コロナで利用回数減! カラオケ店に学ぶ、レンタルスペース会社の対応策とは?
2020年9月23日
質問
レンタルスペース会社の「ミロクCozy Space」は、最近の新型コロナウイルス感染症のためにリモート会議を行う企業が増えるなど、レンタルスペースの利用回数が減少し、売上が激減しています。あなたが経営者なら次のうちどの行動をとりますか?
パターン1
会議室以外の多様なニーズにレンタルスペースを対応させ、都心以外にも進出する。
パターン2
借りている建物やその一部を解約し、会議室のニーズ減少に応じた事業規模とする。
パターン3
会議室の利用回数の減少をカバーできるように、料金を値上げする。
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順調だった事業、しかし新型コロナの影響で……
「ミロクCozy Space」は、企業の会議室としての利用を見込んで20年ほど前に開業したレンタルスペースの会社です。いくつかの都心の中堅ターミナル駅近くに建物または建物の一部を借りて、その駅を最寄りとして所在するさまざまな企業を主な顧客として、社内の会議や商談等に利用できる部屋をレンタルしてきました。来客との商談に関連して、駅近くのホテルと連携をし、宿泊の手配をも行うサービスを提供してきました。競争相手となる企業も多く誕生してきましたが、新型コロナウイルス感染症の拡がりが生じるまでは、事業は順調でした。
しかし、新型コロナウイルスの拡がりの影響により、世の中では、外食の回数を減らして食材を買って家で料理をしたり、弁当等のデリバリーを依頼して家で食事をすることが増えました。また懇親会も、居酒屋の利用を減らしてリモート飲み会を行うことに馴染んだ人も増えたことでしょう。さらに人と人の接触を避けるために、リモート会議に象徴されるテレワークや学校におけるリモート授業等の導入が推奨されています。
こうした環境の中、ミロクCozy Spaceは、会議室の利用が急激かつ大幅に減少しています。さらに一会議室の利用者数についても、従来の半分の人数で利用することを基本とした対応を図っているために、スペース利用の効率性は著しく低下しています。そのため、社長は、利用者側に割高感が生じているのではないかと危惧しています。また企業の会議室の需要が、今後伸びるとは考えがたいため、急いで対策を講じなければならないと焦りが募ってきていました。
質問
レンタルスペース会社の「ミロクCozy Space」は、最近の新型コロナウイルス感染症のためにリモート会議を行う企業が増えるなど、レンタルスペースの利用回数が減少し、売上が激減しています。あなたが経営者なら次のうちどの行動をとりますか?
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パターン1
会議室以外の多様なニーズにレンタルスペースを対応させ、都心以外にも進出する。
パターン2
借りている建物やその一部を解約し、会議室のニーズ減少に応じた事業規模とする。
パターン3
会議室の利用回数の減少をカバーできるように、料金を値上げする。
ミロクCozy Spaceが選択したのはこの方法です。これは、事業内容を見直した上で、事業規模を拡大させる方法です。社会的ニーズをうまく捉えることが重要となります。当面のニーズは、リモート会議等のテレワークのために、またソーシャルメディアに載せるために、ビデオ撮影を行うのに利用することです。
これは、事業内容を見直すことなく、縮小した会議室需要に合わせて事業規模を縮小する方法です。利用料を値上げすることなく、これまでの事業を継続していけることが期待されます。しかし、事業の発展は期待できず、今後さらに需要が縮小した場合には、廃業もあり得るかもしれません。短期的には有効な方法かもしれませんが、長期的な展望に立った方法とは言えません。
これは、事業規模を維持した上で、原価を回収し、適正な利益を確保するという方法です。利用者または利用頻度が減少している中で、事業内容を変化させることなく、事業規模を維持するためにレンタル料(利用料)の値上げを行うことになります。固定した顧客が確保されており、その顧客が利用料の値上げに理解を示してくれるなら、有効な方法となります。しかし顧客が一層離れていく可能性があり、結果的に問題解決に繋がらないことが考えられます。
きっかけは、駅前のカラオケ店
新型コロナウイルスに関連して、外出の自粛が要請されている頃に、ミロクCozy Spaceの社長が高校生の娘と、夕食用の食材を買うために駅近くにあるスーパーに出かけ、途中でカラオケ店の前を通ったときのことです。
社長 | 営業自粛か。カラオケ店も大変だなぁ |
---|---|
娘 | 大声出して歌えるのがカラオケ店のいいところだけど、飛沫飛びまくりになるからね。だから楽器演奏の練習用に貸し出すってことか |
社長 | ん? 何のことだ? |
娘 | あれ? お父さん、さっき気付かなかったの? あのカラオケ店の前に部屋を貸し出すっていう立て看板が出ていたじゃない! |
社長 | ?? |
娘 | 実は吹奏楽部の友達なんかは、カラオケ店で演奏の練習していることが多いのよ。大きな音が出ると近所迷惑だから、家では練習できないし、校庭で練習してると、近くに住んでる人から騒音だとクレームがくることもあるらしいからね |
社長 | そうか。それで楽器演奏の練習用に貸し出すってことか。カラオケ店は、カラオケ以外のことで利用できる部屋を持っているということか! |
このとき社長は、ニーズに応じた準備を整えれば、潜在的な需要はまだあることを理解したのです。既存のレンタルスペースについては、例えば、商品紹介の映像を撮ってネット販売サイト用に使用できるように、最小限の追加コストで防音措置を施し、撮影機器等のレンタルができるように準備しました。
さらに高い家賃の都会部だけではなく、郊外の駅近の建物やその一部を借りて事業を拡大することにしました。郊外ではテレワーク用にひと部屋に複数のブースやパーテーションを置いて、個人向けに広さを変えて利用できるようにしたり、個人がソーシャルメディアに載せるためのビデオ撮影をするためなどに一定の防音措置を施した部屋を用意したりと、多様なニーズに合わせた部屋を設けることにしました。
新たなサービスの提供による付加価値創造
ミロクCozy Spaceは、スタッフにリモート会議のための研修を受けてもらい、テレワークでの利用者に対するサポート体制を強化しています。また多様なニーズに対応するため、弁当や軽食のデリバリーを行う店や、衣装のレンタル会社、音楽教室などとも連携することで、その事業は、単にスペースを貸し出すことから、様々なサービス提供を行う事業へと変貌してきています。そして現在、テレワークの拡大に伴い、賃料の削減効果を狙って社内の会議室を大幅に減らす企業や、本社を郊外に移転させる企業が出てきており、こうした企業が利用できるようなスペースの準備を始めています。このように、ミロクCozy Spaceは環境変化に対応したビジネスの転換を進めているのです。
「環境変化に対応したビジネスの転換」
今般の新型コロナウイルス感染症の影響など、企業を取り巻く環境が大きく変化したとき、従来の延長では激減した売上を回復することが難しいことも想定されます。環境変化に対応したビジネスの転換も検討課題の一つになるでしょう。
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