集客アップに成功! 決め手は”当たり前が当たり前じゃない”ことだった?!

2019年9月23日

小売業

  • 小売業
2019/09/23

質問

オフィスで使う事務用品を中心としたECサイトを運営している「ミロクショップ」。乱立するECサイトとの違いを打ち出せずに苦戦しています。あなたが社長なら、まずどのようなサイトを目指しますか?

パターン1

認知度を追求し、テレビやネット広告などでよく目にするサイトにしていく。

パターン2

こだわりを追求し、大手にはない商品を取り扱うサイトにしていく。

パターン3

低価格を追求し、安く手に入れられるサイトにしていく。

この質問をイメージして以下のストーリーをお読みください。
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大躍進しているECサイト

「ミロクショップ」はオフィスで使う文房具などの事務用品を取り扱うECサイトです。3年連続、月間の利用者数、売上高など業績が右肩上がりで、大躍進を遂げたECサイトとして評判になっています。

今でこそ、ECサイトにおける成長率ランキングにも名を連ねるサイトに成長していますが、3年前までは逆に右肩下がりで業績が悪化しているような状況でした。

 

3年前 ~ここで買う理由がない!

ミロクショップは、元々、事務用品の卸問屋に勤めていた社長が、これからはインターネットを介した販売が中心になってくると考えて始めた比較的老舗のECサイトです。当初はまだ競合が少ないこともあり、事務用品を中心としたECサイトの中ではそれなりのポジションを築くことができました。
 
しかし、ECサイト市場の成長に伴い、強い競合がどんどん生まれ、競争が激化してくると状況は一変しました。当初は老舗の強みを活かして何とかこらえていたのですが、次第に自分たちのポジションを確立することも難しくなり、業績は下降路線をたどるようになっていきました。

スタッフA 今月も利用者数が伸びてないどころか、さらに減ってるよ。ECサイト全体の市場は伸びてるみたいなのに、なんでうちのサイトは利用されないんだろうな
スタッフB だって、事務用品を取り扱う大手のECサイトと比べて、安いわけでもないし、配送が早いわけでもないし、ポイント還元率が高いわけでもないしね。わざわざうちのサイトで買う理由がないんじゃない?

スタッフたちの話を耳にした社長は、このとき思ったのです。

社長の心の声 <今のままだと本当に数ある同じようなECサイトの1つにしか見られずに埋もれていく。何とかしないと……>

 

質問

オフィスで使う事務用品を中心としたECサイトを運営している「ミロクショップ」。乱立するECサイトとの違いを打ち出せずに苦戦しています。あなたが社長なら、まずどのようなサイトを目指しますか?

▼あなたの思うパターンをクリック▼

パターン1

認知度を追求し、テレビやネット広告などでよく目にするサイトにしていく。

パターン2

こだわりを追求し、大手にはない商品を取り扱うサイトにしていく。

パターン3

低価格を追求し、安く手に入れられるサイトにしていく。

他のECサイトとの差別化はできているが、それがお客様に認知されていないということであれば、プロモーションを強化した方が良いでしょう。しかし、ミロクショップの場合、違いを打ち出せずに苦戦しているため、まずは他社と差別化することから考える必要がありそうです。

実は、ミロクショップの社長が選んだのはパターン2でした。こだわりの商品を追求することで、なぜ人が集まるECサイトとして躍進できるようになったのでしょうか……
 

赤字覚悟で低価格を売りにして差別化することも考えられますが、最初に取る戦略としてはリスクが高いかもしれません。利用者が増えることで、仕入先などへのボリュームディスカウントの交渉力が高まる、相当数の購買が見込めることで、低価格のPB(プライベートブランド)商品を展開できるなど、差別化して人が集まった結果、低価格化も展開できるという順で考えた方が良いでしょう。

当たり前は当たり前じゃない?!

どうしたものかと悩む社長が家に帰ると、試験勉強の合間の休憩だと大学生の娘が二階から下りてきました。

はー、文字書きすぎて手が疲れた。もう書きたくないけど、まだ試験は残ってるしなー。誰か何とかしてよ
社長 ははー、さては鉛筆の持ち方が悪いんだな。どんな書き方してるんだ?
単純に書く量が多いからじゃないの? 持ち方なんかで変わるの?
社長 それだけでも全然違うんだぞ。なんだなんだ、みんな当たり前に知ってることだと思ってたよ
お父さんみたいに文房具の業界にいる人は当然かもしれないけど、普通の人はそんなこと知らないよ!
社長 そうなのか……。あと、疲れにくいシャーペンとかもあるんだぞ
えー、そんなのもあるんだ! 今度持って帰って来てよ
社長 なんだ、それも知らなかったのか。普通のやつより高いんだけど、頑張ってるから特別に持って帰ってきてやろう

そう応えたとき、社長の頭にある考えがひらめいたのです。

社長の心の声 <待てよ。俺たちにとって当たり前のことでも、他の人にとってはお得な情報だと感じることもあるのか。その知識って差別化に活かせるんじゃ……>


その業界に長年いる人間だからこそ知っている知識や商品情報が価値を持つことに気づいた社長は、文房具をよく使う人にありがちな悩みを解決できるような知識や商品情報が他にもないか洗い出してみることにしました。
 
当然、社長が持つ知識だけでは網羅されていないため、数多ある事務用品メーカーを徹底的に調べ、世の中にはどんなこだわり商品があるのか、それはどのようなコンセプトで作られているのかをしらみつぶしに調査しました。
 
すると、例えば、描き味にこだわる設計士だから選ばれるペンや、イラストレーターが喜ぶカラーバリエーションが信じられないくらい豊富な蛍光ペンなど、様々な悩みを解決するために、いろいろな知恵やこだわりを持った商品が存在することが改めて分かったのです。
 
これでいけると感じた社長は、一般的な商品よりも高価格帯にはなるけれども、他社と差別化を図るためにも、この知恵やこだわりを持った商品を中心に販売するECサイトへ舵を切ることを決断しました。
 
その際、商品ラインナップにこだわるだけでなく、一般の商品との違いを打ち出すために、こだわり商品ならではのこだわりポイントや知恵を分かりやすく解説した商品説明を用意するなど、商品を選びやすくするための便利さについてもこだわることにしたのです。
 
その結果、このECサイトは高い商品しかないものの、ユーザーの気持ちが分かる人が品ぞろえや商品説明をしている「プロが運営するサイト」だと評判になり、事務用品のヘビーユーザーから選ばれるサイトになっていったのです。
 
その後は、まだ取り扱っていない既存商品を探して取りそろえるだけでなく、文房具メーカーと交渉して、新しいこだわり商品の企画開発を行うことで、他社の追随を許さない商品ラインナップの強化に努めました。また、より分かりやすく使い方を説明するために動画も活用するなど、便利なサイトになるための追求も怠りません。
 
さらに最近は、機能的な面だけでなく、オシャレでかわいい文房具があればいいのにといったニーズへの対応など、商品の幅も広げていくことで、新たな層のファンも増え、大躍進しているのです。

ワンポイント解説

「差別化」

競合他社が存在する市場で競争に勝ち抜くためには、競合他社の商品やサービスなどとの違いを打ち出す必要がありますが、差別化は提供する商品そのものに違いを出すことに留まりません。本記事にあるように、商品の使い方の説明など付加する情報に違いを出すといったことも差別化の1つです。

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