P/Lが読めずに危うく大失敗!? 「営業利益」が赤字の会社の課題とは?
2020年2月23日
質問
父親が創業した小さな製造所を継いだ2代目社長。1年間頑張って経営したところ、売上高は前期より増え、売上総利益も増えたものの、「営業利益」が赤字になってしまいました。あなたが経営者ならどうしますか?
パターン1
広告宣伝費を減らす。
パターン2
借入を返済して、利息の支払いを減らす。
パターン3
製品の販売価格を上げる。
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売上も売上総利益も営業利益も順調に増えている会社
「みろく製造」は、先代が創業した職人集団の製造業です。社員はみな職人です。技術力はピカイチで、大手企業からの注文も多いのです。
今年は、先代の息子である2代目が会社を継いで2年目です。2代目は大学を卒業後、大手製造業で技術者として腕を磨いていましたが、先代の病気もあり、会社を引き継ぐことにしたのです。
今期は、売上も利益も順調に増えていますが、2代目社長が会社を引き継いだばかりの前期は赤字で大変だったのです。
営業利益が赤字!? もっと、広告宣伝を増やして知名度を上げるぞー!
2代目社長がみろく製造を引き継いだとき、職人はみなやる気に満ちあふれていました。それは2代目社長が、みろく製造の社員が憧れる大手製造業の出身者だったからです。
2代目社長も、みろく製造の業績を一気に拡大させるため、思い切って銀行から借入をして設備を拡大し、そして広告宣伝をうって会社の知名度も上げ、さらに製品の販売単価を下げて、今までにないほどの受注を獲得したのです。
ところが問題は1年目が終わった決算で発覚しました。みろく製造の社員はみな職人なので、会社の経理業務も若手の職人が片手間にやっていたのですが……
若手の職人 | 社長、大変です。前期の決算が一通り終わったのですが、赤字になってしまいました! |
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社長 | 何だって!? 決算書を見せてくれ。う~ん。確かに売上は3割も増えているのに赤字だ |
若手の職人 | よく見てみると、売上総利益は黒字ですが、営業利益が赤字になっているんです |
社長 | 確かに営業利益が赤字だが……、ところで営業利益って何だ? |
若手の職人 | さぁ……。私も職人なので、細かいことは分かりませんが、営業努力が足りなかったってことでしょうか |
社長 | まぁ、いろいろ考えても仕方ない。まずは、うちの会社の製品の質の高さを今まで以上に広告宣伝して受注を増やしていくしかないだろう |
そうは言ったものの、心の中では気になっていました。
社長の心の声 | <こんなに売上を増やしたのに、営業利益が赤字になったって、一体どういうことだ? この1年の経営の何がいけなかったんだ?> |
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質問
父親が創業した小さな製造所を継いだ2代目社長。1年間頑張って経営したところ、売上高は前期より増え、売上総利益も増えたものの、「営業利益」が赤字になってしまいました。あなたが経営者ならどうしますか?
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パターン1
広告宣伝費を減らす。
パターン2
借入を返済して、利息の支払いを減らす。
パターン3
製品の販売価格を上げる。
実は、広告宣伝を増やし過ぎたことに問題があったようです。社長はそのことにどうやって気づいたのでしょうか……。
設備投資のための借入を増やしたことで、その金利負担が増え、営業外費用が増えたことも赤字の原因の一つと思われます。しかし、今回は営業利益が赤字となっているので、まずはその直接的な原因から検討するべきでしょう。
製品の販売価格を上げれば売上総利益が良くなり、営業利益も良くなるかもしれません。しかし、売上総利益は黒字なので、営業利益が赤字となっている直接的な原因を検討するべきでしょう。
若手の職人が決算書のセミナーで学んできたこととは?
社長と若手の職人が、営業利益の意味が分からず、とにかく広告宣伝を増やして知名度をもっと上げていこう、という結論になりかかったとき、思い切ったように若手の職人が言い出しました。
若手の職人 | 僕は毎年、見よう見まねで損益計算書や貸借対照表などの決算書を作っているのですが、そもそも決算書の見方を勉強したことがないのです |
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社長 | 決算書の見方か……。うちの会社にはそんなこと分かる人間はいないな…… |
若手の職人 | 実は僕、会社の会計を片手間にやっているうちに何だか楽しくなってきちゃったんです。もっと会計の勉強もしたいので、決算書の読み方のセミナーに行ってきてもいいですか? |
早速、若手の職人はインターネットで「決算書の読み方」というセミナーを見つけ、翌週、そのセミナーに出かけていきました。その日の夕方、会社では社長が職人たちを前に気合いを入れていました。
社長 | いいか、みんな、前期は残念ながら赤字になったが、今期は黒字にするために、前期以上に広告宣伝費を増やして受注を増やすぞー! |
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職人たち | おー! |
と、そこへ、セミナーでの勉強を終えた若手の職人が会社に戻ってきました。
若手の職人 | 社長、大変です! |
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社長 | どうした? 決算書の見方が分かったか? |
若手の職人 | はい。損益計算書には、5つの利益が出てくるのですが、最初に出てくるのが売上総利益です |
社長 | なるほど、で? |
若手の職人 | その次に出てくるのが営業利益ですが、これは売上総利益から販売費及び一般管理費という、いわゆる経費を引いて計算されます |
社長 | 確かに、うちの会社は売上総利益が3千万円で、販売費及び一般管理費が4千万円なので、営業利益が1千万円の赤字になっているぞ |
若手の職人 | つまり、うちの会社は、売上総利益は黒字なのに、経費が多過ぎたから赤字になったってことなんです |
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社長 | えっ、つまり、今期、広告宣伝費を増やしたのが失敗だったってことなのか? |
若手の職人 | 広告宣伝の効果はすぐ出るものではないと思いますから、広告宣伝が失敗だったと結論付けて良いかは分かりませんが、とにかく広告宣伝を増やしたことで赤字になったという、その原因がはっきりしました |
社長 | なるほど……。会計をちゃんとしてこなかったから、広告宣伝などの経費にどれほどお金をかけていいかなんて気にしなかった。ちゃんと経費を管理しないといけないな。今期は広告宣伝費を含めて、経費を見直しして、経費削減をすることにしよう |
若手の職人 | このまま、広告宣伝を増やしていったら、赤字がもっと拡大することになっていたかもしれません。危なかったです |
このとき社長は思ったのです。
社長の心の声 | <危なかった。決算書は作ることも大事だが、作ったあとに正しく読めないと、とんでもない経営をしてしまうことになるな……> |
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「営業利益」
損益計算書において、売上総利益から販売費及び一般管理費を控除した利益のことを営業利益といいます。営業が赤字つまりマイナスの場合、販売費及び一般管理費が売上総利益に対して多過ぎるということなので、経費削減など経費の見直しをするべきでしょう。
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