残業続きだった製造現場を、皆が定時退社できるように変えた!?その方法とは?
2017年12月13日
質問
なぜか定時退社時間が近づく頃になると忙しくなり、残業続きの「MJS工業」の製造現場。あなたが経営者なら次のうちどの行動をとりますか?
パターン1
パートやアルバイトを採用して、労働力の不足を補う。
パターン2
まずは各人の時間の使い方を確認する。
パターン3
製造設備を増強し、人手による作業負担を減らす。
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定時退社が当たり前の製造現場
「MJS工業」は各種の工作機械を製造する会社です。定時退社時間の17時が近づく頃には、製造現場の作業は終了し、片付けが始まります。社員は皆、定時で退社できるので、夜のプライベートの予定も立てやすそうです。
今でこそ皆が定時退社できるようになったMJS工業の製造現場ですが、実は2年前は全く違う状況だったのです。
2年前 ~いつの間にか残業続きの日々に
MJS工業では、不景気で落ち込んでいた需要が持ち直してきたため、それにつれて製造現場も忙しくなってきているようです。需要が落ち込んでいたときは、大した残業時間になっていなかったので、社長も残業のことをあまり気にしていませんでした。
しかし、需要が持ち直してきたにもかかわらず、社員は以前のようなペースで仕事をしています。このため、定時退社時間の17時が近づいているにもかかわらず、片付け始めるどころか、随分とあわただしい様子です。このところ定時退社時間が20時であるかのごとく残業の日々が続いていており、社員たちも疲れ気味のようです。
そんな社員たちの様子や、増える一方の残業代負担などから、この状況を何とかしなければと社長は考えるようになっていました。
質問
なぜか定時退社時間が近づく頃になると忙しくなり、残業続きの「MJS工業」の製造現場。あなたが経営者なら次のうちどの行動をとりますか?
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パターン1
パートやアルバイトを採用して、労働力の不足を補う。
パターン2
まずは各人の時間の使い方を確認する。
パターン3
製造設備を増強し、人手による作業負担を減らす。
業務量に対して人員が足りないのであれば、パートやアルバイトを採用することも考えられます。ただし、人を採用すれば当然人件費が増えてしまいますので、現在の人員での生産能力を超えるほど業務量が多いのかを慎重に検討する必要があるかもしれません。
MJS工業の経営者がとった行動はパターン2でした。これまでは、残業続きの現場で何が起きているのか見えていなかったのですが……
確かに、製造設備を増強することで人手による作業負担を減らすことができれば、残業続きの状況を解消できるでしょう。ただし、通常、設備投資には多額の資金負担が生じるので、設備投資するかどうかは慎重に検討する必要があります。設備投資を考える前にやるべきことがあるかもしれません。
ターニングポイントはムダな時間に気付いたことだった
ある日のこと、MJS工業の社長が帰宅すると、ちょうど妻と息子と高校生の娘が話しているところでした。息子は今、高校受験勉強の真っただ中です。
息子 | あーあ、この前の模試の結果が出たんだけど、ダメだったよ。T高校の合格可能性20%未満だってさ、はー |
---|---|
妻 | 理科はほぼ満点なのに、英語が足を引っ張ったみたいね |
息子 | 理科は満点だと思ったんだけど、1カ所間違っちゃったなぁ。悔しー |
妻 | で、英語は? ちゃんと勉強してるの? |
息子 | まぁ、結構頑張っているよ。全体の3割くらいの時間は英語の勉強に使ってるはずだけど |
娘 | あんた、何言ってんの。そんなに勉強してないでしょ。苦手な英語の勉強してるときって、ボーとしてる時間が相当あるように見えるわよ |
息子 | ドキッ |
妻 | このままじゃ、心配だわ。今度からどの教科をどの位の時間勉強してるか、記録しときなさい。もちろん、ボーッとしてる時間は勉強時間じゃないからね! |
息子 | …… |
そんなやり取りを聞いていた社長は、ふと思いました。 | |
社長 | <あれっ、うちの会社も同じじゃないか!> |
MJS工業では、1つの製造ラインで複数の製品を製造しており、最近は需要が持ち直してきたことから、以前の暇だった頃と比べると製造ラインの稼働率がだいぶ上がってきています。ただし、現状ではどの製品の製造にどれだけ時間がかかっているのかが分からない状況ですが、社員たちは暇だった頃の仕事のやり方に慣れ切ってしまっているようです。
そこで社長は、まずは現状を把握しないといけないということで、取りあえず翌週1週間、製造現場の社員たちに、どの製品の製造にどれだけの時間作業をしているか記録を取らせることにしました。その際、手待ちになっている時間も分かるようにしました。
その結果、思った以上に手待ちになっている時間や作業が始まるまでの準備時間が多いという事実が明らかになってきたのです。それだけでなく、製造作業自体もダラダラしていて、時間がかかり過ぎています。また、ラインで製造する製品を切り替える作業に相当時間がかかっていることも発覚しました。
やらなくていいことまでやって時間がかかっているケースも少なからず出てきました。例えばある担当者は、時間に余裕があるときに、必要以上の精度にまで研磨作業をしたのですが、いつの間にかその“やり過ぎ”が常態化してしまっていたようです。
こうした調査結果を踏まえて、余計だと考えられる作業については不要としたり、手待ち時間を減らすために同じラインで製造する製品を切り替える段取りを見直したり、ダラダラ感の出ている作業については通常かかるであろう作業時間の目安を示すなど、時間削減につながる改善を進めていきました。
その後も継続的に各社員にタイムシートを付けさせ、タイムマネジメントを行うようにしたことで、各人が時間の使い方を意識し、 どうやったら時間を削減できるかのアイデアを皆で考える風土が定着し、残業しなくても必要な業務が終わるようになっていったのでした。
「タイムマネジメント」
どの業務にどれだけの時間がかかっているかを記録し、それを分析することで、業務の効率アップなどにつなげることを言います。セミナー情報
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