アルバイトが失敗! ピザを落としたときの損失額の計算【ケース②】

2018年11月23日

飲食業

  • 飲食業
2018/11/23

質問

本場イタリアの味を楽しめると評判で、いつも売り切れ御免になってしまうピザ屋での出来事です。入ったばかりの不慣れな時給1,100円のバイトさんが売価1,000円、原材料費300円のピザをお客さんに持って行く途中で落としてしまいました。さて、この店の損失はいくらでしょうか?

パターン1

バイトさんの時給1,100円

パターン2

ピザの売価1,000円

パターン3

ピザの原材料費300円

この質問をイメージして以下のストーリーをお読みください。
イメージ01
イメージ02

開店から3年が経ち、すっかり評判店になったピザ屋

「ピッツァ・ミロク」は、オーナー店長が3年前に始めたピザの専門店で、店内には立派な窯もあります。開店当初は味が今一つで、お客さんは全然来ませんでしたが、今では修業のかいあって味が向上し、お客さんが行列を作るように。ピザの原材料がなくなったところで「売り切れ御免」になるほどの人気店になりました。

お客さん え~、今日も売り切れなの? 昨日も並んだけどダメだったのよ~
店長 本当に申し訳ございません。これ以上の原材料の仕入れが今のところ難しくて、お客様にはご迷惑をおかけしております
お客さん でも、これだけおいしいピザは他では食べられないから、売り切れ御免も仕方ないわ。明日も懲りずに並ぶわっ
店長 ありがとうございます! 明日もよろしくお願いいたします!

今日もピッツァ・ミロクでは、スタッフ皆がテキパキと働いていますが、1カ月前に不器用な女子大生がバイトで入ってきたときは大変だったのです。

バイトさんがピザを落とした! その損失額はいくら?

1カ月前、ピッツァ・ミロクはいつものようにお客さんが行列を作っています。店内にはバイトが5人も働いていますが、何しろお客さんからひっきりなしに注文が入るのでてんてこ舞いです。と、そのとき、今日から入ったばかりの女子大生のバイトさんがついにやらかしてしまいました。

バイトさん きゃ~っ、あぶない~
ガッシャーン!!
バイト君 うわっ、あっちっち~
店長 うわっ、出来立てのピザを、バイト君の頭に落としやがった……
バイトさん すいません。なんだかあせっちゃって……
店長 まぁ、初日だからあせる気持ちは分かるが……、バイト君は大丈夫か?
ピッツァ・ミロクに入店したばかりの女子大生。かなり不器用なようで、この後も、水をひっくり返したり、お客さんから受け取った小銭をばらまいたり、散々な一日でした。そして一日が終わり、店長はレジを締めながら考えました。
店長の心の声 <しかし、不器用なバイトさんが入ったな~。まぁ、今ではベテランのバイト君も昔は似たようなもんだったが。でも待てよ、バイトさんがピザを1枚落としたことでいくらの損失が出たんだ?>
このバイトさんは時給1,100円で働いており、1枚のピザの販売価格は1,000円です。原材料は300円で、それ以外に直接かかる費用はありません。バイトさんが落としたピザの皿はプラスチックなので割れたりしません。
 

質問

本場イタリアの味を楽しめると評判で、いつも売り切れ御免になってしまうピザ屋での出来事です。入ったばかりの不慣れな時給1,100円のバイトさんが売価1,000円、原材料費300円のピザをお客さんに持って行く途中で落としてしまいました。さて、この店の損失はいくらでしょうか?

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パターン1

バイトさんの時給1,100円

パターン2

ピザの売価1,000円

パターン3

ピザの原材料費300円

不器用で失敗ばかりのバイトさんに払った時給1,100円が損失とも考えられますが、ここでは落としたピザの損失だけを考えてみましょう。
 

実は、この店の損失は落としたピザの売価1,000円なのです。店の損失とは、一体どう考えたら良いのでしょうか……
 

落としたピザの原材料費は300円ですから、これが損失とも考えられますが、売り切れ御免の店の場合はちょっと違うのです。
 

「閑古鳥が鳴く店」と「売り切れ御免の店」では損失額が違った!

新しく入店したバイトさんのおっちょこちょいさにショックを受けながら、自宅に帰ってきた店長を、妻が出迎えました。

店長 ただいま~
お帰りなさい。あなた、今日もお客さんいっぱい来てくれた?
店長 あー、今日も完売だったよ。3年前に店を始めたときは、閑古鳥が鳴くほど暇だったからな~
本当よね、確か、会社を辞めずにいれば給料が20万円入ってきたのに、店を始めるために300万円もお金が出て行ったから、320万円も損してるのよって話をしたわよね
店長 そうそう、そんな話をしたな~。あれっ、そのときバイト君が落としたピザの損失を計算した記憶があるぞ
店長の心の声 <思い出したぞ。もしバイトさんがピザを落とさなかったらいくらのもうけだったかを計算して、それと実際のもうけを比較すれば、バイトさんが落としたピザの損失が計算できるんだった>
店が繁盛していることに満足し、楽しそうにしている妻を横目に、店長は紙と鉛筆を持ち出して計算を始めました。
店長 えーっと。今日は200枚分販売できるように原材料を仕込んでおいたけど、バイトさんが1枚ピザを無駄にしたから実際に販売できたのは199枚。販売単価が1,000円だから売上は199,000円。原価は、ピザの原材料が300円×200枚で60,000円で、……


やがて、店長は次のような表を作り上げました。
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店長 つまり、ピザを落としたことで、ピザを1枚売れなくなったから、その売価の分だけ利益が減ったわけか。バイトさんが落としたピザの損失は、バイトさんの時給でもピザの原材料費でもなく、ピザの売価1,000円だったというわけか!

こうして、店長はバイトさんが落としたピザの損失が売価だったと理解してすっきりしました。

【ワンポイント解説】

「損失額」(「完売見込みの商品」の場合)

完売見込みの商品の場合、その商品1個を無駄にしてしまったときの損失額はその商品の売価と考えられ、この損失額は「機会損失」ともいわれます。
逆に、在庫に余裕がある商品の場合の損失額の計算はどうなのでしょうか。以下の記事でご確認ください。
「アルバイトが失敗! ピザを落としたときの損失額の計算【ケース①】」(経営センスチェック2018年11月13日号)
関連リンク本記事で取り上げた「機会損失」に興味のある方はコチラの記事もご覧ください。
「売るべきか? 売らざるべきか? 築地市場の移転が教えてくれる秘訣とは?」(経営センスチェック2018年9月3日号)

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