開業準備は万端? 繁華街の店から学んだ、住宅街の店の採算向上策
2019年7月23日
質問
住宅街の近くにスイーツ店を開業しようと考えているものの、営業時間中コンスタントにお客さんが入らないことで採算が厳しくなるかもしれないと悩んでいます。あなたが経営者なら次のうちどのかたちで開業することにしますか?
パターン1
時間帯によって店舗スペースを他者とシェアする。
パターン2
店舗スペースの一定割合を他者とシェアする。
パターン3
スイーツ以外のメニューも取り扱うことにして、売上水準を高める。
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お客様の笑顔がご褒美
「スイーツ・ミロク」は、住宅街の近くに位置する、焼き菓子を中心としたスイーツ店です。
今月の営業も無事に終わり、経営者で店長でもあるMさんも満足しています。
スタッフ | ありがとうございました |
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Mさん | 今月、最後のお客様だったわね |
スタッフ | さぁ。後片付けして、早く帰りましょう |
Mさん | 今月も、順調だったわね。お客様の笑顔が我々への最高のご褒美でもあるしね。それに今月の業績もかなりいいはずよ |
今では開業から1年がたち、順調に営業しているスイーツ・ミロクですが、2年前、Mさんが開業準備をしていた頃は悩みを抱えていたのです。ちょっとその頃の様子を見てみましょう。
2年前 ~これで採算がとれるのか……
2年前、Mさんはスイーツに関する自分の専門性の高さを武器に、スイーツ店を開業したいと夢を膨らませていました。幸い、都心からは少し離れていますが比較的人口の多い街に、親から譲り受けた店舗があるので、 それを改装して利用する予定です。店舗は駅から徒歩圏にあり、近くには住宅街が広がっており、家族連れの人たちもよく見かけます。
Mさんは今日も開業後の様子を想像しています。
スタッフA | ありがとうございました。今月も、常連のお客様が入ってくださいましたね |
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Mさん | 本当においしーって言っていただけて、あんなに満足そうな笑顔を見せていただけて、うちのスイーツ店はかなり順調な方よね |
スタッフB | この前、雑誌の取材も入りましたしね |
ここまでは幸せな想像に満たされていたMさんだったのですが…… | |
スタッフB | 最近、店長の機嫌が悪くない? |
スタッフA | そうなのよね。どうもあまり利益が上がっていないらしくて、ぶつぶつ言ってたわ |
スタッフB | でも、日中たくさんの奥さま方に来ていただけてるし、悪くないはずよ |
スタッフA | そうなんだけど、うちは、夕食の時間帯以降はどうしても客足が遠のいちゃってるのよね |
スタッフB | まぁ、家族みんなでということだと、普通のレストランに入るか、家で食事をとるだろうからね |
スタッフA | 一旦レストランに入ったら、2軒目に店を変えてスイーツをという感じでもないだろうし。だから、夕食の時間帯以降はどうしてもガラガラになるんじゃないかと…… |
Mさんの心の声 | <はぁー、やっぱりすべての時間帯でお客さんを集めて採算を確保するのって大変そう。何かいい方法はないかしら> |
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質問
住宅街の近くにスイーツ店を開業しようと考えているものの、営業時間中コンスタントにお客さんが入らないことで採算が厳しくなるかもしれないと悩んでいます。あなたが経営者なら次のうちどのかたちで開業することにしますか?
▼あなたの思うパターンをクリック▼
パターン1
時間帯によって店舗スペースを他者とシェアする。
パターン2
店舗スペースの一定割合を他者とシェアする。
パターン3
スイーツ以外のメニューも取り扱うことにして、売上水準を高める。
Mさんが選択したのはパターン1でした。時間帯によって店舗スペースを他者に貸してシェアすることにしたのですが、それはどうしてだったのでしょうか……
自店のスペースの一定割合を他の店に貸してシェアすることも考えられます。しかし、開業準備中のスイーツ店は日中は満席近い状況を想定しているため、常時店舗スペースをシェアすることにすると、売上が減ることになり、採算は良くならないかもしれません。
スイーツ以外のメニューを増やして、売上水準が高い店舗にすることも、1つの方法として考えられます。しかし、Mさんの専門分野ではないメニューを別途開発することは、ハードルが高いでしょう。
半年前 ~店舗のシェア
開業準備をしているスイーツ店の採算を確保するいい方法はないものかとMさんは悩んでいました。
そんなある日、Mさんは友人と会う機会がありました。その友人は都心の繁華街でスイーツ店をやっている、スイーツ職人です。
Mさん | 久しぶりね。最近、店の調子はどう? |
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友人 | まあまあ調子いいよ。うちは都心の繁華街にあるから、日中・夕・夜どの時間帯でもコンスタントにお客さんに入ってもらえるんだ |
Mさん | どの時間帯も、満席なの? |
友人 | そうでもないかな。だいたいコンスタントに7~8割ってとこかな |
Mさん | じゃあ、店舗の家賃負担なんかもあってなかなか大変なんじゃないの? |
友人 | そこで考えたのが店舗のシェアなんだ |
Mさん | というと? |
友人 | うちはどの時間帯でも7~8割は埋まっていたんだけど、逆に言うと2~3割はいつも空いていたってこと |
Mさん | そういうことになるわよね |
友人 | 常時空いているこの2~3割くらいの店舗スペースを他の店とシェアして有効活用することにしたんだ |
Mさん | でも、同じ時間帯にシェアするわけだから、あまりコンセプトが違う店でも困るし、同じスイーツの店でも困るよね |
友人 | そうなんだ! そこで最近はやりのテイクアウトのティーショップとシェアしてるんだ。うまいこと相手が見つかってね |
Mさん | それはラッキーだったわね |
友人 | ティーショップだと、うちのスイーツの雰囲気を損なわないし、テイクアウトだとそれほど場所もとらないし、うちと競合しないしな |
このときMさんは思ったのです。
Mさんの心の声 | <店舗の空きスペースの有効活用か……。でもうちは都心の繁華街のようにコンスタントにお客様に入ってもらえはしないか。夕方や夜にスイーツ食べに来てもらうのはなかなか難しそうだな> |
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そして……
Mさん | うちは自己所有の店舗で賃料はかからないから、夕方以降は店を閉めてしまうしかないかなぁ。そうすれば、光熱費や人件費はカットできるし…… |
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友人 | それも手だけど、店舗を遊ばせとくのはもったいないかも……。うちとは違うシェアの仕方があるんじゃないか? |
Mさん | どういうこと? |
友人 | スイーツ店のままだと夕方からは店がガラガラになりそうなんだったら、夕方からは別の使い道がないかを考えてみるんだよ |
Mさん | なるほど |
その後、友人の手助けも受けながら、夕方以降の店舗の有効活用について検討を進めました。その結果、夕方以降の時間帯にバーをやりたいという知人が見つかり、その時間帯は店舗を貸せないかと考えたのです。
住宅街の近くにバーがあってもとも思われますが、バーをやりたいという知人はいろいろなアイデアを持っており、十分にお客さんの来店は見込めると踏んでいるようです。
バーであれば仕込みに時間がかかる食材を扱うこともないので、営業前の準備時間があまり必要ないはずです。スイーツ店の焼き菓子を置いておけば、お客さんが買って食べてくれたり、お土産として買って帰ったりと、スイーツ店との相乗効果も期待できそうです。
こうして、夕方の時間以降は店舗をバーの経営者に貸す方向で、Mさんの開業準備も大きく前進していったのでした。
「店舗の有効活用」
店舗などには、常時使わないままになっている空きスペースがある場合だけでなく、ある時間帯については使わない状態になっていることもあります。こうした空いている資産を有効活用する方法を検討してみることで、採算向上にもつながります。
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