こだわりの喫茶店が閉店寸前 店の雰囲気を変えずに利益を生み出す方法とは?

2020年6月23日

飲食業

  • 飲食業
2020/06/23

質問

昔からの夢だった喫茶店をオープンさせたマスターは、ある程度の固定客はいるものの、最初の価格設定を低くしてしまったために儲けが少ないので閉店を考え始めています。それでもこだわりいっぱいの店を継続するために、あなたが経営者なら次のうちどの方法を選択しますか?

パターン1

店で使っているコーヒー豆を販売することで、売上を増やす。

パターン2

コーヒー教室を開き、コーヒーファンを増やすことで、売上増加をねらう。

パターン3

写真映えする特大マドレーヌをメニューに加えて新規顧客を呼び込むことで、売上を増やす。

この質問をイメージして以下のストーリーをお読みください。
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心穏やかにコーヒーを入れるマスター

「純喫茶みろく」は、こだわりのコーヒー豆を仕入れてお客様に提供する街中の喫茶店です。まるで100年前からこの地で営業しているかのような、クラシカルな落ち着いた雰囲気で、お客様はゆったりとした時間を過ごしています。それは店の雰囲気だけでなく、マスターの醸し出す雰囲気がそうさせるのかもしれません。

<カランカラン>

今度のお客様は、いつも定期的に来てくださる近所の奥様でした。

マスターは笑顔でお客様を迎えながら、あわや閉店の危機にさらされていた1年前に思いを馳せました。

1年前 ~こだわりは守りたいが利益が出ないジレンマ!

「純喫茶みろく」は、マスターの若い頃からの夢の結晶でした。若い頃、コーヒーに魅せられたマスターが、こだわりの内装、こだわりのコーヒー豆を使ったドリンクメニュー、フードメニューも手作りマドレーヌとサンドイッチのみという、自分の夢を詰め込んで開店させた喫茶店で、従業員は雇わずに妻に手伝ってもらいながら細々と運営しています。特にマスター自慢のみろくブレンドはお客様に好評です。

しかしコーヒー通のお客様は通ってくれるのですが、深く考えずに価格設定してしまったために、開店からずっと儲けが今一つで苦しい状態が続いています。窮状を知るお客様からは「気軽に入れる雰囲気のカフェにしたら新しいお客さんが来るだろうけど、それはそれで寂しい」などと言われ悩んでいます。

一部の常連さんのためにも今のスタイルで店を続けたいという思いはあるものの、うまく売上を伸ばせずにいるマスターは、肩を落として帰宅する日々を送っていました。

質問

昔からの夢だった喫茶店をオープンさせたマスターは、ある程度の固定客はいるものの、最初の価格設定を低くしてしまったために儲けが少ないので閉店を考え始めています。それでもこだわりいっぱいの店を継続するために、あなたが経営者なら次のうちどの方法を選択しますか?

▼あなたの思うパターンをクリック▼

パターン1

店で使っているコーヒー豆を販売することで、売上を増やす。

パターン2

コーヒー教室を開き、コーヒーファンを増やすことで、売上増加をねらう。

パターン3

写真映えする特大マドレーヌをメニューに加えて新規顧客を呼び込むことで、売上を増やす。

もともと店で使っているコーヒー豆を販売するのであれば、かかる手間はこれまでとあまり変わりがありません。来店されるお客様が店に落としてくれるお金が増え、店の雰囲気を変えずにシンプルに客単価を上げることができます。

お客様を増やすためにコーヒーファンを増やすという案は決して間違ってはいません。しかし「純喫茶みろく」はマスターと妻で切り盛りしている店です。営業日にコーヒー教室をする時間と場所はありませんし、休業日にコーヒー教室を開くのは健康を害するリスクがあります。

マドレーヌを焼く手間自体はサイズが大きくとも小さくとも変わりません。写真映えを意識することでグループ客を呼び込むこともできるでしょう。しかし「純喫茶みろく」は落ち着いた雰囲気がウリなので、あまり多くのお客様が訪れると店の雰囲気を壊しかねません。他の方法を模索した方が良さそうです。

飲食以外のサービスもアリ

翌日、マスターは妻と、妻の実家のある香川県を訪ねていました。到着して間もなく、せっかくなので昼食は口コミサイトで上位にランクインするうどん屋で取ることにしました。駐車場には多くの県外ナンバーの車が停まっており、他県からの観光客が多く訪れていることが伺えます。列に並んでようやく店の中に入ると、何やらレジの周辺に人が集まっています。

マスター あれ? ショーケースがあるぞ
有名店だから観光客向けに、お土産用のうどんを売ってるみたいね
マスター へえ~、結構売れてるみたいだな
食べてみて美味しかったら、私もお友達へのお土産に買って帰ろうかな。ちょうどいいわ

実際に味に満足したらしい妻は、お土産にうどんセットを買って帰りました。

その日の夜、妻の実家から戻ったマスターは家で何となくテレビを見ていました。とある定食屋チェーンのメニューを一流料理人が審査するといった番組で、どうやらサラダのドレッシングが抜群に美味しいとかなり好評なようです。

審査員の1人 このドレッシング、売ったらかなり売れますよ
定食屋チェーン社長 早速商品化を検討します!

テレビ番組の紹介によると収録後、本当に商品化されてレジ横で売り出されたようでした。

1日のうちに続けざまに飲食店が物を売っている姿を見て、マスターはハッとさせられました。

マスター そうか! コーヒー豆を売ればいいんだ! そういえば大手コーヒーチェーンでもコーヒー豆を売っているじゃないか

自分はこれまで飲食店の店主だ、という思い込みがありましたが、だからといって店で物を売ってはいけないなんてことはありません。店に来てくれるお客様がついでにコーヒー豆を買ってくれれば、それだけ客単価アップができ、それ程手間を増やさずに売上を増加させられるのではないかと考えました。

早速マスターは、店でコーヒー豆を売り出し始めました。店で使っているコーヒー豆はマスターがこだわりをもって選んでいて、自家焙煎したものです。もともとコーヒー通の多い「純喫茶みろく」のお客様の中には、ぽつりぽつりと買って行ってくれる人がいます。特にみろくブレンドを好む客は、店のブレンドにはかなわないものの、家でも店のブレンドの風味が楽しめる、と喜んで豆も購入していきます。自宅でも香りのいいコーヒーが飲みたいというご近所にお住まいの方は、煎りたての豆を求めて、時間を見計らって来店されるなど、新たないい常連さんになってくれています。

こうして「純喫茶みろく」は、店の雰囲気を保ちながらも、店のファンに支えられて営業を続けていくことに成功したのでした。
 

ワンポイント解説

「客単価アップ」

客単価とは、1人の顧客が1回の購入で支払う金額の平均値です。飲食店や小売店などで売上を増やそうとした場合、顧客数を増やす、顧客の来店頻度を増やす、客単価を上げるといったことが考えられます。客単価を上げるには、今よりも高額の上位商品を買ってもらえるようにすること(アップセル)、ある商品を買おうとしている顧客に別の商品もセットで買ってもらえるようにすること(クロスセル)などが考えられます。

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