブルチェック?

そうです。会社には、従業員がミスや不正を起こさないように、ダブルチェックなんかをする仕組みがあるんです


経理主任

質問

親会社のシステム部長の新米さんが、子会社に社長として出向してきました。その新米社長は、ダブルチェックなどにより従業員のミスや不正が起きないようにする仕組みのことを何と言うか知らないようです。あなたなら社長に、その仕組みのことを何と説明しますか?

▼あなたの思うパターンをクリック▼

パターン1

この仕組みを内部監査と言うのです。

パターン2

この仕組みを内部環境と言うのです。

パターン3

この仕組みを内部統制と言うのです。

確かに内部監査は、従業員のミスや不正を発見する機能もありますが、ここで経理主任が言いたかった言葉は違ったようです。では、経理主任はこの仕組みのことを何と言いたかったのでしょうか?

内部環境とは、会社内部の経営環境のことを言います。会社が有する経営資源や会社の強み・弱みなどです。かなり広い意味では、この仕組みも内部環境かもしれませんが、経理主任はこの仕組みのことを何と言いたかったのでしょうか?

実は、この仕組みのことを内部統制と言うのです。さて、経理主任は新米社長にうまく説明できるでしょうか?

従業員のミスは誰のせい?

新米社長が、従業員のミスや不正を防止する仕組みを知らなかったことが分かったとき、経理主任は話を続けました。

ときどき、従業員の不正やミスで会社が多額の損失を計上したってニュースがありますよね


経理主任


新米社長

あるある。本当にひどい従業員だよな

確かに、不正をする従業員はひどいですけど、不正やミスが起こらないような仕組み作りをするのも経営者の責任なんです。こうした仕組みを内部統制と言います


経理主任


新米社長

そうなのか。ということは、従業員のミスは俺の責任ってことか?

そうです。ダブルチェックなんかの相互牽制の仕組み作りもその一環で、内部統制を構築するのは社長の責任です


経理主任


新米社長

なるほど! 従業員にミスが起こったら、ミスした本人が悪いと考えるより、ミスを発見して、防止する仕組みを作らなかった経営者が悪いって考えるべきなのか

社長、今日は飲み込みが早いですね。そうです。内部統制があれば、従業員は自分のミスがちゃんと発見されるので安心して業務ができます。内部統制は従業員のためとも言えますよね


経理主任


新米社長

実は、さっき、うちの娘が作ってくれた弁当を食べようとしたら、箸が入ってなくて困ったんだよ。あれは娘が悪いんじゃなくて、朝、箸が入っているかどうかダブルチェックしなかった俺が悪いってことだよな~

作ってもらってるわけですから、娘さんが悪いなんて思ったらダメですよ


経理主任

「内部統制」

企業の経営を効率的に行い、ミスや不正を防止するための社内の管理体制のことを言います。従業員同士でダブルチェックをする内部牽制の仕組みなどもその一つです。内部統制を構築する責任は経営者にあるとされます。

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