やっと申告業務が終わった! 人手不足の会計事務所が頼るベテラン職員、その正体は?
2020年6月13日
質問
「ミロク会計事務所」では顧問先数が増えているため、業務の負荷が重くなってきています。また、若手職員とベテラン職員との間にはスキルに差があり、若手職員の仕訳チェックが不十分で仕事の手戻りが生じることも増えていました。この状況であなたが所長ならどのような対応をしますか?
パターン1
仕訳チェックの経験が豊富な職員を採用する。
パターン2
一定のルールを定めて、網羅的に仕訳のチェックができるようにする。
パターン3
仕訳のチェックは必ず2人体制で行い、ダブルチェックをかける。
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業務が集中する繁忙期でも余裕が感じられる会計事務所
「ミロク会計事務所」には数々の顧問先があり、それら顧問先の決算・確定申告の業務が集中する繁忙期が終わりを迎えたある日のことです。
所長 | 皆、お疲れ様。皆の頑張りで多くの顧問先の決算・確定申告の業務が集中するこの時期を、無事に乗り切ることができた。ありがとう |
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若手職員A | そういえば、去年の今頃は、だいぶバタバタしてましたよね |
中堅職員B | あ~そうでしたねぇ。残業に次ぐ残業で何とか乗り切れたって感じでした…… |
所長 | その点、今年は顧問先へのアドバイスにも力を入れられるようになって良かったよ |
今でこそ、余裕が感じられるようになったミロク会計事務所ですが、1年前はそうではありませんでした。ちょっとその頃の様子を見てみましょう。
1年前 ~ミス発覚で業務の手戻り発生!
ここ数年、ミロク会計事務所では営業努力などが実って徐々に顧問先数が増えてきていました。そうした状況の中、職員を増員するなどの対応もしていましたが、世の中人手不足の状況が続いており、なかなか十分な人材を確保できていませんでした。
何とか若手職員を確保したものの、ベテラン職員との間にはスキルに差がありました。
所長 | Aさん、例の顧問先の仕訳、チェックは終わったかな? |
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若手職員A | 今やっているところなんですが、……、あと2カ月分残っています |
それからしばらくたったある日のこと、ようやくAさんの仕訳チェックが終わったということで、所長がAさんのチェックした顧問先の仕訳を確認し始めました。
所長 | Aさん、この仕訳、修繕費処理になっているが、資産計上する必要があるよ |
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若手職員A | あっ、そうでした。申し訳ありません |
所長 | あと、この取引、消費税はかからないはずだよ。それから…… |
その一方で、中堅・ベテラン職員もいろいろな顧問先の業務を並行して進めており、多くの仕訳を確認する中で、仕訳ミスをうっかり見過ごしてしまうといったことも起きていました。
そのため業務の手戻りが生じることも増えるなど、なかなか業務の効率が上がらず、皆の残業が増えていました。
所長の心の声 | <最近「働き方改革」という言葉をよく耳にするが、うちは全く進んでないな……> |
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質問
「ミロク会計事務所」では顧問先数が増えているため、業務の負荷が重くなってきています。また、若手職員とベテラン職員との間にはスキルに差があり、若手職員の仕訳チェックが不十分で仕事の手戻りが生じることも増えていました。この状況であなたが所長ならどのような対応をしますか?
▼あなたの思うパターンをクリック▼
パターン1
仕訳チェックの経験が豊富な職員を採用する。
パターン2
一定のルールを定めて、網羅的に仕訳のチェックができるようにする。
パターン3
仕訳のチェックは必ず2人体制で行い、ダブルチェックをかける。
仕訳チェックの経験が豊富な職員を採用することができれば、仕訳間違いの見過ごしなどが減り、仕事の手戻りも減るはずです。しかし、人手不足の環境下で適当な人材を採用するのは大変ですし、人件費負担も大きくなります。
ミロク会計事務所の所長が選択したのはパターン2でした。一定のルールを定めて、網羅的に仕訳のチェックができるようにするためにどんなことをしたかというと……
仕訳のチェックは必ず2人体制で行い、ダブルチェックをかければ、仕訳間違いの見過ごしなどが減り、仕事の手戻りも減るはずです。しかし、ダブルチェックをかけること自体が業務の増加になるので、その負担は重いでしょう。
強力なベテラン職員が見つかった?!
どうしたものかと悩んでいたミロク会計事務所の所長ですが、ある日、会計事務所の所長・職員向けのセミナーに参加したところ、隣の県で会計事務所を営むA税理士に久しぶりに出会ったのです。
所長 | お久しぶりです、A先生。先生の事務所、顧問先がだいぶ増えてるって聞きましたよ |
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A先生 | いやー、それほどでもないんですが、ありがたいことです |
所長 | でも、今は顧問先が増えても、それをこなしていく人材を確保するのは大変でしょう? |
A先生 | 実は最近、経験豊富なベテラン職員を採用できたんですよ! |
所長 | そうだったんですか、うらやましい。一度お会いしたいですね。今度紹介してください |
A先生 | いいですよ! 新しく入ってくれたベテラン職員、いつでもうちの事務所にいますから(笑)。何だったら先生の事務所でも採用したらいかがですか? |
所長 | えっ? |
ミロク会計事務所の所長は、A先生の言ったことがすぐには理解できませんでした。
A先生はちょっともったいぶった言い方をしましたが、A先生が採用したベテラン職員というのは、どうやら「ヒト」ではなかったようです。
このときA先生に教えてもらったのは仕訳チェックを支援してくれるツールのことでした。このツールを導入したA先生の事務所では、例えば次のような効果が現れたということです。
・残高や仕訳のチェックの自動化でスピードアップ
・見落としがちな間違いも確実なチェックで作業効率アップ
・予めチェックルールを定めることで業務の標準化を推進
その結果、必要以上に職員数を増やすことなく、業務を効率的・効果的に進めることができるようになり、さらには、付加価値の高い業務に時間をかけることができるようになって、顧問先への報酬アップの交渉がしやすくなったということでした。
これを聞いたミロク会計事務所の所長は、さっそくこのベテラン職員のことを調べてみることにしたのでした。
「業務の標準化」
担当者がそれぞれ好きなやり方で業務を行うと、担当者によっては大事な業務がもれてしまったり、逆に必要以上にやってしまったりということが生じます。この場合には適切な業務のやり方を定め、各担当者はそれに従って業務を行うようにするなど、業務を標準化することが効果的です。
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