補助金の獲得にチャレンジ! そのおかげで得た本当の成果とは?

2019年4月3日

飲食業

  • 飲食業
2019/04/03

質問

設備の改修などに課題を持つ中華レストランの「中華料理みろく」。補助金を受け取ることができれば、費用負担を軽減できると、補助金案件に応募しようと考えています。あなたが経営者なら何を重視して準備しますか?

パターン1

できるだけ多くの補助金案件を見つけ、たくさん応募すること。

パターン2

自社のやろうとすることを吟味し、それに合致する補助金に応募すること。

パターン3

できるだけ補助金額の大きな案件を見つけて応募すること。

この質問をイメージして以下のストーリーをお読みください。
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補助金獲得!

「中華料理みろく」は、高品質で国内でなかなか手に入らない食材を使った中華料理店を営んでおり、料理のテイクアウトも人気です。かねてから取り組みたいと思っていた店舗設備の改修がうまくいき、それが収益に貢献しています。実は、申請していた設備改修のための補助金が見事採択されて費用負担を軽くすることができたことも、この事業を順調に進める際に大いに寄与したのです。最近では、消費税の軽減税率に対応するためのシステム導入をすべく準備中で、補助金応募も検討中です。

中華料理みろくでは、1年半ほど前にも補助金案件に応募したことがあったのですが、そのときは不採択という結果でした。当時は売上もなかなか伸びず苦労していました。

1年半前 ~補助金に応募したものの……

ある日、中華料理みろくの社長が久しぶりに経営者仲間のSさんと会ったときのことです。お互いに近況を話すうちに、ふと話題が販路開拓の苦労話になったのです。Sさんの会社では、販路開拓のための費用の一部を補助してもらえる補助金を受け取ることができ、助かったそうなのです。

それまで中華料理みろくの社長は、補助金をもらったという話を身近に聞いたことがなかったので、いい情報をもらえたと、早速、経営計画などを含む補助金申請のための各種書類を取り急ぎ準備し、取りあえず販路開拓の補助金に応募してみました。社長は割と思い立ったらすぐに行動するたちの人なのです。しかし、結果は残念ながら不採択。

これをきっかけに少し調べてみると、今回の補助金以外にもいろいろと補助金案件がありそうです。補助金を受け取ることができれば、費用負担を軽減しつつ、必要な取り組みを推進することができるのではないかと、社長は再び補助金案件に応募しようと考え始めていました。

質問

設備の改修などに課題を持つ中華レストランの「中華料理みろく」。補助金を受け取ることができれば、費用負担を軽減できると、補助金案件に応募しようと考えています。あなたが経営者なら何を重視して準備しますか?

▼あなたの思うパターンをクリック▼

パターン1

できるだけ多くの補助金案件を見つけ、たくさん応募すること。

パターン2

自社のやろうとすることを吟味し、それに合致する補助金に応募すること。

パターン3

できるだけ補助金額の大きな案件を見つけて応募すること。

補助金の案件はいろいろとありますので、できるだけ多くの補助金案件を見つけ、応募数を増やせば、補助金がもらえる確率は高まるかもしれません。しかし、中華料理みろくの場合、取りあえず出してみるという従来と同じようなスタンスで補助金に応募していたら、件数を増やしたところで結果は同じでしょう。

中華料理みろくの社長が重視したのは、自社のやりたいこと・やるべきことをよく吟味し、それに合致する補助金に応募することでした。応募した補助金では、申請書類の中で経営計画に関わる記載が求められていたのですが……

できるだけ補助金額の大きな補助金案件を見つけて応募すれば、採択された場合の効果は大きいでしょう。しかし、金額重視で手当たり次第に応募しても、申請書類に、自社で取り組みたいことなどを具体的に記載することも難しいので、採択される可能性は低いでしょう。

補助金獲得にチャレンジ、本当の成果とは?

また補助金案件に応募しようと考えてはいるものの、どうすれば採択されるのかと思い悩んでいたとき、再び経営者仲間のSさんと会う機会がありました。

社長 前にお会いしたときにお聞きした販路開拓の補助金、うちもすぐに申請してみたんですよ。でもダメでした。何がいけなかったのやら
Sさん そうだったんですか、それは残念でしたね。まぁ補助金は応募要件を満たした申請さえすれば採択されるってわけではないですから……。まずは、自社のやろうとすることをよく吟味することが大事でしょうね
社長 と言いますと?
Sさん 例えば、申請書類の中には経営計画の記載を求められるものもあるんですが、どうでしたか?
社長 確かにありました。計画は私の頭の中に何となくはあったんですけど……。言っちゃあなんですが、そのときは申請のために作文したって感じでしたね
Sさん やっぱり。審査する人たちも単なる“絵に描いた餅”の計画っていうのは分かるもんらしいですから
社長 えっ、そうなんですか?
Sさん ちなみに、認定支援機関と言って、その辺りのことをサポートしてくれるところがあるんで、一度相談してみるのもいいかもしれないですよ

その後、中華料理みろくでは実際に認定支援機関に相談してみたのです。そのとき社長は、体裁を取り繕って補助金に応募するためだけに“絵に描いた餅”の計画を作っていたことを反省したのでした。

経営計画の重要性に気付いた社長は、その後認定支援機関のサポートも受けながら、自社の経営の中に、具体的な事業計画を策定し、その達成のための行動計画に落とし込む仕組みを取り入れていくことにしました。その際、社長だけでなく社員たちも交えて進めた結果、これから自社で取り組むべきこと、取り組んでいきたいこと、達成のためにすべきことなども見えてきたのです。

もしも最初の補助金申請が採択されていたら、経営計画の重要性には気付くことができなかったことでしょう。

社長の心の声 <手に入れる補助金は一時的なもの。でも手に入れる経営の仕組みは持続的なものだったんだ!>

補助金獲得のチャレンジに失敗したからこそ、その反省を踏まえて補助金だけではない大切なものを獲得できた、これが本当の成果だったと言えそうです。

【ワンポイント解説】

「認定支援機関」

認定経営革新等支援機関、いわゆる認定支援機関は、中小企業が安心して経営相談等のサポートを受けられるように、一定レベル以上の専門知識や実務経験を有する者を国が認定する、公的な機関です。経営改善や補助金活用のことなどを相談することができます。


認定支援機関 早わかりガイド(中小企業庁 ミラサポ)

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