資金繰りが楽になった! そのヒントは娘の引き出しの中にあった

2018年5月23日

製造業

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2018/05/23

質問

業績は安定しているものの、倉庫に置ききれないくらいの在庫を抱えて資金繰りが厳しくなってきた「MJS部品工業」。あなたが経営者なら次のうちどの行動をとりますか?

パターン1

在庫保管スペースを確保することを優先し、倉庫を借り増す。

パターン2

販売見込みの乏しい在庫を思い切って処分する。

パターン3

製造する製品をしぼり込む。
 

この質問をイメージして以下のストーリーをお読みください。
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やっと資金繰りが楽になった!

「MJS部品工業」は各種の工業用部品類を製造する会社で、多品種少量生産に対応しており、業績も安定しています。今でこそ資金繰りに余裕ができましたが、1年前はそうではありませんでした。ちょっとその頃の様子を見てみましょう。

1年前 ~在庫の山は宝の山?

1年前、MJS部品工業の社長は、自社の工場の様子を眺めています。社員たちは在庫の置いてある辺りを駆けずり回っており、とても忙しそうです。所狭しと積み上がった在庫の山、それを見て社長は思いました。

社長の心の声 <うちの会社も成長したもんだ。こんなにたくさんの製品を製造できるようになったんだなぁ。在庫の山は宝の山だ。皆も忙しく働いてくれているし。今後が本当に楽しみだ>
社長が、工場から引き上げて本社に戻ると、経理担当がやって来て言いました。
経理担当 社長。今日、X銀行に行ってきまして、今月末の追加資金の融資をお願いしてきました。何とか融資はしてもらえそうなのですが、利率アップを要請されました。確かに最近借入額は増えていますが……。銀行の担当者は在庫が増えていることを懸念していまして、これ以上の追加融資は慎重に考えたいとのことでした
社長 何でだ? うちは業績が悪いわけでもないし、在庫は宝だろ。それが融資と何の関係があるって言うんだ!
 

質問

業績は安定しているものの、倉庫に置ききれないくらいの在庫を抱えて資金繰りが厳しくなってきた「MJS部品工業」。あなたが経営者なら次のうちどの行動をとりますか?

▼あなたの思うパターンをクリック▼

パターン1

在庫保管スペースを確保することを優先し、倉庫を借り増す。

パターン2

販売見込みの乏しい在庫を思い切って処分する。

パターン3

製造する製品をしぼり込む。
 

在庫が増えて倉庫に置ききれないのであれば、倉庫を借り増して、在庫保管スペースを確保することが考えられます。ただし、倉庫を借り増せば経費負担が増えることになり、資金繰りも一層厳しくなりかねません。

MJS部品工業の社長が選択したのはパターン2でした。販売見込みの乏しい在庫を思い切って処分したからといって、資金繰りに影響はなさそうにも思えますが、MJS部品工業ではこれが資金繰り改善に大いに貢献したのでした。どういうことかというと……

製造する製品をしぼり込めば、今の倉庫でも十分在庫を保管できそうです。ただし、MJS部品工業は多品種少量生産の戦略をとっているため、製造する製品をしぼり込めば売上も落ちるでしょうし、工場の稼働率も下がるでしょう。不採算の製品なのか分からないまま製品をしぼり込むのは危険かもしれません。

ターニングポイントは、娘のムダ遣いに気付いたことだった

ある日、社長が家に帰ると、ちょうど妻が小学生の娘をたしなめているところでした。

あんた、またお小遣い足りなくなったの?
だってー、絵具とのりと消しゴムを買わないといけないんだもん
何言ってるのよ。この前買ったばかりじゃない! まだあるはずでしょ?
えー、もうなくなっちゃったよ
本当に使い切ったの?
うっ、うーん
なくしたんじゃないの? 引き出しの中とかリビングの棚とか、探してみたの?
あちこち探し回ったところ、なかったはずのものが、散らかり放題の引き出しの奥や棚に置いてある箱から、ぞくぞくと出てきたのでした。それだけでなく、ガラクタも山のように出てきました。

そんな様子を見ていた社長は工場の様子を思い浮かべて気になり出しました。
社長の心の声 <本当に在庫の山は宝の山なのか? 工場で駆けずり回っていた社員、あれって忙しいからなのか?>

早速、翌日から調査をさせることにしました。その結果、今まで見えていなかったいろいろなムダが明らかになってきたのです。

例えば、材料が整理されていないために、現場担当者は、必要な材料が見当たらないとすぐに購買部門に購入を依頼してしまっていました。また、多品種少量生産に対応するため、注文が来るか分からない製品在庫をついつい持ち過ぎてしまうということも生じていました。いつか売れるかもしれないからと売れる見込みの乏しい製品在庫をいつまでも抱えていたり、在庫が見つからないことが多いために余裕をみて多めに製品を製造していたりといったこともありました。工場内で社員が駆けずり回っていたのも、多品種にわたる在庫の中から目当ての製品がなかなか見つからなかったためでした。

その後、売れる見込みの乏しい製品在庫を思い切って処分するとともに、在庫の整理整頓を進めていきました。定期的に実地棚卸を実施することにしたり、滞留在庫を処分するルールを決めたりしました。そして、いいかげんだった在庫の受け払い記録もITを活用してしっかりと整備することにしました。

その結果、在庫であふれかえっていた工場内が見違えるようにすっきりしました。正確な在庫受け払い記録を付けたことで、必要な分だけ発注・製造することが徹底され、ムダな在庫保有がなくなり、資金繰りにも余裕ができてきたのでした。

【ワンポイント解説】

「実地棚卸」

実地棚卸とは、存在する在庫について実際に数量などをカウントし、在庫の在り高を確かめる手続きのことを言います。事業年度末や月末など一定時点において実施します。実地棚卸をして帳簿在庫数との差異を調査することで、期中の在庫受け払い記録の誤り、不良在庫の存在や在庫の盗難・紛失が見つかるといった効果があります。
MJSのシステム(「販売大将」)では、在庫の受け払い管理や分析をしやすくする帳票の他、実地棚卸業務をお助けする帳票もご用意しています。
下記は実地棚卸関連の帳票の例です。






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