コロナ禍で顧客が来なくなった学生街の商店街。活性化のためにとった道とは?
2021年4月3日
質問
普段は学生達が街にあふれ、学生顧客に強く依存している大学周辺の商店街ですが、コロナ禍で、その学生の姿が消えています。あなたが商店街の会長なら、街の活性化のために次のうちどの道を選びますか?
パターン1
各飲食店で出前や店頭での弁当販売に力を入れる。
パターン2
商店街のホームページに、周辺飲食店のオンラインショップを開設する。
パターン3
学生に割引クーポンを配布する。
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大学周辺の飲食店も通常の賑わいが戻り始めています!
オンライン授業ばかりであった大学も、少しずつ対面式の授業が復活しつつあり、今後は7割の授業を通常の対面式とする方針を打ち出しています。周辺の飲食店もどうやら倒産の危機を乗り越えたかと安どしているところです。
商店街の会長も、学生さんがキャンパスにあふれる状況でなければ、我々大学周辺の飲食店も生きてはいけない、と改めて痛感しているところです。
今でこそ復活しつつある商店街ですが、1年前はコロナ禍で大変だったのです。
1年前 ~コロナ禍で学生街の飲食店は存続の危機に直面していました……
新型コロナウイルス感染症の発生・拡大に伴い、大学での授業スケジュールは大幅に変更を余儀なくされました。新学期が始まっても入学式もできず、授業もしばらく休講状態が続きました。その後、授業は再開されましたが、対面での授業はなく、オンラインでの指導が実施されるにとどまっています。通常の年であれば、新学期と共にフレッシュな新入生達がキャンパスの内外にあふれ、希望に満ちた大学生活が始まります。大学周辺の商店街の食堂やカフェも学生達で活況を呈するのが普通です。商店街の飲食店などは大学と共存共栄により昔から発展してきているのです。
しかし、コロナ禍の進展に伴い、街は死んだような静けさが漂い、まったく学生達の姿が見られません。当然のことながら、商店街の飲食店は売上高が激減しました。このままでは、事業の継続も危ぶまれます。大手の食堂チェーンのいくつかは早くもこの地域での営業を断念し、撤退する店舗も出てきました。しかし、ほとんどの飲食店は自宅兼用の店舗で、営業が苦しいからといって他の地域に移転することもできません。
この状況に、商店街の会長は頭を悩ませています。
質問
普段は学生達が街にあふれ、学生顧客に強く依存している大学周辺の商店街ですが、コロナ禍で、その学生の姿が消えています。あなたが商店街の会長なら、街の活性化のために次のうちどの道を選びますか?
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パターン1
各飲食店で出前や店頭での弁当販売に力を入れる。
パターン2
商店街のホームページに、周辺飲食店のオンラインショップを開設する。
パターン3
学生に割引クーポンを配布する。
コロナ禍への対応で各地の飲食店は、出前や店頭で弁当などの販売をし、少しでも売上高の激減を食い止める努力をしています。東京の神楽坂でもレストランや京料理の店が、昼時に店頭で弁当の販売をしている状景を見かけます。ただし、本記事の場合は、もっと学生街であることを利用した対策が考えられるでしょう。
この商店街の会長が選んだ道はパターン2でした。その理由はどこにあるのでしょうか。
実は、関西方面の大学街では、最寄り駅から大学のキャンパスまでの飲食店が、学生さんに飲食の割引券(10%引き)を配布しているとの報道がありました。ただし、本記事の場合はもっと、訪れる学生が減っていることを考慮した対策が考えられるかもしれません。
テレビのBS放送のニュースに共感し、ヒントを得た!
商店街の会長は1年中毎朝5時に起き、ラジオ体操と軽いスクワットを行っています。実は「テレビ体操」を録画しておき、自分の時間に合わせての体操を日課にしています。また、彼のひそかな趣味(?)は、毎朝食事をしながらNHK・BS1の「World News」を見ることでした。
日本だけでなく、海外の国々でも、新型コロナウイルス感染症の拡大に直面しており、その話題のニュースが目立ちます。そんな中、ある朝の放送で、ヨーロッパの大学街における大学と地域経済の活性化のためのチャレンジ活動が目に留まりました。その地域は19世紀の頃から大学の発展と共に地域も発展してきたという歴史があります。大学と地域住民とが共存共栄し、一体感を持って暮らし・地域文化を支えてきていました。その大学街の商店街がCOVID19 感染症の波及に伴い、窮地に陥っていたのですが、地域商店と大学・学生が共に協力して、奮闘しているというニュースでした。
そのとき商店街の会長は気付き、勇気付けられました。
会長の心の声 | <これは我々の地域の環境と共通することだ。我々も大学・学生と共に発展してきた地域だから、負けずに頑張らなければ!> |
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早速、商店街の幹部と共に大学当局や学生との間で真剣なディスカッションをし、地域の再生・活発化のためのプロジェクトを結成し、積極的に行動していくことを決議しました。その結果、「大学地域再生・活性化プロジェクト」キャンペーンとなって具体化しました。
● 現役学生と周辺商店街の再生・活性化を支援するための資金援助を目的として、全国に散らばる当大学の卒業生などを対象に、インターネットでクラウドファンディングを立ち上げ、サポート資金の呼びかけをした。
● 地域商店会の飲食店の商品をまとめて販売するオンラインショップ「愛する学生まちマルシェ」をオープンした。商店街加盟の飲食店の商品メニューをネットに一括して掲載し、ネットで注文を受け、事前に料金を専用アプリで入金してもらった。
● 商品のデリバリーは、当大学の学生に依頼をすることにした。デリバリー1回ごとに、学生には300円を報酬として支払った。さらに学生には加盟店どこでも食事ができる食事券(まかない飯)を提供し、学生の食生活をサポートすることにした。
新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、学生も経済的に大きなマイナスの影響を受けています。週2~3日のアルバイトをして、生活費のカバーをしていましたが、緊急事態宣言が発出され、そのアルバイトもシフトを減らされたり雇止めをされたりして、毎月の収入が激減しています。事業者に休業手当を求めましたが、「日々雇用契約」であるから、休業手当の支払義務はないと通告されたケースもあります。
大学の授業はすべてオンラインとなり、新入生は大学のキャンパスに足を踏み入れることもできません。クラスの友達との交流もできず、大学のサークルにも参加することができません。何のために大学に進学したのか、思い悩む毎日です。地方出身の学生は、コロナ禍で地元に帰省することもままならず、狭いアパートでこもりきりとなり、精神的にも経済的にも苦境に陥る毎日です。
「大学地域再生・活性化プロジェクト」キャンペーンは、学生にとっても商店街にとっても予想外の好影響をもたらしています。学生にとって経済的・精神的なプラスの効果がもたらされます。商店街の各商店も、追加的なコストを負担せずに、売上高の回復の恩恵を受けています。プロジェクトキャンペーンにおけるオンラインショップ関係の経費や学生に対するデリバリー代などは、クラウドファンディングにより得た資金で充当することができています。学生あっての商店街であり、学生達と一体となって街を盛り上げたいとの強い共同体意識が再確認されています。
また学生以外の顧客の獲得も目指して積極的にアピールし、地域住民の顧客も増加し、地域連携による再生・活性化のプロジェクトは成果を上げつつあります。
「地域連携による再生・活性化」
地域を訪れる顧客が少なくなっているような状況下では、それぞれの会社や店が個々に対策をとってもなかなか成果は上がりません。本記事になったように、地域の会社や店、地域住民などが連携することで、新たな収益機会を得たり、資金援助を受けたりし、地域一体での再生や活性化が進むことがあります。
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