アイデアはあるのに資金が足りない! 好立地を活かした一手とは?
2018年11月3日
質問
経営立て直しのための新サービスのアイデアはあるものの、資金が足りないのが悩みの「調剤薬局ミロク」。店の立地は良いので土地・建物はそこそこ高い相場が見込まれる状況です。この状況であなたが経営者なら次のうちどの経営判断を下しますか?
パターン1
店を売却し、その資金で郊外に小さな店舗を構え、店を継続する。
パターン2
店を売却し資金を得て、その物件を売却先から賃借する契約に切り替える。
パターン3
立地は良いので、大手チェーンの傘下に入る。
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ちゃんと商売上手のDNAを引き継いでいた四代目?
客1 | あれ、あの人、「調剤薬局ミロク」の四代目じゃない? 前に比べると生き生きとしているわねぇ |
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客2 | 何か張り合いがうまれたようね |
客1 | 前はダメ経営者と思っていたけど、ちゃんと商売上手のDNAを引き継いだようで良かったわね |
店は活況を呈していますが、つい最近までの四代目社長はこのような状態ではありませんでした。
1年前 ~自慢できるのは立地だけ。自分の代で店を潰してしまうのか?
乗降客で賑わう大型駅の目の前にある自社ビルに店舗を構える調剤薬局ミロク。代々この地で家業の薬売りを営んできました。ところが、大型店やネット通販に押されてか、1年半前に四代目が社長になってからというもの、売上高も伸び悩み、赤字経営になっています。幸い、以前の蓄えもあって借金はせずに済んでいるものの、この状況が続けば資金繰りにも支障が出てきそうな状況です。このままでは、先代、先々代などに顔向けできそうもありません。
そんなある日のこと、調剤薬局ミロクの四代目とその母親が話をしています。
母親 | もう! 今月も赤字! これじゃ通期で赤字になりそうだわ。私が経理を始めてから、最大の危機よ。お前の代になってから、一体どうなってるのよ! |
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四代目 | 僕のせいじゃないよ。郊外のT薬局とか、ネット通販とか、逆風が直撃しているだけで、どうしようもないんだよ |
母親 | 駅前って場所は最高なのに、こんなに弱気じゃしょうがないわね。亡くなったお父さんは、「あいつは大器晩成だ」って言ってたけど、とんだ見込み違いだったようね |
四代目 | 母さん、そりゃないよ~。僕だって取り組んでみたい立て直しのアイデアはいろいろあるんだけど、資金に余裕がないからさ~ |
ところで、調剤薬局ミロクの立地は良いのでその土地・建物はそこそこ高い相場が見込まれる状況です。このとき、まだ四代目の頭にはまったく浮かんでいなかったのですが、この不動産を何とかうまく活用できないものでしょうか。 |
質問
経営立て直しのための新サービスのアイデアはあるものの、資金が足りないのが悩みの「調剤薬局ミロク」。店の立地は良いので土地・建物はそこそこ高い相場が見込まれる状況です。この状況であなたが経営者なら次のうちどの経営判断を下しますか?
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パターン1
店を売却し、その資金で郊外に小さな店舗を構え、店を継続する。
パターン2
店を売却し資金を得て、その物件を売却先から賃借する契約に切り替える。
パターン3
立地は良いので、大手チェーンの傘下に入る。
店の規模を縮小する、つまり「身の丈にあった経営」を目指すのは良いことです。しかし、資金は入りますが、郊外という今よりも集客が厳しい条件で、果たして成功するかは未知数です。
四代目社長が選んだのはこのパターンでした。不動産の証券化という手法を使って店を売却し、その後は賃貸借契約を結んで店舗を継続使用するのです。売却資金を四代目が取り組んでみたい立て直しのアイデアを実行するための投資等に回し、再起を達成したのです。
大手チェーンの傘下に入ることで経営の立て直しができるかもしれません。しかし、自分の裁量でできることは大きく制限されてしまいます。何よりも、せっかく経営立て直しのための新サービスのアイデアを持っているのですから、もったいないのではないでしょうか。
スナックは街の社交場-不動産会社の社長が自社ビルを所有していなかった!
四代目の心の声 | <母親は相変わらず厳しいし、怒ると怖いんだよなあ。こんなときは別のママに慰めてもらうか……> |
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ママ | あら、いらっしゃい。四代目ちゃん。どうしたのそんなにしょげて、さてはまたお母さんに叱られたのね。今日は思いっきり甘えていいわよ |
四代目 | えへへ |
社長 | ママ、四代目って、駅前の薬屋さんかい? ちょっと紹介してくれないか? |
ママ | こちらの社長さんは交差点角のビルを丸々買い取って不動産屋を始めたの |
四代目 | ああ、あそこの! あのビルを買うなんて、相当なやり手ですね。てことはウチも狙われている~ |
社長 | まあ、半分当たっているけど、そうじゃないんです。ママさんは私のビルだと思ってるみたいだけど、あのビルは私の会社のものじゃないんですよ |
四代目 | ママ、僕まだ酔ってないよね。この社長さんの言っている意味が分からない |
社長 | 四代目さん、不動産の証券化ってご存知ですか? おたくのビルを証券化して売却し、新たに賃貸借契約を結ぶことで継続使用したほうが効率的な経営ができるんです。私の会社のビルでもやったことなんですけどね |
四代目 | え、まとまったお金も入って、あの場所で店も続けられるってことですか? |
社長 | さすが、四代目。飲み込みが早いや。どうですか、話を進めてみませんか? |
スナックで出会った不動産会社社長は、不動産の証券化に明るく、そのためのネットワークもあったため、調剤薬局ミロクの証券化はスムーズに進みました。四代目社長は店をたたむことなく、新たな資金を手にし、大型店やネット通販にない独自のサービスを生み出し、お客さんであふれる店となったのです。 |
「不動産の証券化」
不動産の価値を小分けにして有価証券という形にすれば、売り手は資金を調達でき、投資家は手持ち資金の範囲で購入することができるため双方にメリットがあります。また、物件そのものを売却するのとは違い、証券化の場合は一部だけを売却することや、将来再び買い戻すこともできます。ただし、手続きや契約関係が煩雑で時間とコストがかかることや、収益性が見込まれる物件に限定されることなどもあるので注意が必要です。
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